気まぐれシネマレビュー

戸影絵麻

文字の大きさ
上 下
32 / 211

#31 意外に面白い! でも、何が言いたいのかわからない! ~サムライマラソン~

しおりを挟む
 大ヒット中の「翔んで、埼玉」やドラえもんの新作、「モータル・エンジン 移動都市」などをあえてスルーし、観て来ました。「サムライマラソン」。

 あらすじは、こんな感じでしょうか。

 時は1855年。ペリーの黒船来航、日米和親条約締結直後の日本。
 日本が開国を迫られ、歴史が動くターニングポイントの頃ですね。
 弱小の安中藩藩主の長谷川博巳は、開国への備えとして、藩士たちの士気を高めるため(なのかどうか、そこがはっきりわからないのですが)、急きょ50歳以下の藩士全員参加の「遠足(とおあし)」を実施すると発表します。
 この遠足(とおあし)というのは、いわば往復15里を走るいわばマラソンみたいなもので、「1位になった者は望みが叶えられる」という報賞がつきます。
 ところが、これを謀反のお触れと勘違いした公儀隠密の佐藤健が幕府に密書を送ってしまったため、安中藩には幕府からの刺客が差し向けられることになります。
 姫との結婚を願う森山未来、江戸に出ることを父に止められ、鬱屈を抱えた当の姫、侍になることを妻に期待されている藩随一の俊足の足軽染谷翔太、定年退職を命じられ途方に暮れる老侍竹中直人などが入り乱れ、日本初のマラソンは次第にカオスの様相を呈していきます。

 結論から言えば、これがけっこう面白い! 
 さすが、豪華俳優陣をそろえただけあって、個々の場面は見ごたえがあり、最後まで眠くなることはありません。
 ただ、脚本に難があるのか、監督が外国のひとだからなのか、見終わった後、「は?」となります。
 これは、何か深いメッセージを内包した映画なのか、それとも単なる東京オリンピック宣伝映画なのか、大河ドラマ「いだてん」にあやかろうとした二匹目のドジョウ的なものだったのか…。

 ともあれ、個人的にツボにはまったのは、竹中直人の老人侍と子どもとの珍道中。
 竹中直人って、何を演じても見るからに挙動不審で危ないのですが、ここでもその異様さが炸裂し、とにかくその一挙手一投足には笑わずにはいられません。

 ちなみに、劇場にはなぜかけっこう人が入っており、これが意外でした。
 ジョギングマニアのひとなのか、マラソン好きのひとなのか、時代劇ファンのひとなのか、あるいはその全部が来ていたのか…。

 今月のおススメとまではいきませんが、別にあちこちのサイトのレビューで叩かれてるほど悪い作品ではありません。
 いや、というより、間違いなく竹中直人ファンには外せない一作ではないかと思います。

 
しおりを挟む
感想 44

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

処理中です...