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第2章 跪いて足をお舐め
#10 腕試し⑧
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「ちっ、来やがった」
一度開けかけた扉を、カイルが乱暴に閉め直した。
同時に、衝撃が来た。
そして、甲高い鳴き声。
どすんどすんと重いものが扉にぶち当たる。
そのたびに建物全体が揺れ、漆喰の欠片が壁から舞い落ちる。
扉はかなり厚く、縁は鋼鉄の枠で覆われている。
が、しょせん本体は木製だ。
相手がハルピなら、長く持つとは思えない。
予想通り、じきに扉がたわみ始め、木っ端を吹き飛ばしてあちこちから鋭い爪が突き出してきた。
「ぐずぐずしてるからよ」
隣の大男を、ルビイは叱り飛ばした。
「いい? わかってると思うけど、あの爪に触っちゃダメ。腐毒が仕込まれてるから」
「おまえ…ハルピと戦ったことがあるってのは、本当なのか?」
ルビイと一緒に扉を押さえながら、半信半疑といった面持ちでカイルが訊いてきた。
「本当よ。たいていの魔物とはお手合わせ済み。オークもトロルもゴブリンもドラゴンも」
「そんなもの、こっちの西大陸ではほとんど見かけんが…おまえ、いったい何者なんだ?」
「だから傭兵だって言ってるでしょ。そろそろ行くわよ。もう扉がもたない」
レイピアを握り直すと、ルビイは傍らのサトに声をかけた。
「サトは女性や子どもたちを見てあげて。私たちが外に出たら、すぐに内側から閂をかけ直すのよ」
一度開けかけた扉を、カイルが乱暴に閉め直した。
同時に、衝撃が来た。
そして、甲高い鳴き声。
どすんどすんと重いものが扉にぶち当たる。
そのたびに建物全体が揺れ、漆喰の欠片が壁から舞い落ちる。
扉はかなり厚く、縁は鋼鉄の枠で覆われている。
が、しょせん本体は木製だ。
相手がハルピなら、長く持つとは思えない。
予想通り、じきに扉がたわみ始め、木っ端を吹き飛ばしてあちこちから鋭い爪が突き出してきた。
「ぐずぐずしてるからよ」
隣の大男を、ルビイは叱り飛ばした。
「いい? わかってると思うけど、あの爪に触っちゃダメ。腐毒が仕込まれてるから」
「おまえ…ハルピと戦ったことがあるってのは、本当なのか?」
ルビイと一緒に扉を押さえながら、半信半疑といった面持ちでカイルが訊いてきた。
「本当よ。たいていの魔物とはお手合わせ済み。オークもトロルもゴブリンもドラゴンも」
「そんなもの、こっちの西大陸ではほとんど見かけんが…おまえ、いったい何者なんだ?」
「だから傭兵だって言ってるでしょ。そろそろ行くわよ。もう扉がもたない」
レイピアを握り直すと、ルビイは傍らのサトに声をかけた。
「サトは女性や子どもたちを見てあげて。私たちが外に出たら、すぐに内側から閂をかけ直すのよ」
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