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#371 家畜遊戯④

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 琴子はしげしげと夫の裸体を観察した。
 少し見ない間に、こんなになってたとは…。
 琴子は眉をひそめた。
 正直、幻滅だった。
 老いとは、ここまで足の速いものなのか。
 40代半ばに到達した修一は、すっかり中年男性の身体つきになっている。
 胸板は鎖骨とあばら骨が浮き出るほど薄いのに、下腹だけ丸く膨らんでいるのだ。
 結婚した当初の六角筋の浮き出た逞しい腹部はすでに影も形もなく、そこにあるのは醜い内臓脂肪だけ。
 よく見ると、髪もかなり薄くなり、頭頂部の肌がうっすら透けて見えている。
 一気に気持ちが冷めるのがわかった。
 この無様な姿で昔のようにクンニさせろだって?
 冗談も大概にしてほしい。
 一時の気まぐれとはいえ、仁美もよくこんな冴えない中年男を相手にしたものだ。
 それともあれは、私に近づくための計画だったのだろうか?
 そうか、そうに違いない。
 今になってそう思う。
 そう考えれば、すべて納得がいく。
 仁美は最初から私を狙っていたのだ。
 琴子には、仁美がいつから隣人でいたのか、記憶にない。
 琴子たち一家がこの中古マンションを購入したのは、5年ほど前。
 和夫がまだ中学生になったばかりの頃だ。
 私たちが越してきた時、仁美はすでに隣に住んでいたのだろうか。
 それとも、彼女のほうが、後から引っ越してきたのだったろうか。
 明日、梨乃に会ったら、聞いてみよう。
 ひとしきり思考をめぐらし終えると、琴子は改めて夫の裸の上半身に目をやった。
 骨と皮だけに見える平板な胸は、なぜか乳首の周りだけ肉が盛り上がって、垂れた乳房のように見える。
 そこに咲いた一対のレーズン状の突起が、夫の言う乳首である。
「これのこと?」
 両方の肉芽を同時にネイルで光らせた長い爪でつまむと、琴子は容赦なく、クイッ、クイッとよじり始めた。
 ストローの包装紙で紙縒りを作るように、左右に数回ひねると、
「あふ、ンアアア、アアアア…」
 修一がか細い声を上げて首をのけ反らせた。
「おやじ…感じてるの?」
 急に悶え出した父を目の当たりにして、和夫が気味悪げに身を引いた。
 パパがいつものおやじに戻っている。
「イイ、キモチ、イイ…」
 修一が目を細め、恍惚とした表情になる。
 琴子の指につままれたふたつの突起は、あっという間にゴム製のおもちゃのように固く尖ってきた。
 むき出しの二の腕に熱いものが触れ、見ると修一のペニスだった。
 乳首を弄っただけで、さっそく反応し始めたらしい。
 しなびた松茸みたいだった器官が棒を呑んだようにまっすぐになり、股間から突き出ている。
 包皮の完全にむけたその亀頭は、和夫のものよりひと回り大きく、頑丈そうだ。
 夫にはすでに興味を失っている琴子だが、男性器の変化というのはいつ見ても新鮮だった。
 不定形でつかみどころのない女性器と違い、見ているだけで興奮の度合いがはっきりとわかる。
 身体から独立した生き物のようなその動きも、不思議だった。
 獲物を狙う蛇みたいに水平方向に動き出し、そして徐々に角度を上げていく。
 太く固く育つにしたがって、表面は鎧を被せたようにゴツゴツになり、青筋が浮き上がるさまも面白かった。
 そして、目のないウミガメの頭部みたいな亀頭の鼻先に、縦に切れ込んだそこだけ少し色の濃い尿道口。
 その隙間からやがて透明な露が滲み出し、亀頭を濡らしてヌルヌルにしていく…。
「あなたって、変態ね」
 夫の勃起乳首を弄びながら、琴子は吐き捨てた。
「まだ乳首しか触ってないのに、こんなに硬くなるなんて」
「モ、モット…」
 やせこけた胸を琴子のほうへと突き出し、甘えた声で修一が懇願した。
 目尻に溜まっているのは嬉し涙だろうか。
 このクズは、私に罵倒されて悦んでいるのか。
「おまえ、いつのまにM男になっちゃったの?」
 ぎゅうううっ。
 ふいにすさまじい破壊衝動が込み上げてきて、琴子は修一の恥ずかしいほど勃起した”黒レーズン”を二つ一度に思いっきり引っ張った。
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