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第6章 ネオ・チャイナの野望

#41 前哨戦⑥

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「始まったぞ」

 カイトに風を受けて空中に踏みとどまりながら、伝声菅に向けてアニムスは言った。

「うん。すごいね。砂の津波が敵軍を次々に呑み込んでくよ」

 答えたのは、すぐそばでたゆたっている妹のアニマだ。

 アニムスはルビイ用とアニマ用の二本の伝声菅を通信手段としているのだ。

「おいらたちの役目はここまでだ。後は高みの見物とシャレこもうぜ」

 上空からボウガンで矢を放ち、敵の注意を引いてエリスの魔法詠唱の時間を稼ぐ。

 それが双子に与えられた使命である。

 後はルビイたちがどう動くのか、ここから見守っていればいい。

 今、眼下では不思議な光景が展開されていた。

 轟天号の客車の幌に大きな板を立てかけ、その前でルビイが鉄馬にまたがっている。
 
 ルビイがふかす巨大なモーターサイクルのエンジン音が、砂嵐をつんざいてここまで聞こえてくるようだ。

 やがて頑丈なブーツの底で大地を蹴ると、ルビイが胸に鉄馬のハンドルを引きつけた。

 前輪を上げたまま、轟音とともにハーレーが走り出す。

 見事なウィリーの体勢でラワン材の発射台を駆け登ると、爆音をあげて空中に飛び出した。

「げ! マジかよ! ルビイが飛んだ!」

 アニムスが驚嘆の声を上げた時だった。

「お兄ちゃん、見て!」

 カイトから身を乗り出して、アニマが叫んだ。

 見ると、南のほうを指差して驚きに目を見開いている。

「鬼の軍団だよ! 南のあの砂の丘に隠れてたんだわ!」
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