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第4章 洞窟都市グロッタ

#45 黄金都市の秘密⑯

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 ルビイをつかもうと襲い来る6本の腕。
 
 その狭間をすり抜けて突き上げられた大剣の切っ先が、アダムの右目を貫いた。

 火花が散り、アダムの動きが一瞬止まる。

 やった!

 よし、次!

 剣を引き抜いて左眼を狙おうとした時だった。

 腕の一本がだしぬけに動いて、ルビイの手から大剣を奪い取った。

「何の真似だ?」

 右目から剣を引き抜いて遠くに放り投げると、アダムの最上段の手が、がっしりとルビイの両腕をつかんだ。

 軽々と身体ごと持ち上げられた。

「何の真似だと訊いている」

 2対目の腕が、吊り上げられたルビイの太腿をつかむ。

 4本の手がルビイの四肢を鷲掴みにして、ものすごい力で捩じ切りにかかった。

 肩の関節が軋み、股関節が悲鳴を上げた。

「どうした? 動けないのか?」

 嘲るようにアダムが言った。

「それでも戦士なのか? くっ、弱すぎる」

 弱すぎる…。

 この私が?

 ルビイは屈辱と痛みで首のつけ根まで赤くなった。

 だが、それは紛れもない事実だった。

 右目を潰されたことなど、アダムには痛くもかゆくもないようだ。

 それどころか、体勢は逆転し、今やルビイはバラバラに引き裂かれようとしているのだ。

「聞くところによると、おまえは魔王と戦おうとしていたようだが」

 ルビイの両手両足を関節とは逆方向にねじりながら、アダムが続けた。

「そんなことで、本当にあの魔王を討てると思っていたのか? おまえがここまで来られたのは、ひとえに仲間のおかげだろう。おまえ自身の力など、まったく大したことないのだよ。それにまだ気づかないのか?」

 ああ…確かに、そう…。

 右腕を捩じ切られ、ルビイは悟った。

 リーダーとは名ばかりで、私はチームの足を引っ張ってばかりいた。

 本当に活躍したのは、マグナであり、双子であり、エリス…。

 そして、エリスを陰で支えたサトだったのだ。

 私は…。

 私はいったい…?

 その時、ルビイの混乱を、激烈な痛みが遮った。
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