気まぐれシネマレビュー

戸影絵麻

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#45 SM映画の決定版? ~花と蛇(2004年版)~

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 原作は団鬼六のSM小説で、これまで何度か映画化されています。
 要は、不感症の社長夫人が借金のカタにやくざに売られて、SM調教を受け、次第に性の悦びに目覚めていく、という、今となってはよくある話ですが、この2004年版では主人公の静子を杉本彩が演じたということで、公開当時、社会現象になりました。

 過激な無料エロ動画がネットで見放題の現在からすれば、それほど驚くべき描写はないのですが、やはり演じているのが全盛期の杉本彩であるという点で、そのインパクトは絶大です。鍛え抜かれた肉体を乳房どころかアンダーヘアーまでさらし、揉まれ、弄られ、舐められ、縛られ、犯され、喘ぎまくるそのさまは、実に迫力満点。映画館で観た人はさぞ仰天したのではないかと思われます。

 ただ、これをエロ動画として見た場合、不満がふたつほど。

 ひとつは、杉本彩のヌードについて。
 乳が大きくて形もよいのですが、なぜか乳首がない。
 いや、あるにはあるのですが、ぺちゃんこというか…。 
 ラストシーンではようやくふつうの形に見えるのですが、あれは勃起していたから?
 あくまで主観なのですが、乳首がちゃんとしていないおっぱいというのは、いくら造形がすぐれていても、なんか物足りない。

 次に、下着に工夫がないこと。
 せっかく素晴らしい身体をしているのに、杉本彩の穿いているショーツは、デカパンとまではいわないにしても、イオンで980円くらいで売っていそうなものばかり。やくざのみなさんも、調教のプロなんだから、もう少しちゃんとしたセクシーインナーを用意しておいていただきたいと思います。

 また、途中出てくる「おいらん道中」「女博徒」のコスはいかがなものか。原作が古いので仕方ないのかもしれないけれど、いくら15年前の映画とはいえ、別の趣向に変えてもよかったのでは?

 まあでも、杉本彩は美人だし、表情はエロチックだし、スタイル抜群だし、見て損はない作品だと思います。

 最近の邦画界、ファミリー向けや中高生向けのアニメの映画化ばかりですが、たまにはこういうパワーのある映画をつくってほしいです。

 ただし、現在の「子どもの目に触れても大丈夫なものしか認めない。SMなんて女性蔑視の最たるもの」という1億総五人組監視社会では、ネットで思いきり炎上しそうですけどね。
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