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第5章 屑肉と化した女戦士は魔王討伐の夢を見るか
#4 ルビイの亡骸④
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荒れ地を抜けるまでは、何かと忙しかった。
夜になるのを待って、魔狼の群れが襲撃してきたからである。
防戦は主にマグナとアニムスが担当した。
エリスは精神にダメージを受けたせいで魔法が一時的に使えなくなっていた。
その上サトが轟天号の操縦に専念しなければならないため、そのフォローを受けられないでいた。
それでも、轟天号にはさまざまな武器が備わっていたので、慌てさえしなければ並走して体当たりを仕掛けてくる魔狼たちを、1頭ずつ仕留めていくのは可能だった。
客車側面から飛び出す槍。
後部に設置された投石器。
それに加えて自分の武器であるボウガンを駆使して、夜が明けるまでにはなんとか魔物の群れを振り切ることができた。
途中で小型のハルピの群れにも襲撃されたが、これは主にマグナが主砲で片づけた。
「ごくろうさまです。よくがんばりました。もうすぐ夜明け。明るくなれば、魔物の襲撃も収まると思います」
操縦席に顔を出すと、モーターサイクルのハンドルを握ったまま、サトがねぎらいの言葉をかけてくれた。
ルビイの死体のある客車に戻る気になれず、報告を済ませると、アニムスはそのままシートに腰を落ち着けた。
正直、サトは苦手である。
浅黒い肌。
アーモンド形の眼。
尖った顎。
いかにも女らしいその躰のライン。
サトが、とてつもなくコケティッシュな美少女であることは確かだった。
だが、何を考えているかわからないし、何よりも、近くにいるとなぜか居心地が悪くなってくるのだ。
それが、サトの甘い体臭のせいなのか、少しハスキーな声のせいなのか、その体つきのせいなのか、熱っぽいまなざしのせいなのか、アニムスにはわからない。
とにかく、サトに近づいたり、その姿を間近に見たりするだけで、下半身の一部がムズムズしてくるのである。
アニムスは12歳。
まだ精通はない。
が、第二次性徴期のとば口に立った少年の性の目覚めを喚起する蠱惑的な魅力を、サトはその身に備えていた。
今もちょうどそうだった。
後ろから乗り出すと、サトの服の胸元が大きく開いていて、雪のように真っ白な乳房の一部が見えた。
モーターサイクルのシートにまたがっているせいで、ただでさえ短いスカートがめくれあがり、むっちりした太腿がつけ根近くまで見えていた。
「まだ何か?」
そこに眼が釘付けになって動けないでいると、珍しくサトのほうから話しかけてきた。
「あ、いや、その」
どぎまぎして、たちまちしどろもどろになるアニムス。
妹のアニマ、魔導士のエリス、格闘士のマグナ。
他のメンバーも性別上はは皆女だが、サトとは人種が違うように見えるのだ。
「あのさ、あの機械人形たちのことだけど…サトはどう考えてるのかな、と思って」
噛まないように気をつけながら、アニムスは少しずつ胸の底にわだかまる疑念を吐き出し始めた。
夜になるのを待って、魔狼の群れが襲撃してきたからである。
防戦は主にマグナとアニムスが担当した。
エリスは精神にダメージを受けたせいで魔法が一時的に使えなくなっていた。
その上サトが轟天号の操縦に専念しなければならないため、そのフォローを受けられないでいた。
それでも、轟天号にはさまざまな武器が備わっていたので、慌てさえしなければ並走して体当たりを仕掛けてくる魔狼たちを、1頭ずつ仕留めていくのは可能だった。
客車側面から飛び出す槍。
後部に設置された投石器。
それに加えて自分の武器であるボウガンを駆使して、夜が明けるまでにはなんとか魔物の群れを振り切ることができた。
途中で小型のハルピの群れにも襲撃されたが、これは主にマグナが主砲で片づけた。
「ごくろうさまです。よくがんばりました。もうすぐ夜明け。明るくなれば、魔物の襲撃も収まると思います」
操縦席に顔を出すと、モーターサイクルのハンドルを握ったまま、サトがねぎらいの言葉をかけてくれた。
ルビイの死体のある客車に戻る気になれず、報告を済ませると、アニムスはそのままシートに腰を落ち着けた。
正直、サトは苦手である。
浅黒い肌。
アーモンド形の眼。
尖った顎。
いかにも女らしいその躰のライン。
サトが、とてつもなくコケティッシュな美少女であることは確かだった。
だが、何を考えているかわからないし、何よりも、近くにいるとなぜか居心地が悪くなってくるのだ。
それが、サトの甘い体臭のせいなのか、少しハスキーな声のせいなのか、その体つきのせいなのか、熱っぽいまなざしのせいなのか、アニムスにはわからない。
とにかく、サトに近づいたり、その姿を間近に見たりするだけで、下半身の一部がムズムズしてくるのである。
アニムスは12歳。
まだ精通はない。
が、第二次性徴期のとば口に立った少年の性の目覚めを喚起する蠱惑的な魅力を、サトはその身に備えていた。
今もちょうどそうだった。
後ろから乗り出すと、サトの服の胸元が大きく開いていて、雪のように真っ白な乳房の一部が見えた。
モーターサイクルのシートにまたがっているせいで、ただでさえ短いスカートがめくれあがり、むっちりした太腿がつけ根近くまで見えていた。
「まだ何か?」
そこに眼が釘付けになって動けないでいると、珍しくサトのほうから話しかけてきた。
「あ、いや、その」
どぎまぎして、たちまちしどろもどろになるアニムス。
妹のアニマ、魔導士のエリス、格闘士のマグナ。
他のメンバーも性別上はは皆女だが、サトとは人種が違うように見えるのだ。
「あのさ、あの機械人形たちのことだけど…サトはどう考えてるのかな、と思って」
噛まないように気をつけながら、アニムスは少しずつ胸の底にわだかまる疑念を吐き出し始めた。
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