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第6章 ネオ・チャイナの野望

#33 戦況

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 翌日、王都ミネルヴァへ帰還したルビイたちは、混乱を避けるべく、轟天号を門外に置き、徒歩で城に赴いた。

 仲間たちが休息をとっている間に、ルビイはマリウスに会うことにした。

 童子との約束は明日の午後。

 とにかく事は緊急を要するのだ。

 サトを伴って、議員会館にいるというマリウスを訪ねると、マリウスは執政官室で書き物の最中だった。

 ノックをするのももどかしく扉を開けて中に入ると、マホガニー製のデスクの向こうからマリウスが顔を上げ、ルビイを見た。

「ルビイ…無事だったか。サトの話は、本当だったんだな」

 マリウスの顔には複雑な表情が浮かんでいる。

 喜び、そして、後ろめたさ。

 ここを発つ前、淫夢魔に憑りつかれたマリウスは、ゾンビと化した老王とともに、ルビイの死体を凌辱した。

 あの時の罪悪感を払拭し切れていないのに違いない。

「ええ、なんとか」

 ルビイは首を振って、長い髪を背中に流した。

「インキュバス族のおかげで、ほら、この通り」

「信じられない…。完全に回復しただけでなく、以前よりも輝いて見える…」

「賢者の遺産…常世の虫…機械知性体イブ。さまざまなものたちが、私に加護を与えてくれたので」

「よかった…」

 マリウスは細かいことは聞かなかった。

 ただ、その眼に涙を浮かべただけだった。

「サト、ありがとう」

 ルビイの肩越しに、戸口で控えているサトに声をかけた。

 謎めいた微笑でそれに応えるサト。

「それより、戦況は?」

 ルビイを抱きしめようと立ち上がったマリウスを手振りで制して、ルビイはたずねた。

「よくない」

 マリウスがまた椅子に坐り込み、両手で顔を覆った。

「現在、我々は、ネオ:チャイナから脅迫されている。ゾハクたちの部隊を操って彼らに戦闘をしかけたのは、ミネルヴァだろう。やつらはそう言っている。真相を明らかにしないと、ゾハクたちを皆殺しにしたうえ、西大陸にに進撃を開始するそうだ」
 
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