22 / 31
#20 四神獣
しおりを挟む
透き通った壁の奥に格納された四体の神獣…。
それはある意味、心を揺さぶられる荘厳な眺めだった。
「すごい…」
僕は感動で声を震わせた。
「しかも、よく見ると、これ、四体とも、ロボットですね…」
そうなのだ。
玄武は灰色の亀。
青龍は青い竜。
白虎は白い虎。
朱雀は赤い鳥。
この四体の巨獣はそれぞれ名前通りの姿形をしているが、どれもメタリックな質感を醸し出しているのである。
「さよう。君たちはこの神獣ロボットに乗って戦う戦士というわけなのだよ」
校長の口調に戻ったカエルくんが言った。
「乗って戦う? うわ、なんかアニメの巨大ロボットものみたいですね」
「まあそうだが…。しかし、これは現実なのだよ」
アニメにたとえられ、カエルくんは不服そうだ。
聞こえよがしに僕に向かって舌打ちすると、
「君たち二人はマルドック人のDNAを受け継ぐ者。四神獣を操作できるのは、もはや君たちしかいないんだ」
「バカバカしい」
水を差したのは氷室基子である。
「ロボットなら、遠隔操作すればいいじゃない。なにもあんなものに乗らなくても。現代の技術ならそんなの朝飯前のはずでしょ」
「いや、あれをつくったのは、そもそも現代の人類ではなく…。それに、最終兵器には悪用を防ぐためにも遺伝子キーを使用するのが最適解なのだ。DNA認証で動くようにすれば、クローンでも作らない限り、敵が利用することは不可能だからね」
「なんかワクワクしてきた」
僕は少女漫画の主人公のように目をキラキラ輝かせた。
グレーな日常に、一筋の光が差し込んできた気分だった。
体育館でいじめられた挙句、情けないことに絶頂に達してしまい、精を漏らしてしまったクズのようなこの身…。
そんな僕でも、人にできないことができる。
しかもそれは、あんなすごいロボットを操縦して怪獣と闘い、人類を守るという大役なのだ。
「なんだかうれしそうね、金田君。なんなら、あなたひとりでやりなさいよ」
僕のウキウキした気分を読み取ったのか、突き放すような口調で基子が言った。
「悪いけど、私にはそんな幼稚な趣味はないの。第一、その手のアニメやゲーム、くだらないから嫌いだし」
僕に向けた切れ長の目に、人を見下すような冷徹な光が宿っている。
「いやいや、それは困る」
口をはさんできたのは、カエルくんだった。
「四神獣は操縦者が二人そろわないと作動しない。これは悪用を防ぐための措置であるとともに、人間の精神力を二乗することによってパワーを増幅するための仕掛けなのだ。基子ちゃん、あれらを動かすには、どうしても君の協力が必要なのだよ」
「嫌だと言ったら?」
氷室基子が冷たく言い放った。
「なんで私が、よりによってこの変態クズ野郎と一緒に、馬鹿げたロボットなんかに乗らなきゃならないの?」
怒りに蒼白になったその表情は、断固とした拒否を現していた。
それはある意味、心を揺さぶられる荘厳な眺めだった。
「すごい…」
僕は感動で声を震わせた。
「しかも、よく見ると、これ、四体とも、ロボットですね…」
そうなのだ。
玄武は灰色の亀。
青龍は青い竜。
白虎は白い虎。
朱雀は赤い鳥。
この四体の巨獣はそれぞれ名前通りの姿形をしているが、どれもメタリックな質感を醸し出しているのである。
「さよう。君たちはこの神獣ロボットに乗って戦う戦士というわけなのだよ」
校長の口調に戻ったカエルくんが言った。
「乗って戦う? うわ、なんかアニメの巨大ロボットものみたいですね」
「まあそうだが…。しかし、これは現実なのだよ」
アニメにたとえられ、カエルくんは不服そうだ。
聞こえよがしに僕に向かって舌打ちすると、
「君たち二人はマルドック人のDNAを受け継ぐ者。四神獣を操作できるのは、もはや君たちしかいないんだ」
「バカバカしい」
水を差したのは氷室基子である。
「ロボットなら、遠隔操作すればいいじゃない。なにもあんなものに乗らなくても。現代の技術ならそんなの朝飯前のはずでしょ」
「いや、あれをつくったのは、そもそも現代の人類ではなく…。それに、最終兵器には悪用を防ぐためにも遺伝子キーを使用するのが最適解なのだ。DNA認証で動くようにすれば、クローンでも作らない限り、敵が利用することは不可能だからね」
「なんかワクワクしてきた」
僕は少女漫画の主人公のように目をキラキラ輝かせた。
グレーな日常に、一筋の光が差し込んできた気分だった。
体育館でいじめられた挙句、情けないことに絶頂に達してしまい、精を漏らしてしまったクズのようなこの身…。
そんな僕でも、人にできないことができる。
しかもそれは、あんなすごいロボットを操縦して怪獣と闘い、人類を守るという大役なのだ。
「なんだかうれしそうね、金田君。なんなら、あなたひとりでやりなさいよ」
僕のウキウキした気分を読み取ったのか、突き放すような口調で基子が言った。
「悪いけど、私にはそんな幼稚な趣味はないの。第一、その手のアニメやゲーム、くだらないから嫌いだし」
僕に向けた切れ長の目に、人を見下すような冷徹な光が宿っている。
「いやいや、それは困る」
口をはさんできたのは、カエルくんだった。
「四神獣は操縦者が二人そろわないと作動しない。これは悪用を防ぐための措置であるとともに、人間の精神力を二乗することによってパワーを増幅するための仕掛けなのだ。基子ちゃん、あれらを動かすには、どうしても君の協力が必要なのだよ」
「嫌だと言ったら?」
氷室基子が冷たく言い放った。
「なんで私が、よりによってこの変態クズ野郎と一緒に、馬鹿げたロボットなんかに乗らなきゃならないの?」
怒りに蒼白になったその表情は、断固とした拒否を現していた。
10
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説



会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる