嬲られる淫獣 ~贖罪のために性奴隷と化した牝犬人妻はきょうも鬼畜の息子に奉仕する~

戸影絵麻

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#26 肉欲の疼き⑨

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 タクシーで家に帰りついた時には、すでに深夜零時を過ぎていた。
 琴子は暗澹たる気分でマンションを見上げた。
 まずい、と思う。
 こんなに遅くなるとは思ってもみなかった。
 いくらなんでも、正一はもう帰宅しているはずだ。
 ただでさえ最近不機嫌なのに、夕食も作らずこんなに遅く帰ってきては、彼の怒りに火を注ぐに決まっている。
 5階でエレベーターを降りた時、隣の朝比奈仁美の家の窓に、まだ明かりが灯っているのが見えた。
 どうしたのだろう?
 かすかな疑念が湧いた。
 仁美の家は母子家庭である。
 子どもが小学生なら、もう寝ていてもいい頃だ。
 しばらく眺めていると、琴子の疑念を察したかのように、ふいに明かりが消えた。
 ため息をつき、自分の家のドアに向き直る。
「ただいま」
 そっとドアを開け、声を潜めて呼びかけてみる。
「ごめんなさい。病院に行ってたんだけど、色々あって遅くなっちゃった」
 廊下にも突き当りの居間にも煌々と明かりがついている。
 が、正一の返事はない。
 パンプスを脱いで、廊下に上がる。
 素足にフローリングの床が心地よい。
 居間をのぞくと、寝室側の扉が少し開いているのが目に入ってきた。
 正一だ。
 いつものように酔って帰ってきて、そのまま眠ってしまったに違いない。
 罪悪感よりも、安堵の念のほうが大きかった。
 今の琴子は、下着の上にスプリングコートをじかに羽織っているだけである。
 そのことを正一に気づかれたらどう弁明しようか、頭を悩ませていたところだったのだ。
 寝室の様子をうかがうと、案の定、薄闇の奥から聞き慣れた正一の寝息が聞こえてきた。
 寝室内の空気はよどみ、甘い体臭のようなものが漂っている。
 琴子が眉をひそめたのは、それが正一だけのものではないような気がしたからだった。
 まさか、と思う。
 顔から血の気が引くのがわかった。
 これって、ひょっとして…女の匂い?」
 居間に取って返し、何も載っていないテーブルを見た。
 顏を近づけてみると、表面に濡れたふたつの円が残っているのがわかった。
 缶ビールの跡? 
 それとも、グラスの跡だろうか。
 キッチンの隅のごみ入れを確かめてみた。
 きょうの夕方出したばかりなのに、不燃物のほうに500mlのビールの缶が2本捨てられている。
 正一ひとりが飲むのに、2本は多い気がした。
 食器棚を開けてみると、手前のグラスがふたつ、濡れていた。
 使ったばかりなのだろう。
 でも、どうしてふたつ?
 慎重に手に取って、ガラスの表面にじっと目を凝らす。
 一方に、洗い残した汚れが付着している。
 赤みがかった、ルージュの跡…。
「そ、そんな…」
 琴子は崩れるようにその場にしゃがみ込んだ。
 間違いない、と思った。
 ついさっきまで、この家には見知らぬ女が居たのだ。
 正一がPCに残していた、あの動画の女が…。
 コートを脱ぎ捨て、浴室に飛び込んだ。
 全裸になると、バスタブの中に立ち、頭から冷水のシャワーを浴びながら、琴子は泣いた。
 冷たさよりも、悔しさと自分に対する憐みで、奥歯がカチカチ鳴って仕方なかった。

 
 

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