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#13 反応する肉体⑤
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あられもない下着姿で悠然と脚を組み、アイスコーヒーを口に運んでいると、ラウンジに人が増えてきた。
新たな見舞客と、休憩に来た患者たちである。
そのほとんどが老人だが、中には何組か中年夫婦とその子どももいるようだ。
みんな琴子の姿に度肝を抜かれてしまったのか、中に入ってきたはいいものの、壁際に退いて、じっと琴子の一挙手一投足に目を注いでいる。
隣のテーブルの若い父親は、更に不躾だった。
今や身を乗り出すようにして、乳首以外は丸見えの琴子の胸乳を凝視しているのだ。
最初はびくびくものだったが、だんだん慣れてくると、見られるのが快感になってきた。
自分でもあり得ないと思うのだが、鼓動が高まり、身体の芯が疼いてたまらないのである。
「あなたったら! なにジロジロ見てるの! もう行くわよ! そんな変態女なんかほっときなさいよ!」
夫の態度に腹を立て、ついに隣のテーブルの若妻がブチ切れた。
子供と夫の手を引いて、入口へと大股に歩み去る。
とたんに、琴子の胸に歓喜の情が湧きあがった。
私…あの若い女に勝ったのだ。
ほんの数分にしろ、夫の目をこの身体に釘付けにしたのだから…。
少し、自身が湧いてきた。
和夫に言われた時には、まったく信じていなかったのだが、ひょっとしてと思う。
私のこの身体、まだまだいけるのかもしれない。
36歳にしては若いと自分でも思うし、やはり、節穴なのは、正一の眼だけなのではないだろうか…?
気をよくした琴子は、優雅な身ごなしで立ち上がると、流しでグラスを洗って棚に返し、その足で窓際に近づいてスマホを回収した。
我ながらオーバーアクションだとおかしくなりながら、モンローウォーク気味に腰をくねらせ、”観客”たちの前を通りすぎ、廊下に出た。
「見てたよ、かあさん」
スマホから声がして、画面をのぞくと、興奮気味にミイラ男がしゃべっていた。
「素敵じゃないか。みんなかあさんの裸、ガン見してたぜ。誰も騒ぎ出さないのは、かあさんの魅力の虜になった証拠だよ。さあ、その調子で、次はナースステーションだ」
「和夫、あなたは、病室から私を見ながら、何してるの?」
ふと思いついて、琴子は訊いてみた。
和夫の声は、変に上ずっている。
両手が画面の外に隠れ、そのくせ肩が上下している。
「そんなの、決まってるだろ」
裏返りそうな声で、和夫が言った。
包帯の隙間からのぞく目は、きのう同様、赤く血走っている。
「かあさん見ながら、オナニーだよ。お、俺、今度こそ、逝けそうなんだ」
新たな見舞客と、休憩に来た患者たちである。
そのほとんどが老人だが、中には何組か中年夫婦とその子どももいるようだ。
みんな琴子の姿に度肝を抜かれてしまったのか、中に入ってきたはいいものの、壁際に退いて、じっと琴子の一挙手一投足に目を注いでいる。
隣のテーブルの若い父親は、更に不躾だった。
今や身を乗り出すようにして、乳首以外は丸見えの琴子の胸乳を凝視しているのだ。
最初はびくびくものだったが、だんだん慣れてくると、見られるのが快感になってきた。
自分でもあり得ないと思うのだが、鼓動が高まり、身体の芯が疼いてたまらないのである。
「あなたったら! なにジロジロ見てるの! もう行くわよ! そんな変態女なんかほっときなさいよ!」
夫の態度に腹を立て、ついに隣のテーブルの若妻がブチ切れた。
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とたんに、琴子の胸に歓喜の情が湧きあがった。
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少し、自身が湧いてきた。
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私のこの身体、まだまだいけるのかもしれない。
36歳にしては若いと自分でも思うし、やはり、節穴なのは、正一の眼だけなのではないだろうか…?
気をよくした琴子は、優雅な身ごなしで立ち上がると、流しでグラスを洗って棚に返し、その足で窓際に近づいてスマホを回収した。
我ながらオーバーアクションだとおかしくなりながら、モンローウォーク気味に腰をくねらせ、”観客”たちの前を通りすぎ、廊下に出た。
「見てたよ、かあさん」
スマホから声がして、画面をのぞくと、興奮気味にミイラ男がしゃべっていた。
「素敵じゃないか。みんなかあさんの裸、ガン見してたぜ。誰も騒ぎ出さないのは、かあさんの魅力の虜になった証拠だよ。さあ、その調子で、次はナースステーションだ」
「和夫、あなたは、病室から私を見ながら、何してるの?」
ふと思いついて、琴子は訊いてみた。
和夫の声は、変に上ずっている。
両手が画面の外に隠れ、そのくせ肩が上下している。
「そんなの、決まってるだろ」
裏返りそうな声で、和夫が言った。
包帯の隙間からのぞく目は、きのう同様、赤く血走っている。
「かあさん見ながら、オナニーだよ。お、俺、今度こそ、逝けそうなんだ」
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