気まぐれシネマレビュー

戸影絵麻

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#31 意外に面白い! でも、何が言いたいのかわからない! ~サムライマラソン~

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 大ヒット中の「翔んで、埼玉」やドラえもんの新作、「モータル・エンジン 移動都市」などをあえてスルーし、観て来ました。「サムライマラソン」。

 あらすじは、こんな感じでしょうか。

 時は1855年。ペリーの黒船来航、日米和親条約締結直後の日本。
 日本が開国を迫られ、歴史が動くターニングポイントの頃ですね。
 弱小の安中藩藩主の長谷川博巳は、開国への備えとして、藩士たちの士気を高めるため(なのかどうか、そこがはっきりわからないのですが)、急きょ50歳以下の藩士全員参加の「遠足(とおあし)」を実施すると発表します。
 この遠足(とおあし)というのは、いわば往復15里を走るいわばマラソンみたいなもので、「1位になった者は望みが叶えられる」という報賞がつきます。
 ところが、これを謀反のお触れと勘違いした公儀隠密の佐藤健が幕府に密書を送ってしまったため、安中藩には幕府からの刺客が差し向けられることになります。
 姫との結婚を願う森山未来、江戸に出ることを父に止められ、鬱屈を抱えた当の姫、侍になることを妻に期待されている藩随一の俊足の足軽染谷翔太、定年退職を命じられ途方に暮れる老侍竹中直人などが入り乱れ、日本初のマラソンは次第にカオスの様相を呈していきます。

 結論から言えば、これがけっこう面白い! 
 さすが、豪華俳優陣をそろえただけあって、個々の場面は見ごたえがあり、最後まで眠くなることはありません。
 ただ、脚本に難があるのか、監督が外国のひとだからなのか、見終わった後、「は?」となります。
 これは、何か深いメッセージを内包した映画なのか、それとも単なる東京オリンピック宣伝映画なのか、大河ドラマ「いだてん」にあやかろうとした二匹目のドジョウ的なものだったのか…。

 ともあれ、個人的にツボにはまったのは、竹中直人の老人侍と子どもとの珍道中。
 竹中直人って、何を演じても見るからに挙動不審で危ないのですが、ここでもその異様さが炸裂し、とにかくその一挙手一投足には笑わずにはいられません。

 ちなみに、劇場にはなぜかけっこう人が入っており、これが意外でした。
 ジョギングマニアのひとなのか、マラソン好きのひとなのか、時代劇ファンのひとなのか、あるいはその全部が来ていたのか…。

 今月のおススメとまではいきませんが、別にあちこちのサイトのレビューで叩かれてるほど悪い作品ではありません。
 いや、というより、間違いなく竹中直人ファンには外せない一作ではないかと思います。

 
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