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第4章 洞窟都市グロッタ
#12 呪われた土地⑦
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野営地にした墳墓は、6人が入るのにちょうどいい広さだった。
轟天号の本体もそれなりのスペースは取ってあるのだが、やはり揺れない地面が恋しいらしく、車が止まると全員がぞろぞろ外に降りてきた。
「あー、肩が凝った。おいら、今夜はこっちで寝るから」
固い石畳の地面にシートを敷くと、さっそくアニムスがごろりと横になる。
「同感だな。こんな荒れ地でも、やはり外のほうが空気がうまい」
壁際に胡坐をかいて、マグナが同意する。
「できればお風呂に入りたいんですけど…どこかに小川でもありませんか?」
汗ばんだ金髪を指先で梳かしながら、エリスがキョロキョロ周りを見回した。
「北稜山脈のふもとに、小さな村があるわ。そこに着くまで我慢することね。ここから先はえんえんと荒れ地が続く。雨でも降らない限り、水にありつくのはまず無理よ」
「はああ」
エリスがため息をついた時、両腕にいっぱいに雑嚢を抱えたアニマが入ってきた。
「そんなことより、まず夕食だよ。非常食しかないけどさ、何も食べないよりましじゃない?」
「ですね。食事の後、グロッタ潜入の最終確認を。ミルナの村まであと一日はかかりそうですから」
サトがうなずいて、一同に食べ物を配るのを手伝った。
干物の肉と干した果物。
水筒の水は回し飲みである。
量が少ないので、全員が食べ終えるのに大して時間はかからなかった。
6人が車座に坐り直すと、ルビイはマリウスからもらった羊皮紙の地図を地面に広げた。
サトがランプで手元を照らす。
「ここから約一日で、山脈のふもとのミルナの村。ミルナはすでに魔物にやられて無人らしい。そこを奪還して、轟天号を隠す。あとはほら、村の裏から山に入るこの隧道を潜って、地下からグロッタに」
「地下道かよ。あんまりぞっとしねえな」
ぼやくアニムスを、アニマがからかった。
「アニムスったら、閉所恐怖症なの。普段威張ってるけど、狭いとこや暗いとこが大嫌いなんだよ」
「うっせえな。しょうがねえだろ。ねずみとかコウモリとか、おいら、ああいうの駄目なんだよ」
「ねずみやコウモリ程度ならいいが」
アニムスを遮るように、マグナがつぶやいた。
「ミルナもグロッタも魔物に占拠されているなら、当然、その隧道の中もそうだろう」
轟天号の本体もそれなりのスペースは取ってあるのだが、やはり揺れない地面が恋しいらしく、車が止まると全員がぞろぞろ外に降りてきた。
「あー、肩が凝った。おいら、今夜はこっちで寝るから」
固い石畳の地面にシートを敷くと、さっそくアニムスがごろりと横になる。
「同感だな。こんな荒れ地でも、やはり外のほうが空気がうまい」
壁際に胡坐をかいて、マグナが同意する。
「できればお風呂に入りたいんですけど…どこかに小川でもありませんか?」
汗ばんだ金髪を指先で梳かしながら、エリスがキョロキョロ周りを見回した。
「北稜山脈のふもとに、小さな村があるわ。そこに着くまで我慢することね。ここから先はえんえんと荒れ地が続く。雨でも降らない限り、水にありつくのはまず無理よ」
「はああ」
エリスがため息をついた時、両腕にいっぱいに雑嚢を抱えたアニマが入ってきた。
「そんなことより、まず夕食だよ。非常食しかないけどさ、何も食べないよりましじゃない?」
「ですね。食事の後、グロッタ潜入の最終確認を。ミルナの村まであと一日はかかりそうですから」
サトがうなずいて、一同に食べ物を配るのを手伝った。
干物の肉と干した果物。
水筒の水は回し飲みである。
量が少ないので、全員が食べ終えるのに大して時間はかからなかった。
6人が車座に坐り直すと、ルビイはマリウスからもらった羊皮紙の地図を地面に広げた。
サトがランプで手元を照らす。
「ここから約一日で、山脈のふもとのミルナの村。ミルナはすでに魔物にやられて無人らしい。そこを奪還して、轟天号を隠す。あとはほら、村の裏から山に入るこの隧道を潜って、地下からグロッタに」
「地下道かよ。あんまりぞっとしねえな」
ぼやくアニムスを、アニマがからかった。
「アニムスったら、閉所恐怖症なの。普段威張ってるけど、狭いとこや暗いとこが大嫌いなんだよ」
「うっせえな。しょうがねえだろ。ねずみとかコウモリとか、おいら、ああいうの駄目なんだよ」
「ねずみやコウモリ程度ならいいが」
アニムスを遮るように、マグナがつぶやいた。
「ミルナもグロッタも魔物に占拠されているなら、当然、その隧道の中もそうだろう」
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