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第4章 洞窟都市グロッタ
#33 黄金都市の秘密④
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グロッタの門に続く山肌に刻まれた正規のルートとは別に、隧道の入口は、教会の敷地の裏、山の斜面に沿って段々につくられた墓地のはずれにあった。
そのあたりは広い更地になっていて、そこここに土砂を積み上げた小山が点在している。
岸壁と岸壁の間に縦に裂け目ができていて、その奥に向かって二本の軌道が続いているのが見える。
「トンネルっていうより、超狭い渓谷って感じだな」
中をのぞきこんで、アニムスが感想を述べた。
岩盤と岩盤に挟まれた隧道ははるかな高みに隙間が開いていて、所々空が見えている。
だから中は比較的明るく、照明の必要はなさそうだ。
「ま、これなら我慢できそうだ。ねずみやコウモリも見当たらないし」
「どうかなあ。安心するのはまだ早いと思うよ」
閉所恐怖症の兄を、肝の座った妹が横からからかっている。
「でも、この線路みたいなのはなんでしょう? 蒸気列車の軌道にしては、間隔が狭すぎやしませんか?」
おぼつかない足取りで歩きながら、誰にともなくエリスがたずねた。
さすがに寒いのか、きょうのエリスはいつものドレスではなく、厚手のワンピースの上から短いコートを羽織っている。
「採掘場から土砂を運び出すトロッコの軌道じゃないかしら。つまり、これをたどって行けば、間違いなく目的地に着けるってこと」
「ああ、なるほど。トロッコがあるなら、それに乗っていきたいとこですけど…。私、歩くのあまり得意じゃなくて…」
「今はこちら側には来ていないようね。残念ながら、歩くしかないわ」
ルビイの言葉に、
「ふああ、やっぱり」
と、あからさまに落胆するエリス。
確かに魔導士の服装は、登山向きとはとうていいえそうもない。
「心配いりません。歩くのが辛くなったら、いつでもおっしゃってくださいまし。このサトが背負ってさしあげます」
すました顔でサトが口をはさむと、
「あ、ありがとうございます」
サトの柔肌の感触でも思い出したのか、エリスはポッと頬を赤く染めた。
そのあたりは広い更地になっていて、そこここに土砂を積み上げた小山が点在している。
岸壁と岸壁の間に縦に裂け目ができていて、その奥に向かって二本の軌道が続いているのが見える。
「トンネルっていうより、超狭い渓谷って感じだな」
中をのぞきこんで、アニムスが感想を述べた。
岩盤と岩盤に挟まれた隧道ははるかな高みに隙間が開いていて、所々空が見えている。
だから中は比較的明るく、照明の必要はなさそうだ。
「ま、これなら我慢できそうだ。ねずみやコウモリも見当たらないし」
「どうかなあ。安心するのはまだ早いと思うよ」
閉所恐怖症の兄を、肝の座った妹が横からからかっている。
「でも、この線路みたいなのはなんでしょう? 蒸気列車の軌道にしては、間隔が狭すぎやしませんか?」
おぼつかない足取りで歩きながら、誰にともなくエリスがたずねた。
さすがに寒いのか、きょうのエリスはいつものドレスではなく、厚手のワンピースの上から短いコートを羽織っている。
「採掘場から土砂を運び出すトロッコの軌道じゃないかしら。つまり、これをたどって行けば、間違いなく目的地に着けるってこと」
「ああ、なるほど。トロッコがあるなら、それに乗っていきたいとこですけど…。私、歩くのあまり得意じゃなくて…」
「今はこちら側には来ていないようね。残念ながら、歩くしかないわ」
ルビイの言葉に、
「ふああ、やっぱり」
と、あからさまに落胆するエリス。
確かに魔導士の服装は、登山向きとはとうていいえそうもない。
「心配いりません。歩くのが辛くなったら、いつでもおっしゃってくださいまし。このサトが背負ってさしあげます」
すました顔でサトが口をはさむと、
「あ、ありがとうございます」
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