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#125 狂った夫①

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 和夫が琴子を突き飛ばすのと、正一の腕が伸びるのとが、ほとんど同時だった。
 乱暴にペニスを引き抜かれ、膣口から愛液を滴らせながら、琴子はベッドの上から転がり落ちた。
「きさま、何やってるのか、わかってるのか!」
 正一の平手が、和夫のデスマスクに飛んだ。
 高校一年生の和夫は、体格では正一に負けていない。
 が、今は明らかに不利だった。
 全裸の上に、ふいをつかれて混乱しきっていた。
 その和夫の右腕をつかみ、正一がベッドから引きずり下ろす。
「いってえなあ! 何すんだよ!」
 言い返すものの、和夫の声は震えている。
 無理もない。
 実の母とのセックスを、よりによって実の父親に目撃されてしまったのだ。
「この変態が! 前々から怪しいとは思っていたが、まさかこれほどとは!」
 床にうすくまった和夫を、正一がスリッパを履いた足で蹴り上げる。
 鳩尾を何度も蹴りつけると、今度は引きずり起こしてこぶしで顔を殴る。
 和夫が悲鳴を上げ、デスマスクに開いた口から血反吐を吐いた。
「やめて!」
 やっとのことで、琴子は立ち上がった。
「私が悪いの。だからそれ以上、和夫を責めないで」
 倒れ込むようにして、正一の足にしがみつく。
「おまえもおまえだ! こんなやつをかばうのか!」
 正一が琴子の手を振り払い、下顎を蹴り上げてきた。
 ガチっと歯が鳴り、血の味が口の中いっぱいに広がるのがわかった。
 仰向けにひっくり返った琴子には見向きもせず、正一は和夫の頸筋をつかみ、廊下を引きずっていく。
「きさまのような化け物は、この家から出て行け!」
 玄関のドアが開き、すぐに閉まる音がした。
 荒々しい足音を立て、正一が戻ってくる。
 琴子は亀の子のように首をすくめ、身を震わせた。
 殺される、と思った。
 離婚どころの騒ぎではない。
 その前に、私はここで夫に叩き殺されるのだ・・・。

 だが、待てど暮らせど、嵐はやってこなかった。
 おそるおそる顔を上げると、正一の裸の脛が視界に入ってきた。
 え?
 琴子は絶句した。
 正一ったら、ズボンは・・・ズボンは、どうしたの?
 少しずつ、目を上げていく。
 そして、あっと声を上げそうになった。
 戻ってくる途中で脱いだのか、正一は下半身裸になっていた。
 しかも、驚くべきことに・・・。
 その股間の一物が、天に届けとばかりに激しく勃起しているのだ。
 まさか・・・。
 琴子は青ざめた。
 正一は、ずっと前から覗いていたのだろうか?
 母と息子の情事を・・・。
 それでこんなに興奮してしまっているのだろうか?
「俺にもしろよ」
 やがて、軋むような声で、正一が言った。
「あの化け物にしてやったこと、俺にもしてみろよ! 変態性欲の、この雌豚め!」
 

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