気まぐれシネマレビュー

戸影絵麻

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#41 女性刑事ものの難しさ ~不能犯~

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 今回ご紹介する『不能犯』は、2018年2月公開の映画です。
 松坂桃李、沢尻エリカ主演の、サイコパスVS女性刑事ものといえば、いかにも面白そうですが、さて…。
 あらすじをウィキから引用させていただくと、ざっとこんなふう。

『宇相吹正(うそぶきただし:演ー松坂桃李)は、とある電話ボックスに依頼人が殺して欲しい相手の連絡先と理由を書いた手紙を貼ると、完璧に始末してくれる事から、SNS上では「電話ボックスの男」と呼ばれていた。彼の犯行は、マインドコントロールによって精神的に追い詰め、自殺を実行させるものであり、警察では実証出来ない事から「不能犯」と呼ばれていた。 ある事件で刑事・多田友樹(演ー沢尻エリカ)は宇相吹の身柄を確保し、事情聴取を実行するも逮捕に至らず、多田と宇相吹の行動は平行線を辿り、様々な事件を引き起こすようになる。』 

 結論から言いますと、正直、「う~ん」です。
 まず、沢尻エリカの刑事がひどい。
 ファンの方には申し訳ないけれど、生意気な子どもが、大人相手に威張っているとしか思えない。
 『ヘルタースケルター』で圧倒的な演技を見せてくれたあのエリカ様ですが、刑事役の似合わないことといったらもう…。『ヘルタースケルター』の時みたいにおっぱいを見せてとは言いませんが、もう少しなんとかならなかったのでしょうか。見ていませんが、最近始まったテレビドラマ『ストロベリーナイト』で二階堂ふみが酷評されているのも、同じような理由なのかもしれません。その点、これもテレビドラマですが、『猟奇犯罪捜査班~ON~』でサイコパスの女刑事を演じた波留はよかったです。表面上は熱血刑事、一皮むくと感情の欠落したサイコパスといった難しい役柄を、見事に演じ切っていました。(ちなみに、このドラマ、犯人のひとりが佐々木希で、彼女の狂った演技もなかなかよかったです。美女のサイコパスは実に怖い。)

 それから、敵役の松坂桃李。にたりと笑う時のいかにも闇の世界の住人といった雰囲気は素晴らしいのですが、脚本のせいなのか原作のせいなのか、吐く台詞がいかにも凡庸で、まともに聞いていられない。
 特殊能力で人を追い詰めて殺しては、「くだらないな、人間は」とつぶやくのだけど、「おまえのやってることもくだらないだろ」というレベル。せめて『必殺仕事人』みたいにお金で殺人を請け負うとかならまだわかるのですが、依頼人に電話ボックスにメモを貼らせるとか妖怪ポスト並みにアナログなことさせておいて、そもそもどうして恨みを晴らす代行をしているのか、目的がわからない。

 極めつけは、ラストで沢尻エリカが松坂桃李に言うキメ台詞。
「あなたがここで殺してくれないと、僕は今後も殺人を犯し続ける」みたいなことをのたまう犯人に、エリカ嬢は言います。
「私は希望で人を殺す」

 は?
 それ、どういう意味?
 なんか、かっこいいこと言おうとして、失敗しちゃった?
 う~ん、真面目にわけわかんないんですけど。

 唯一、芦名星の出てくるエピソードのみ、彼女の熱演で多少見ごたえがありました。

 かつて、似たような設定で、藤原竜也VS山田孝之+石原さとみという超豪華メンバーを配した『モンスターズ』なる謎映画がありましたが、配役が豪華な割にダメダメなところといい、あれに似てるなあ、というのが正直な感想でした。
 
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