161 / 385
#159 痴女の罠⑦
しおりを挟む
その後、どうやって家に帰ったのか、琴子はまるで覚えていなかった。
気がつくと朝になっていて、自分のベッドの中に裸で倒れ込んでいたのだ。
正一の姿はなく、会社に出かけたらしかった。
琴子は半ば呆れる思いだった。
あんなことがあったばかりだというのに、平気で会社行くさなんて、正気の沙汰とは思えない。
それが習い性になっているとはいえ、まさに社畜だ。
琴子にはとてもマネできない神経の図太さだった。
それにしても、大変なことになってしまったと思う。
冷静になって昨夜のことを思い返すと、琴子は身震いを禁じえなかった。
マンションの住人たちの前で野外3Pを実演してしまったのである。
これではとても外を歩けない。
SNSに写真や動画がアップされている可能性だってある。
しばらくは家に籠って生活しよう。
外出はほとぼりがさめてからにするしかない。
シャワーを浴び、普段着に着換えた。
躰の節々が激しい運動の後のように痛んだ。
性器とアナルがひりついたので、クリームを塗っておくことにした。
問題なのは、膣の奥深くに埋まり込んでいるローターだ。
さすがに電池が切れたらしく今は動いていないが、早急に取り出さないと感染症にかかる危険性だってある。
冷蔵庫の中を確かめると、食料や飲料の備蓄に問題はなさそうだった。
これなら一週間ほどは買い物に行かなくともなんとかなる。
和夫はどうしたのだろう。
ふとそう思って、二階の和夫の部屋のドアをノックした。
「和夫、起きてる?」
「ああ」
しばらくして、物憂げな和夫の声が返ってきた。
よかった。
琴子は胸を撫で下ろした。
和夫も無事に家に戻っていたのだ。
「しばらくは外出しないほうがいいと思うんだけど」
おそるおそる声をかけると、意外に須磨夫に和夫が言った。
「わかってる。俺は元々引きこもりだからいいけど、でも、この顔、他人に見られちゃったしな」
「おなか空いてる? 簡単なものならできるけど」
「今はいい。作って置いておいてくれれば、適当に食べに行くよ」
午前中は平穏だった。
テレビをつけるのも怖くて、琴子は掃除や洗濯に熱中することで時間をつぶした。
和夫は二度寝しているのか、なかなか降りてこなかった。
そのほうが琴子にとって都合がよかったというのもある。
あんな破廉恥な行為に及んだばかりだというのに、ここで和夫と顔を合わせるには気まずくてならなかった。
ドアホンが鳴ったのは、正午を回った頃のことだった。
なんだろう?
宅急便か速達だろうか。
台所のモニターをオンにすると、意外な人物が映っていた。
あの中年夫婦だ…。
きのう、エレベーターの前で琴子たちに文句を言い、その後公園までついてきたあの夫婦…。
「矢部さんですよね。佐々木と申します」
妻のほうが言った。
「主人がちょっと、お話ししたいと申すもので」
「な、何のご用でしょう?」
びくびくしながら訊き返すと、一番聞きたくない台詞が返ってきた。
「もちろん、ゆうべのことで…。まさか、断るなんてこと、できないですよね?」
気がつくと朝になっていて、自分のベッドの中に裸で倒れ込んでいたのだ。
正一の姿はなく、会社に出かけたらしかった。
琴子は半ば呆れる思いだった。
あんなことがあったばかりだというのに、平気で会社行くさなんて、正気の沙汰とは思えない。
それが習い性になっているとはいえ、まさに社畜だ。
琴子にはとてもマネできない神経の図太さだった。
それにしても、大変なことになってしまったと思う。
冷静になって昨夜のことを思い返すと、琴子は身震いを禁じえなかった。
マンションの住人たちの前で野外3Pを実演してしまったのである。
これではとても外を歩けない。
SNSに写真や動画がアップされている可能性だってある。
しばらくは家に籠って生活しよう。
外出はほとぼりがさめてからにするしかない。
シャワーを浴び、普段着に着換えた。
躰の節々が激しい運動の後のように痛んだ。
性器とアナルがひりついたので、クリームを塗っておくことにした。
問題なのは、膣の奥深くに埋まり込んでいるローターだ。
さすがに電池が切れたらしく今は動いていないが、早急に取り出さないと感染症にかかる危険性だってある。
冷蔵庫の中を確かめると、食料や飲料の備蓄に問題はなさそうだった。
これなら一週間ほどは買い物に行かなくともなんとかなる。
和夫はどうしたのだろう。
ふとそう思って、二階の和夫の部屋のドアをノックした。
「和夫、起きてる?」
「ああ」
しばらくして、物憂げな和夫の声が返ってきた。
よかった。
琴子は胸を撫で下ろした。
和夫も無事に家に戻っていたのだ。
「しばらくは外出しないほうがいいと思うんだけど」
おそるおそる声をかけると、意外に須磨夫に和夫が言った。
「わかってる。俺は元々引きこもりだからいいけど、でも、この顔、他人に見られちゃったしな」
「おなか空いてる? 簡単なものならできるけど」
「今はいい。作って置いておいてくれれば、適当に食べに行くよ」
午前中は平穏だった。
テレビをつけるのも怖くて、琴子は掃除や洗濯に熱中することで時間をつぶした。
和夫は二度寝しているのか、なかなか降りてこなかった。
そのほうが琴子にとって都合がよかったというのもある。
あんな破廉恥な行為に及んだばかりだというのに、ここで和夫と顔を合わせるには気まずくてならなかった。
ドアホンが鳴ったのは、正午を回った頃のことだった。
なんだろう?
宅急便か速達だろうか。
台所のモニターをオンにすると、意外な人物が映っていた。
あの中年夫婦だ…。
きのう、エレベーターの前で琴子たちに文句を言い、その後公園までついてきたあの夫婦…。
「矢部さんですよね。佐々木と申します」
妻のほうが言った。
「主人がちょっと、お話ししたいと申すもので」
「な、何のご用でしょう?」
びくびくしながら訊き返すと、一番聞きたくない台詞が返ってきた。
「もちろん、ゆうべのことで…。まさか、断るなんてこと、できないですよね?」
0
お気に入りに追加
149
あなたにおすすめの小説


久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。




会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる