気まぐれシネマレビュー

戸影絵麻

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#16 Wアイドル競演! ~検察側の罪人~

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 木村拓哉、二宮和也のW主演ということで、公開当時かなり話題になっていましたから、覚えている方も多いのではないでしょうか。

 私的理由のため、法を曲げてまである男を有罪にしようとする検事をキムタクが、そのキムタクの行動に疑念を抱き、真相を明らかにしようと奔走する新米検事をニノが演じています。

 当時、キムタクファンの間から、「キムタクがニノの引き立て役にされて不愉快だった」という声が上がっていましたが、これはある意味正鵠を射ているといっていいかもしれません。

 といっても、別に木村拓哉の演技が悪いとか、そういう問題ではないのです。役柄が損、ということでもない。

 原因は、二宮君の怪演にあります。

 おそろしくダークな医療ものとして人気を博したテレビドラマ、「ブラックペアン」をご覧になった方はおわかりかと思いますが、この人、危ない役をやらせると実にうまい。

 この「検察側の罪人」では新米検事という役どころなので、彼がそのハイテンション・サイコパスの片鱗を見せるのはほんのワンシーンだけのことなのですが、これがすごい。

 映画全体の印象など吹き飛んでしまうようなこの怪演のおかげで、キムタクの熱演もかすんでしまったのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

 映画としてはそこそこ楽しめ、悪くないと思います。ただ、ひとつ納得できなかったのは、ラストのキムタクの台詞。

 ほぼ私的な復讐のために捜査を陰で操っていたはずなのに、いくらニノを説得するためとはいえ、突然「国家を守るため」みたいな綺麗事を言い出すので、見ているほうは、

「え? 今まであんたそんなこと言ってたっけ?」

 とあっけに取られてしまいます。

 まあ、確かに並行して政治的な事件も描かれてはいたのですが…。

 個人的には、私怨に徹する悪徳検事を貫いてほしかったと思います。

 
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