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第2章 跪いて足をお舐め
#58 暗黒武闘会⑲
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「そりゃあ、君にすれば、僕なんて王室でぬくぬくと育てられたお坊ちゃんにしか見えないだろうけど」
マリウスの、妹と同じエメラルドグリーンの瞳が悲しげに曇った。
「でも、僕、がんばるよ。ルリ、君に見直してもらうためにも」
「わかったわ」
ルビイは初めて優しい笑顔を見せた。
「けど、その可愛い顔に傷がついても、私を恨まないでね」
「可愛い、顔?」
マリウスが憮然とするのがわかった。
どうやら、からかわれたと思ったらしい。
が、そうではなかった。
ルビイは物憂げに椅子から立ち上がると、そっとマリウスのそばに歩み寄った。
「可愛いだなんて…君は、僕を侮辱するつもりか?」
すぐ前に立ったルビイをにらんで、案の定、マリウスが怒りに震える声で言った。
「侮辱なんて、していない」
ルビイは両手で優しくマリウスの頬を挟み、その澄んだ瞳を覗き込んだ。
「皇子、私は、あなたの顔、好きよ」
「え…?」
硬直するマリウス。
「僕だって…」
ルビイのまなざしからきまり悪げに目を逸らすと、聞こえるか聞こえないかの小声でつぶやいた。
「どんなに、君に会いたかったことか…。幸い、父は君の入廷は禁じたが、僕らが王城の外で会うことまでは、禁じていない。だから、この試合が終わったら、いつか会いに行こうと思ってた。ターニャとも、ちょうど、そう話してたところだったんだ」
マリウスが顔を上げた。
恋する者の目をしている。
その瞬間、ルビイは、勝った、と思った。
今の彼の脳裏には、婚約者のアグネスの影はかけらもない。
私は、まだ何もしていないのに…。
男ひとり落とすのなんて、なんてた易いのだろう。
「なら、手間が省けてよかったじゃない」
キスする代わりに、ルビイは若者の肩を軽く自分のほうへと抱き寄せた。
そして、耳元に唇をつけると、甘い吐息とともにささやいた。
「では、次はリングで会いましょう。ね? 私のかわいい皇子さま」
マリウスの、妹と同じエメラルドグリーンの瞳が悲しげに曇った。
「でも、僕、がんばるよ。ルリ、君に見直してもらうためにも」
「わかったわ」
ルビイは初めて優しい笑顔を見せた。
「けど、その可愛い顔に傷がついても、私を恨まないでね」
「可愛い、顔?」
マリウスが憮然とするのがわかった。
どうやら、からかわれたと思ったらしい。
が、そうではなかった。
ルビイは物憂げに椅子から立ち上がると、そっとマリウスのそばに歩み寄った。
「可愛いだなんて…君は、僕を侮辱するつもりか?」
すぐ前に立ったルビイをにらんで、案の定、マリウスが怒りに震える声で言った。
「侮辱なんて、していない」
ルビイは両手で優しくマリウスの頬を挟み、その澄んだ瞳を覗き込んだ。
「皇子、私は、あなたの顔、好きよ」
「え…?」
硬直するマリウス。
「僕だって…」
ルビイのまなざしからきまり悪げに目を逸らすと、聞こえるか聞こえないかの小声でつぶやいた。
「どんなに、君に会いたかったことか…。幸い、父は君の入廷は禁じたが、僕らが王城の外で会うことまでは、禁じていない。だから、この試合が終わったら、いつか会いに行こうと思ってた。ターニャとも、ちょうど、そう話してたところだったんだ」
マリウスが顔を上げた。
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その瞬間、ルビイは、勝った、と思った。
今の彼の脳裏には、婚約者のアグネスの影はかけらもない。
私は、まだ何もしていないのに…。
男ひとり落とすのなんて、なんてた易いのだろう。
「なら、手間が省けてよかったじゃない」
キスする代わりに、ルビイは若者の肩を軽く自分のほうへと抱き寄せた。
そして、耳元に唇をつけると、甘い吐息とともにささやいた。
「では、次はリングで会いましょう。ね? 私のかわいい皇子さま」
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