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#29 リピドー少年猛①
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マヂか。
僕は震えおののいた。
どうしたら、僕がコーフンするかって?
そ、それを答えたら、要求通りにコトが運ぶッてこと?
にちゃあ。
自然に、陰キャ特有の粘着質な笑みが口元に浮かんだ。
横目で氷室基子の強張った顔を盗み見る。
おもしろい。
これまでさんざんヒトをこけにしてきやがったこの女。
ちょっと勉強ができて顔が可愛くて胸が大きいからってお高くとまったこのメスガキに、目にモノ見せてやる。
そんな意地の悪い下衆な考えが脳裏に浮かんだ。
しかし、同時にそこはかとないうら哀しさも否めない。
彼女は僕の灰色の学園生活の中で唯一の光、救いの神というべきマドンナだったのだ。
その彼女を僕は今、後戻りできないほど、汚そうとしている…。
「そういうわけで、金田君、君の希望を言ってほしいんだ」
強張った基子の肩から、カエルくんが励ますように声をかけてきた。
「手をつないだことで生じたエネルギーは、玄武の起動という行為でどうやらもう消費されてしまったようだ。だから、次はどうしたら君のリピドーが発動するのか、それを…」
「いいんですか」
僕は躰の正面を基子のほうに向けた。
「そんなこと言っちゃって、本当にいいんですか?」
「いいも何も、そうでもしないと、玄武が動かない」
「じゃあ、言いますよ。後で後悔したって、知りませんからね」
「あ、ああ…いいよね、氷室君」
「いえ」
基子が首を振った。
「待ってください。嫌な予感がします。とてつもなく嫌な予感が。こいつ、なにか、致命的なことを私にさせようとしています」
端正な美少女顔が完全に引きつっている。
「しかし…うわっ!」
突然、世界が揺れた。
震度5弱はあるかと思われる、烈しい揺れだった。
「ま、まずい、トウテツがすぐそこまで来てる。このままじゃ、街が危ない!」
頭を抱え、半ば泣きながらカエルくんが叫んだ。
「どうするんだい?」
パニックに陥ったカエルくんをしり目に、僕は直接基子に話しかけた。
「やるか、やらないか、世界の命運は、君の決断にかかってる」
「卑怯者」
基子が怒りの目で僕を睨んだ。
目尻に涙がにじんでいる。
悲しいのではない。
おそらく、怒りのあまり、泣けてきたのだろう。
「この人でなし!」
更なる追撃に、ズキッ。
僕の中の善の部分があまりの痛みに悲鳴を上げた。
「なんとでも言いなよ。確かに僕は変態で卑怯でチンカスさ」
僕は心の中で泣きながら、道化を演じ続けた。
「でも、この機械の神獣を動かすには、僕のリピドーエネジイがどうしても必要なんだぜ。エネ自慰って、シャレかよあははは」
「言ってみなさいよ」
基子が挑むような口調で吐き捨てた。
目が血走り、噛み締めすぎて、唇から血がにじんでいる。
「私に何をしてほしいのか、言ってみなさいよ」
「あ、う、うん」
その勢いに気圧されて、僕はついつい怯んでしまう。
「握って、ほしい」
ようやくのことで、言葉を絞り出す。
「僕の勃起チンポを、生の手で、握っててほしいんだ」
口走った瞬間、僕は自分がとんでもない淫語を平気で発する変質者になった気がして、酷く落ち込んでしまった。
僕は震えおののいた。
どうしたら、僕がコーフンするかって?
そ、それを答えたら、要求通りにコトが運ぶッてこと?
にちゃあ。
自然に、陰キャ特有の粘着質な笑みが口元に浮かんだ。
横目で氷室基子の強張った顔を盗み見る。
おもしろい。
これまでさんざんヒトをこけにしてきやがったこの女。
ちょっと勉強ができて顔が可愛くて胸が大きいからってお高くとまったこのメスガキに、目にモノ見せてやる。
そんな意地の悪い下衆な考えが脳裏に浮かんだ。
しかし、同時にそこはかとないうら哀しさも否めない。
彼女は僕の灰色の学園生活の中で唯一の光、救いの神というべきマドンナだったのだ。
その彼女を僕は今、後戻りできないほど、汚そうとしている…。
「そういうわけで、金田君、君の希望を言ってほしいんだ」
強張った基子の肩から、カエルくんが励ますように声をかけてきた。
「手をつないだことで生じたエネルギーは、玄武の起動という行為でどうやらもう消費されてしまったようだ。だから、次はどうしたら君のリピドーが発動するのか、それを…」
「いいんですか」
僕は躰の正面を基子のほうに向けた。
「そんなこと言っちゃって、本当にいいんですか?」
「いいも何も、そうでもしないと、玄武が動かない」
「じゃあ、言いますよ。後で後悔したって、知りませんからね」
「あ、ああ…いいよね、氷室君」
「いえ」
基子が首を振った。
「待ってください。嫌な予感がします。とてつもなく嫌な予感が。こいつ、なにか、致命的なことを私にさせようとしています」
端正な美少女顔が完全に引きつっている。
「しかし…うわっ!」
突然、世界が揺れた。
震度5弱はあるかと思われる、烈しい揺れだった。
「ま、まずい、トウテツがすぐそこまで来てる。このままじゃ、街が危ない!」
頭を抱え、半ば泣きながらカエルくんが叫んだ。
「どうするんだい?」
パニックに陥ったカエルくんをしり目に、僕は直接基子に話しかけた。
「やるか、やらないか、世界の命運は、君の決断にかかってる」
「卑怯者」
基子が怒りの目で僕を睨んだ。
目尻に涙がにじんでいる。
悲しいのではない。
おそらく、怒りのあまり、泣けてきたのだろう。
「この人でなし!」
更なる追撃に、ズキッ。
僕の中の善の部分があまりの痛みに悲鳴を上げた。
「なんとでも言いなよ。確かに僕は変態で卑怯でチンカスさ」
僕は心の中で泣きながら、道化を演じ続けた。
「でも、この機械の神獣を動かすには、僕のリピドーエネジイがどうしても必要なんだぜ。エネ自慰って、シャレかよあははは」
「言ってみなさいよ」
基子が挑むような口調で吐き捨てた。
目が血走り、噛み締めすぎて、唇から血がにじんでいる。
「私に何をしてほしいのか、言ってみなさいよ」
「あ、う、うん」
その勢いに気圧されて、僕はついつい怯んでしまう。
「握って、ほしい」
ようやくのことで、言葉を絞り出す。
「僕の勃起チンポを、生の手で、握っててほしいんだ」
口走った瞬間、僕は自分がとんでもない淫語を平気で発する変質者になった気がして、酷く落ち込んでしまった。
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