50 / 471
第2章 地獄の底を這いまわれ
#45 脱出③
しおりを挟む
ルビイはまるで、赤ん坊にでもなったような気分だった。
食べることも、排便することも、ひとりではできないのだ。
ルビイに与えられたこの部屋は、個別に仕切られた排便用の個室も浴室もついていて、いわば至れり尽くせりの仕様になっている。
なのに手足を欠いた今となっては、小人の助けを借りなければそこまで移動することもままならないのだった。
赤ん坊のようにスプーンで口に食事を運ばれ、食べさせられた。」
最初のうちがまんしていたが、耐え切れなくなって呼ぶと、人造人間のホムンクルスがルビイを抱え上げ、無言で排泄室へと運んだ。
奇妙な小人に抱きかかえられて用を足すのは苦痛で仕方なかったが、この小人は”道具”なのだと思い込むことにした。
事実、ホムンクルスとは、錬金術でつくられた心を持たない人造人間のことである。
ひと言もしゃべらないし、モノと思い込むことも、そう大して難しくはなさそうだ。
ホムンクルスたちには分担があり、身の回りの世話をする者、定期的にやってきては包帯を替え、薬を塗り直す者、食事や飲み物を運んでくる者など、それぞれに役割が振り分けられているようだった。
が、ルビイには誰が誰だか区別がつかなかった。
頭髪のないでこぼこの頭。
落ちくぼんだ眼。
中年男のようにたるんだ頬。
引き結ばれた唇。
子供ほどの背丈。
ずんぐりむっくりの筋肉質の胴。
短い手足。
5人とも、みな同じ姿をしていたからである。
小人たちとの生活にようやく慣れ始めた頃には、すでに夜が更けていた。
湯船で身体を洗われ、全裸で寝台に横たわると、泥のような眠気に襲われた。
その夜、ルビイは、また故郷の夢を見た。
食べることも、排便することも、ひとりではできないのだ。
ルビイに与えられたこの部屋は、個別に仕切られた排便用の個室も浴室もついていて、いわば至れり尽くせりの仕様になっている。
なのに手足を欠いた今となっては、小人の助けを借りなければそこまで移動することもままならないのだった。
赤ん坊のようにスプーンで口に食事を運ばれ、食べさせられた。」
最初のうちがまんしていたが、耐え切れなくなって呼ぶと、人造人間のホムンクルスがルビイを抱え上げ、無言で排泄室へと運んだ。
奇妙な小人に抱きかかえられて用を足すのは苦痛で仕方なかったが、この小人は”道具”なのだと思い込むことにした。
事実、ホムンクルスとは、錬金術でつくられた心を持たない人造人間のことである。
ひと言もしゃべらないし、モノと思い込むことも、そう大して難しくはなさそうだ。
ホムンクルスたちには分担があり、身の回りの世話をする者、定期的にやってきては包帯を替え、薬を塗り直す者、食事や飲み物を運んでくる者など、それぞれに役割が振り分けられているようだった。
が、ルビイには誰が誰だか区別がつかなかった。
頭髪のないでこぼこの頭。
落ちくぼんだ眼。
中年男のようにたるんだ頬。
引き結ばれた唇。
子供ほどの背丈。
ずんぐりむっくりの筋肉質の胴。
短い手足。
5人とも、みな同じ姿をしていたからである。
小人たちとの生活にようやく慣れ始めた頃には、すでに夜が更けていた。
湯船で身体を洗われ、全裸で寝台に横たわると、泥のような眠気に襲われた。
その夜、ルビイは、また故郷の夢を見た。
0
お気に入りに追加
504
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた
楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。
この作品はハーメルン様でも掲載しています。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる