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第4章 洞窟都市グロッタ
#40 黄金都市の秘密⑪
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がくんと衝撃が来て、エレベーターが停止した。
「こ、これは…?」
ルビイは舌を巻いた。
するすると音もなく開いた扉の先は、まさに地上の楽園だった。
綺麗に舗装された広い道路。
優美な曲線を描く、不思議な形の建物の列。
遠近法の収束点に、巻貝そっくりのフォルムをしたひと際巨大な建造物がそびえ立っている。
地底だというのに、頭上には青空が広がり、所々に綿飴のような千切れ雲が浮かんでいた。
これはおそらく、500年前の古代都市。
まだ人間が機械に依存していた頃の、超文明社会。
機械知性体のアダムとイブは、黄金都市グロッタを占拠して、過去の遺産を復元したということか。
「人が歩いてる…。人だけじゃない。オークやゴブリンも…」
まだ魔法発動の恍惚感が尾を引いているのか、夢見るような口調でエリスが言った。
「あの規則正しい歩き方…きっと、みんな、機械人形でしょうね」
「マジかよ」
サトの言葉に、アニムスが露骨に嫌な顔をした。
「これがみんな、人間や魔物の皮をかぶった機械だっていうのかよ。ったく、わけわかんねえ」
「でも、綺麗なとこだよね。どこもかしこもキラキラしてて、まるで天国みたい。ここなら病気もないし、貧乏もお金持ちもないみたいな…」
アニマはすっかり、きらびやかな住民たちの衣装に心を奪われてしまっているようだ。
「けっ。そんなうまい話があるもんか。どっかに罠があるんだよ。おっかない罠がな」
アニムスが吐き捨てるように言ったその刹那、ふいに頭上で声がした。
-警告! 警告! 侵入者発見! 繰り返します! 第7居住区において、侵入者を発見しました!
「なにかしら?」
空を振り仰いだルビイは、見た。
空中に大型のテントウムシのようなものが浮かんでいる。
メタリックな外観からして、どうやら機械のようだ。
「くそ、見つかりやがったか!」
アニムスがボウガンを構え、振り向きざま、発射した。
「こ、これは…?」
ルビイは舌を巻いた。
するすると音もなく開いた扉の先は、まさに地上の楽園だった。
綺麗に舗装された広い道路。
優美な曲線を描く、不思議な形の建物の列。
遠近法の収束点に、巻貝そっくりのフォルムをしたひと際巨大な建造物がそびえ立っている。
地底だというのに、頭上には青空が広がり、所々に綿飴のような千切れ雲が浮かんでいた。
これはおそらく、500年前の古代都市。
まだ人間が機械に依存していた頃の、超文明社会。
機械知性体のアダムとイブは、黄金都市グロッタを占拠して、過去の遺産を復元したということか。
「人が歩いてる…。人だけじゃない。オークやゴブリンも…」
まだ魔法発動の恍惚感が尾を引いているのか、夢見るような口調でエリスが言った。
「あの規則正しい歩き方…きっと、みんな、機械人形でしょうね」
「マジかよ」
サトの言葉に、アニムスが露骨に嫌な顔をした。
「これがみんな、人間や魔物の皮をかぶった機械だっていうのかよ。ったく、わけわかんねえ」
「でも、綺麗なとこだよね。どこもかしこもキラキラしてて、まるで天国みたい。ここなら病気もないし、貧乏もお金持ちもないみたいな…」
アニマはすっかり、きらびやかな住民たちの衣装に心を奪われてしまっているようだ。
「けっ。そんなうまい話があるもんか。どっかに罠があるんだよ。おっかない罠がな」
アニムスが吐き捨てるように言ったその刹那、ふいに頭上で声がした。
-警告! 警告! 侵入者発見! 繰り返します! 第7居住区において、侵入者を発見しました!
「なにかしら?」
空を振り仰いだルビイは、見た。
空中に大型のテントウムシのようなものが浮かんでいる。
メタリックな外観からして、どうやら機械のようだ。
「くそ、見つかりやがったか!」
アニムスがボウガンを構え、振り向きざま、発射した。
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