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#80 二重奴隷①
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まんじりともできぬ夜が明けた。
幸い、夫の正一は、自分のすぐ隣のベッドで昨夜何があったのかまったく気づいていないらしく、特に不自然な様子も見せずに、いつものように会社に出かけて行った。
もうひとつ琴子にとって幸いだったのは、初めての性行為で疲れてしまったのか、お昼近くになっても和夫が起きてこなかったことだった。
おかげでひとりになれ、心を落ち着かせることができた。
食事を摂る気にもなれず、熱い紅茶を啜りながら、リビングのテーブルに頬杖をつき、琴子は物思いに耽った。
実の息子と関係を持ってしまったという事実は、もう取り消すことができない。
しかも、こともあろうに、自分は夫との行為以上に感じてしまったのだ。
母親を性的に満足させたことに、和夫自身、気づいているに違いなかった。
となれば、和夫は今後、もっと大胆になってくるだろう。
あの不気味なデスマスクをつけた和夫に抱かれることは、想像するだにおぞましかった。
が、その行為が逆に己に倒錯的な快感をもたらすだろうことも、琴子にはわかっていた。
そうなると、心は千々に乱れてしまうのだ。
この先、和夫の誘いに対して、どう接するべきなのか。
仮に毎日身体を求められたとして、それに応じるべきなのか。
和夫の要求に逆らえないことはわかっている。
しかし、このままずるずると近親相姦の泥沼にはまってしまうのは、やはり怖かった。
もし、万が一間違って妊娠してしまったらと思うと、恐怖で鳥肌が立った。
そしてそれを夫に知られてしまったら、私はもう破滅してしまうー。
誰かに話してしまいたかった。
こんな重い気分のまま、毎日を過ごすのかと考えると、憂鬱で死にたくなってくる。
無意識のうちに、深いため息をついた時だった。
玄関のほうで、インターホンが鳴るのが聞こえ、琴子はぎくりと顔を上げた。
裸足のまま玄関に行き、のぞき穴から外を見た。
ワンピースのような、白い服の一部が見えた。
もしや、と思った時、仁美の声がした。
「すみません。お忙しいところを・・・」
次の一瞬、すがりつくようにして、琴子はドアを開けていた。
「仁美さん・・・」
熱いものが胸の底からこみ上げてきて、思わず涙ぐみそうになる。
白い清楚なワンピースを着た仁美は、まるで天使のように見えた。
「あの、もしよろしければ、お買い物ついでに、一緒に外食でもいかがかと思って」
柔和な微笑を口元に浮かべて、仁美が言った。
「外食・・・?」
琴子は、おうむ返しに繰り返した。
仁美とふたりで、外出する。
それは、ひどく胸の躍る誘いだった。
これはひょっとして、天が与えてくれたチャンスなのではないか。
そんな気さえする。
レズビアンの仁美になら、和夫とのことも遠慮なく話せるかもしれない。
そう思ったのだ。
「ご迷惑?」
琴子がいつまで経っても答えないので、仁美が悲しげに頬を強張らせた。
「ううん、迷惑だなんて、そんな」
琴子は必要以上に明るい声をしぼり出した。
「よかった」
仁美のはかなげな顔に、笑みが戻った。
「ただ外出するだけではつまらないので、私、ちょっとした趣向を用意したんですよ」
にこやかに微笑んで、ハンドバッグから何かを取り出した。
プラスチック製の、小指ほどの大きさのピンクの物体である。
「こ、これは・・・」
その正体に気づいて琴子が頬を染めた時、仁美が何か重大な秘密を打ち明けるかのように、声を潜めて言った。
「琴子さんは、これをヴァギナの中に仕込んだまま、外出するのです。これはワイヤレスで、遠隔操作できるようになっています。つまり、このローターは、外出中も私があなたを気持ちよくさせてあげられる、そんな素敵なアイテムなのですよ」
幸い、夫の正一は、自分のすぐ隣のベッドで昨夜何があったのかまったく気づいていないらしく、特に不自然な様子も見せずに、いつものように会社に出かけて行った。
もうひとつ琴子にとって幸いだったのは、初めての性行為で疲れてしまったのか、お昼近くになっても和夫が起きてこなかったことだった。
おかげでひとりになれ、心を落ち着かせることができた。
食事を摂る気にもなれず、熱い紅茶を啜りながら、リビングのテーブルに頬杖をつき、琴子は物思いに耽った。
実の息子と関係を持ってしまったという事実は、もう取り消すことができない。
しかも、こともあろうに、自分は夫との行為以上に感じてしまったのだ。
母親を性的に満足させたことに、和夫自身、気づいているに違いなかった。
となれば、和夫は今後、もっと大胆になってくるだろう。
あの不気味なデスマスクをつけた和夫に抱かれることは、想像するだにおぞましかった。
が、その行為が逆に己に倒錯的な快感をもたらすだろうことも、琴子にはわかっていた。
そうなると、心は千々に乱れてしまうのだ。
この先、和夫の誘いに対して、どう接するべきなのか。
仮に毎日身体を求められたとして、それに応じるべきなのか。
和夫の要求に逆らえないことはわかっている。
しかし、このままずるずると近親相姦の泥沼にはまってしまうのは、やはり怖かった。
もし、万が一間違って妊娠してしまったらと思うと、恐怖で鳥肌が立った。
そしてそれを夫に知られてしまったら、私はもう破滅してしまうー。
誰かに話してしまいたかった。
こんな重い気分のまま、毎日を過ごすのかと考えると、憂鬱で死にたくなってくる。
無意識のうちに、深いため息をついた時だった。
玄関のほうで、インターホンが鳴るのが聞こえ、琴子はぎくりと顔を上げた。
裸足のまま玄関に行き、のぞき穴から外を見た。
ワンピースのような、白い服の一部が見えた。
もしや、と思った時、仁美の声がした。
「すみません。お忙しいところを・・・」
次の一瞬、すがりつくようにして、琴子はドアを開けていた。
「仁美さん・・・」
熱いものが胸の底からこみ上げてきて、思わず涙ぐみそうになる。
白い清楚なワンピースを着た仁美は、まるで天使のように見えた。
「あの、もしよろしければ、お買い物ついでに、一緒に外食でもいかがかと思って」
柔和な微笑を口元に浮かべて、仁美が言った。
「外食・・・?」
琴子は、おうむ返しに繰り返した。
仁美とふたりで、外出する。
それは、ひどく胸の躍る誘いだった。
これはひょっとして、天が与えてくれたチャンスなのではないか。
そんな気さえする。
レズビアンの仁美になら、和夫とのことも遠慮なく話せるかもしれない。
そう思ったのだ。
「ご迷惑?」
琴子がいつまで経っても答えないので、仁美が悲しげに頬を強張らせた。
「ううん、迷惑だなんて、そんな」
琴子は必要以上に明るい声をしぼり出した。
「よかった」
仁美のはかなげな顔に、笑みが戻った。
「ただ外出するだけではつまらないので、私、ちょっとした趣向を用意したんですよ」
にこやかに微笑んで、ハンドバッグから何かを取り出した。
プラスチック製の、小指ほどの大きさのピンクの物体である。
「こ、これは・・・」
その正体に気づいて琴子が頬を染めた時、仁美が何か重大な秘密を打ち明けるかのように、声を潜めて言った。
「琴子さんは、これをヴァギナの中に仕込んだまま、外出するのです。これはワイヤレスで、遠隔操作できるようになっています。つまり、このローターは、外出中も私があなたを気持ちよくさせてあげられる、そんな素敵なアイテムなのですよ」
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