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#27 罪は消えない? ~友罪~
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酒鬼薔薇聖斗事件をモチーフにした、とにかく重い映画です。
ある町工場に、ふたりの青年が試採用されます。
雑誌記者をリタイヤした増田君(生田斗真)と、寡黙で謎めいた青年、鈴木君(瑛太)のふたりです。
近所で子どもの惨殺事件が発生したことから、増田君は鈴木君に疑いの目を向け始め…。
というのがメインのお話で、そこに息子の交通事故で一家離散の憂き目にあったタクシー運転手(佐藤浩市)、彼の息子で若い頃無免許運転で3人の子供の命を奪いながら、最近彼女ができ、結婚しようとしている青年、高卒で東京に出てきて、恋人にだまされてAVの世界に足をつっこんだクレーム処理係の若い女(夏帆)、過去に鈴木君を更生させようとした挙句、実の娘をないがしろにしてしまい、今も恨まれている養護施設職員の女性(富田靖子)、増田君の元カノで小学生殺人事件を追う女性雑誌ライター(山本美月)などが絡み、事態はカオスの様相を呈していくのですが…。
結論を言えば、登場人物たちは誰もが過去に罪を背負い、今もそれに苦しめられていること。
そして、その罪はいつか許される時がくるのかどうかということ。
その重い判断を、見る者に投げかけてくる作品だということです。
鈴木君は、過去に何人もの子供の命を奪った快楽殺人者ですが、現在はその罪の意識に苛まれ、なんとかまっとうに生きようともがいています。
一方の増田君は、中学生の頃、いじめられっ子の友人を土壇場で突き放し、自殺に追い込んだという経験がトラウマとなり、今もその友人の家に通いながら懺悔をするという毎日です。
最終的に増田君は、自分のミスで正体がバレ、行方をくらました鈴木君を探すべく旅に出ます。
「今度こそ友人を死なせたくないから」とつぶやきながら。
さて、問題は、ここからです。
何人もの子供の命を自分の快楽のため奪ったという鈴木君の過去の罪。
たとえそれが思春期の気まぐれから行われた一過性の殺人だとしても、それは赦すことのできるものなのかどうかということ。
増田君は許すほうに舵を取るわけですが、そしてそれがこの映画のラストにおける唯一の光明に見えるのですが、でもそれってどうなのでしょうか?
全編を通してむかつく映画ですが、ちなみに私がいちばん腹が立ったのは、増田君のスマホから鈴木君の動画を勝手にメールに貼りつけて編集部に送っていた元カノの山本美月。
「あんた、可愛い顔してそれは人間としてどうなの?」
と思わず言いたくなりました。
半面、哀れでならないのは鈴木君に一時好意を抱き、正体を知って逃げ出す夏帆演じるところの女の子。自業自得の面もあるでしょうけど、この子の人生、もう少しなんとかならなかったのでしょうかね。
ある町工場に、ふたりの青年が試採用されます。
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近所で子どもの惨殺事件が発生したことから、増田君は鈴木君に疑いの目を向け始め…。
というのがメインのお話で、そこに息子の交通事故で一家離散の憂き目にあったタクシー運転手(佐藤浩市)、彼の息子で若い頃無免許運転で3人の子供の命を奪いながら、最近彼女ができ、結婚しようとしている青年、高卒で東京に出てきて、恋人にだまされてAVの世界に足をつっこんだクレーム処理係の若い女(夏帆)、過去に鈴木君を更生させようとした挙句、実の娘をないがしろにしてしまい、今も恨まれている養護施設職員の女性(富田靖子)、増田君の元カノで小学生殺人事件を追う女性雑誌ライター(山本美月)などが絡み、事態はカオスの様相を呈していくのですが…。
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「今度こそ友人を死なせたくないから」とつぶやきながら。
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たとえそれが思春期の気まぐれから行われた一過性の殺人だとしても、それは赦すことのできるものなのかどうかということ。
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「あんた、可愛い顔してそれは人間としてどうなの?」
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半面、哀れでならないのは鈴木君に一時好意を抱き、正体を知って逃げ出す夏帆演じるところの女の子。自業自得の面もあるでしょうけど、この子の人生、もう少しなんとかならなかったのでしょうかね。
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