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第4章 洞窟都市グロッタ
#1 出陣①
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王立生物学研究所が焼け落ちたあの日から、数日が経過した。
その間、執政官に就任したマリウスは、連日のように側近を集め、会議を開いた。
大陸のあちこちに放った斥候からの報告は、かんばしいものではなかった。
東方の大帝国ネオ・チャイナが、点在する小国を束ね、中央平原まで兵を進めてきたのである。
西方で魔王討伐の動きがあることをいち早く察しての布陣に違いなかった。
ネオ・チャイナの皇帝玄武が、ひそかに魔王と通じていることは、今や火を見るよりも明らかだった。
「こうしてはおれん。もう一度北稜諸国に使いを出せ。北が動けば南も動く。わがミネルヴァが中心となって、魔王討伐軍を編成するのだ」
いきりたつマリウスに、側近のひとりが言った。
「お言葉ですが、執政官。あまり目立った動きをすると、いたずらにネオ・チャイナを刺激するだけではないかと」
「連合軍さえ結成できれば、中華野郎など怖くはない。ぼやぼやしてると、やつらの後ろから魔王が姿を現すぞ」
「北稜諸国といえば、最近不穏な噂を耳にしたのですが・・・」
すかさず、別の側近が横から口をはさんだ。
「黄金の産地として有名な、洞窟都市グロッタで、どうやらクーデターが起こったらしいとか・・・」
「グロッタだと?」
マリウスが虚をつかれたように、目を見開いた。
「それは、本当か?」
会議室の片隅で長い脚を組んでいたルビイは、その言葉にふと顔を上げた。
グロッタといえば、このミネルヴァとも交易が盛んな西大陸の拠点である。
そこを落とされると、大陸の西側諸国は一気に貴重な財源を失うことになる。
「ええ・・・唯一、生き残って戻ってきた斥候が言うには、グロッタはすでに魔物に支配されかかっていると・・・」
「魔物に?」
マリウスが、すがるようなまなざしをルビイに向けた。
ルビイの前で性器を怒張させ、射精を乞う時のあの顔だ。
「ルビイ、行けるか?」
懸命に威厳を保って、マリウスがたずねてきた。
王侯たちの視線が、ライダースーツ姿のルビイの上に集まった。
「もちろんです」
ルビイはうなずいた。
「さっそく明朝にでも、出発いたします」
「頼んだぞ。相手が魔物となると、きさまら、特殊部隊だけが頼りだからな」
きさまら、ね。
ルビイは薄く微笑んだ。
お偉いさんたちの前だから許してあげるけど、でもその言葉遣い、気に入らない。
あとで、サトと一緒にお仕置きだわ。
その間、執政官に就任したマリウスは、連日のように側近を集め、会議を開いた。
大陸のあちこちに放った斥候からの報告は、かんばしいものではなかった。
東方の大帝国ネオ・チャイナが、点在する小国を束ね、中央平原まで兵を進めてきたのである。
西方で魔王討伐の動きがあることをいち早く察しての布陣に違いなかった。
ネオ・チャイナの皇帝玄武が、ひそかに魔王と通じていることは、今や火を見るよりも明らかだった。
「こうしてはおれん。もう一度北稜諸国に使いを出せ。北が動けば南も動く。わがミネルヴァが中心となって、魔王討伐軍を編成するのだ」
いきりたつマリウスに、側近のひとりが言った。
「お言葉ですが、執政官。あまり目立った動きをすると、いたずらにネオ・チャイナを刺激するだけではないかと」
「連合軍さえ結成できれば、中華野郎など怖くはない。ぼやぼやしてると、やつらの後ろから魔王が姿を現すぞ」
「北稜諸国といえば、最近不穏な噂を耳にしたのですが・・・」
すかさず、別の側近が横から口をはさんだ。
「黄金の産地として有名な、洞窟都市グロッタで、どうやらクーデターが起こったらしいとか・・・」
「グロッタだと?」
マリウスが虚をつかれたように、目を見開いた。
「それは、本当か?」
会議室の片隅で長い脚を組んでいたルビイは、その言葉にふと顔を上げた。
グロッタといえば、このミネルヴァとも交易が盛んな西大陸の拠点である。
そこを落とされると、大陸の西側諸国は一気に貴重な財源を失うことになる。
「ええ・・・唯一、生き残って戻ってきた斥候が言うには、グロッタはすでに魔物に支配されかかっていると・・・」
「魔物に?」
マリウスが、すがるようなまなざしをルビイに向けた。
ルビイの前で性器を怒張させ、射精を乞う時のあの顔だ。
「ルビイ、行けるか?」
懸命に威厳を保って、マリウスがたずねてきた。
王侯たちの視線が、ライダースーツ姿のルビイの上に集まった。
「もちろんです」
ルビイはうなずいた。
「さっそく明朝にでも、出発いたします」
「頼んだぞ。相手が魔物となると、きさまら、特殊部隊だけが頼りだからな」
きさまら、ね。
ルビイは薄く微笑んだ。
お偉いさんたちの前だから許してあげるけど、でもその言葉遣い、気に入らない。
あとで、サトと一緒にお仕置きだわ。
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