気まぐれシネマレビュー

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#21 石原さとみ最強伝説② ~私のグランパ~

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 その程度で最強?

 ちょっとほめ過ぎじゃないの?

 という方のためにもうひとつ、「石原さとみ=ワンダーウーマン説」を証明する映画をご紹介します。

 彼女のデビュー作、「私のグランパ」がそれです。

 この作品、原作はなんとあのSF界の巨匠、筒井康隆です。「時をかける少女」の原作者といったほうが、今のお若い方にはわかりやすいでしょうか。

 でも、内容は「時かけ」のようなSFではありません。いじめられっ子の女子中学生の家に、刑務所から出てきた元やくざの祖父が同居することになり、ふたりの間に次第に心の交流が生まれていくといった、いわばハートウォーミングな現代劇なのです。

 デビューしたての石原さとみは、顔立ちこそ今と変わらないものの、眉毛の太いどこかあか抜けない少女です。

 その石原さとみですが、終盤、祖父の命を狙うやくざに拉致され、倉庫みたいなところに監禁されて、椅子に縛りつけられてしまいます。

 さて、問題はここからです。

 彼女がやくざに乱暴されそうになったその瞬間。

 あろうことか、石原さとみは椅子ごと空中に浮きあがります。

 麻原彰晃もまっさおになるくらい、見事に空中浮遊して難を逃れるのです。

 先にも書きましたが、これはSF映画ではありません。

 彼女に超能力が備わっているという伏線も、まったくなかったのです。

 舞台となる倉庫が、ポルターガイスト現象の起こりやすい心霊スポットだったという説明ももちろんなし。

 初め見た時、自分の目の錯覚かと疑いました。

 が、検索してみると、同様のシーンに仰天した人たちがけっこういて、公開当時、喧々諤々の議論を呼んでいたという事実が判明しました。

 ちなみに、なぜこんな原作にもない奇天烈なシーンが登場する羽目に陥ったかというと、

「ちょっとやってみたかった」(監督談)からだそうです。

 …あり得ないですよね。

 この作品、少なからず賞を取っていて、石原さとみも新人賞に輝いたりしているのですが、審査員たちはあの空中浮遊シーンを見て、なんとも思わなかったのでしょうか。うーん、よくわからない。


 ともあれ、ただ剛腕なだけでなく、超能力をも身につけている石原さとみ。

「アンナチュラル」のミコトのような知的な役もこなし、英語もしゃべる(ちょっと巻き舌だけど)。

 やはり、彼女こそ「日本版ワンダーウーマン」にふさわしいと思うのですが、いかがでしょうか。
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