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#24 肉欲の疼き⑦

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 本気で抵抗しようと思えば、たやすいはずだった。
 アームの取っ手から手を離せばいいだけのことだからである。
 が、琴子はあえてそれをしなかった。
 気持ちいいのだ。
 複数の手のひらで内腿と腋の下を撫でられているうちに、抵抗し難い恍惚感が全神経を浸し始めたのである。
 鼻息が荒くなるのがわかった。
 内腿を撫で上げる手は、次第に足のつけ根にまで降りて来て、ショーツと陰部の境を指でなぞっている。
 肝心の恥部だけを避け、琴子をじらすように恥丘の周りをこすりあげるのだ。
 腋の下を愛撫する手は、今や総レースの小さなブラジャーの下にまで潜り込んでいる。
 丸いおわん型の乳房のふもとから、螺旋を描きながら指の刺激が徐々に乳首に近づいてくる。
「お願い…」
 荒い息の下から、琴子は言った。
「じらさないで…」
 思わず口をついて出たのは、そんなはしたない言葉だった。
 自分でも、何を言っているのかわからなかった。
 が、その意味が脳裏に沁み通ると、恥ずかしさのあまり、首のつけ根まで赤くなった。
 ふたりの”手”の持ち主は、無言だった。
 だが、琴子の意志が伝わったことは、愛撫する部位の変化から明らかだった。
 ブラジャーの下で、指が乳首を弾いた。
 4本の指を時間差で動かして、鍵盤を叩くように乳頭をリズミカルに刺激した。
「ああっ」
 痺れるような快感に、琴子は腰を跳ね上げた。
 自分から足を左右に開くと、盛り上がった恥丘を突き出した。
 恥丘の割れ目には、柔らかいショーツが紐のようにねじれてきつく食い込んでいる。
 それを指がつまみ、無造作に斜め上に引っ張り上げる。
 食い込みが深くなり、充血したクリトリスを布がこすりあげた。
「あんっ」
 身体の奥深くから、熱いものがこみ上げてくるのがわかった。
 更に強く布が食い込むと、その隙間からどろりとした汁が湧き出し、琴子の腿のつけ根を濡らし始めた。
「もっと…」
 すすり泣くような声で、琴子は言った。
 夫のペニスをねだる時のように、自分から激しく尻をグラインドさせる。
 ブラジャーの下で痛いほど勃起した乳首を、もうひとりの指がつまんでいる。
 こよりをよじり合せるように左右にねじられたかと思うと、千切れるほどの力で斜めに引っ張られた。
「くうっ! いいっ!」
 アームを握った手に力を込め、琴子は胸を突き上げた。
 もっともっと弄ってほしかった。
 それこそ乳首がもぎ取れるくらい強く引っ張って、赤剥けするほど乳頭ををこすってほしかった。
 ショーツの中に潜り込んだ指が、熱く潤った肉の穴を探りあてた。
 曲がった指が、襞を押し分けて中に入りこみ、入口のすぐ内側を指の腹でぐるっとひと撫でする。
「あんっ! いく! いっちゃう!」 
 同時に乳首に加わる力が強まると、感極まって琴子はブリッジするように背中を大きく反り返らせた。
 そして、大量の生ぬるい愛液を漏らしながら、意識もろともつかの間涅槃の境地に陥ったのだった。
 

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