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第5章 屑肉と化した女戦士は魔王討伐の夢を見るか
#25 禁断の地⑫
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準備を整えた轟天号がミネルヴァを出たのは、正午過ぎのことだった。
客車をけん引するハーレーには、サトとアニムス、客車には簡易ベッドに乗せられたルビイと他のメンバーが搭乗した。
サトがアニムスを後部シートに乗せたのは、消去法の結果である。
エリスとアニマが、生命活動を開始したばかりのルビイの看護にあたり、マグナを主砲の砲手に固定すると、どうしてもアニムスだけが余るのだ。
むろん、グロッタ行の時のように、アニムスに魔物の監視を任せる手もあるが、正直なところ、これから向かうサトの故郷までの道のりに魔物が出没する可能性は低かった。
行く先々にはミネルヴァの属州が広がっていて、行程自体に危険はないのである。
ということであれば、周囲の監視もマグナに任せて、アニムスは話し相手に置いておくのがちょうどいい。
今年12歳になるアニムスは、思春期にさしかかり、何事にも好奇心旺盛だ。
蕩源郷の淫靡な風に当てられて精神を病まないよう、事前に教育を施しておく必要がある。
そのことも考慮して、サトの戦闘服は例のボンテージスーツだ。
今朝方マリウスを”調教”した時と同じ、妖艶極まりないスタイルである。
胸当てとボトムとの間にのぞくサトのくびれた腰に両手を回したアニムスが、出発時からドキドキしっ放しであることは、背中に伝わる鼓動と尻に当たる硬いしこりでわかった。
少年が、いつになく興奮している証拠だった。
「ねえ、サトの故郷って、どんなところなの? そこにはインキュバスとサキュバスしかいないんだよね?」
サトの背に頬を押しつけたまま、アニムスが訊く。
「基本的には、そうですね。蕩源郷は、”いのちの森”の奥にあります。ですが、普通の者には、その入口は感知できません。インキュバス族は夜しか活動しないので、昼間はおおむね地下で眠っています。彼らは特に戦闘的な種族ではありませんから、こちらが何もしなければ危害を加えられることはないでしょう。ただ、噂の通り、性的にはきわめて自由奔放ですから、気を緩めていると悪戯をしかけられることがあるので、注意が必要です」
悪戯で済めばいいのだが、と思いながら、サトはかなり事実を間引いて説明した。
アニムスが下手に興味を持ってしまい、サキュバスの虜にでもなったら、それこそ目も当てられない。
「でも、そんなところで、ルビイは本当に治るのかなあ? まさか、あのまま、ずっと目を覚まさなかったりして」
「”いのちの森”の下には、この星の生命エネルギーの流れである、龍脈が通っています。その龍脈に涌く虫を、彼らは常世の虫と呼び、さまざまな治療に応用しています。ルビイさまも、この星の生命の一部である以上、治らないはずがありません」
「てことは、そこで暮らしてる者はみんな、不老不死ってわけ?」
「望めばどれだけでも延命は可能でしょうが…ただ、インキュバス族は刹那の快楽を愛する種族。ですから、誰も不死など望まないのですよ」
「そういうサトもかい?」
「ええ」
アニムスの旺盛な好奇心に、サトは口元に苦笑を浮かべた。
「性奴隷の人生が永遠に続くなんて、アニムスさまは楽しいとお思いですか?」
客車をけん引するハーレーには、サトとアニムス、客車には簡易ベッドに乗せられたルビイと他のメンバーが搭乗した。
サトがアニムスを後部シートに乗せたのは、消去法の結果である。
エリスとアニマが、生命活動を開始したばかりのルビイの看護にあたり、マグナを主砲の砲手に固定すると、どうしてもアニムスだけが余るのだ。
むろん、グロッタ行の時のように、アニムスに魔物の監視を任せる手もあるが、正直なところ、これから向かうサトの故郷までの道のりに魔物が出没する可能性は低かった。
行く先々にはミネルヴァの属州が広がっていて、行程自体に危険はないのである。
ということであれば、周囲の監視もマグナに任せて、アニムスは話し相手に置いておくのがちょうどいい。
今年12歳になるアニムスは、思春期にさしかかり、何事にも好奇心旺盛だ。
蕩源郷の淫靡な風に当てられて精神を病まないよう、事前に教育を施しておく必要がある。
そのことも考慮して、サトの戦闘服は例のボンテージスーツだ。
今朝方マリウスを”調教”した時と同じ、妖艶極まりないスタイルである。
胸当てとボトムとの間にのぞくサトのくびれた腰に両手を回したアニムスが、出発時からドキドキしっ放しであることは、背中に伝わる鼓動と尻に当たる硬いしこりでわかった。
少年が、いつになく興奮している証拠だった。
「ねえ、サトの故郷って、どんなところなの? そこにはインキュバスとサキュバスしかいないんだよね?」
サトの背に頬を押しつけたまま、アニムスが訊く。
「基本的には、そうですね。蕩源郷は、”いのちの森”の奥にあります。ですが、普通の者には、その入口は感知できません。インキュバス族は夜しか活動しないので、昼間はおおむね地下で眠っています。彼らは特に戦闘的な種族ではありませんから、こちらが何もしなければ危害を加えられることはないでしょう。ただ、噂の通り、性的にはきわめて自由奔放ですから、気を緩めていると悪戯をしかけられることがあるので、注意が必要です」
悪戯で済めばいいのだが、と思いながら、サトはかなり事実を間引いて説明した。
アニムスが下手に興味を持ってしまい、サキュバスの虜にでもなったら、それこそ目も当てられない。
「でも、そんなところで、ルビイは本当に治るのかなあ? まさか、あのまま、ずっと目を覚まさなかったりして」
「”いのちの森”の下には、この星の生命エネルギーの流れである、龍脈が通っています。その龍脈に涌く虫を、彼らは常世の虫と呼び、さまざまな治療に応用しています。ルビイさまも、この星の生命の一部である以上、治らないはずがありません」
「てことは、そこで暮らしてる者はみんな、不老不死ってわけ?」
「望めばどれだけでも延命は可能でしょうが…ただ、インキュバス族は刹那の快楽を愛する種族。ですから、誰も不死など望まないのですよ」
「そういうサトもかい?」
「ええ」
アニムスの旺盛な好奇心に、サトは口元に苦笑を浮かべた。
「性奴隷の人生が永遠に続くなんて、アニムスさまは楽しいとお思いですか?」
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