気まぐれシネマレビュー

戸影絵麻

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#34 【ドラマ部門】 トクサツガガガ②

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 このドラマの良さは、もうあちこちで語られているので、今更私が何を…という感じなのですが、もっとも印象に残ったエピソードをご紹介します。

 就業時間間近、翌日のイベント用販促チラシにミスが発見され、叶たちが残業を強いられる場面で、先輩OLたちが、こんなニュアンスの発言をします。

「親が病気とか、そんな大事な用事がある人は帰ってもいいけど、そうでないひとは手伝えるでしょ」

 それに対して、自分の時間が削られるのが嫌な叶は、

「用事に大事とか大事でないとかの差はないと思います。家でゆっくり自分の時間をくつろぐのも、自分をリフレッシュするための立派な用事だと思います」

 みたいな内容の反論をして、周囲に一目置かれることになります。

「こういうの、あるある。よく言ってくれた!」

 そう心の中で快哉を叫んだのは、私だけではないと思います。

 自分には関係ない案件によるつきあい残業、あるいは、単に上司がだらだらしてるせいで定時に帰れない時、誰でも一度は彼女と同じ思いに駆られたのではないでしょうか。

 ドラマでもありましたが、こういう時、

「あ、じゃあ俺、コンビニでみんなの分の夜食買ってきます!」

 みたいなお調子者が、必ず出るもの。

 くそおー、てっめえ、おかげで余計遅くなるじゃねーか!

 まったく腹が立つこと、この上ないですよね。

 さて、ここで笑うのは、熱弁をふるう叶の頭に浮かぶ映像です。

 彼女の大事な時間というのは、当然、こうです。

 だらしなく寝そべって、ポテチをかじりながら撮り溜めした特撮番組を見る。

 そのいかにも弛緩しただら~っとした感じが、言葉のまっとうさを裏から打ち消すようで、とてもいい!

 
 そんなわけで、見逃した方は、ぜひご鑑賞をお勧めします。

「好きなものは、何歳になっても好きでいいじゃないか」

 たとえそれが特撮でもアイドルでも美少女アニメでも。

 そんな永久不変の力強いメッセージが、きっとあなたに生きる希望を与えてくれることと思います。
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