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#223 暗黒の塔⑰
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しまった!
周囲のざわめきに、私は赤面した。
防具の紐を結ぶのを忘れてた!
腰紐を結ばないと、この防具、スケスケのベビードールそのまんまなのである。
ちっちゃな三角ブラを押し上げるGカップの豊乳と、見るからにエッチなTバック紐パンが丸見えなのだ。
「ちょ、ちょっとお客さん! 困ります! そんな格好で!」
案の定、カウンターの向こうから、店長らしき中年のおっさんが飛び出してきた。
「うちの店内でエロ動画でも撮影するつもりですか? そんなことしたら、警察呼びますよ!」
うう。違うって。
あ、ちょっと、腕つかまないでよ!
あんたこそセクハラでしょ? このバーコード頭!
かちんときて、つい、呪文を唱えてしまった。
「逝け! エア・フェラチオ!」
「はううっ!」
両手で股間を押さえて硬直するおっさん。
頭の中に浮かんだアイスキャンディを、妄想の舌と唇でペロペロ、しこしこしてやると、
「きゅううううんっ!」
ヴァーチャルなアイスキャンディが突然きゅんきゅん震え出し、ぶしゅううっと生クリームを噴き出した。
「やだ! なあに?」
「げえ、このおっさん、ズボンの前濡れてるぜ!」
「変なにおーい! うわあ、もしかしてこれ…」
「ぎゃはははは! ガチやべーって! これ、ひょっとしなくてもザーメンの匂いじゃね?」
床に寝っ転がり、死に瀕したゴキブリのごとくひくついている店長を、観客たちが遠目に取り巻いた。
「なんの騒ぎだ」
そこへ戻ってきたのは、花の手を引いたラルクである。
私はすでに腰紐を締め、ミニワンピ姿に戻っている。
「こっちでも魔法が使えるかどうか、試してみたの。問題ないみたいね」
「目立った行動は慎め。ここでは移動が優先だ。住民たちとトラブルを起こして遅延するのは愚の骨頂だぞ」
「それはまあ、そうだけど」
憮然とする私の背中を押して、ラルクが書店を出た。
「で、行き先は決まったの?」
ソフィアの問いに、
「ああ。京都だ。向こうの世界での暗黒の塔までの距離、角度からして、こっちの世界の”京都”がドンピシャなのだ」
「京都?」
私は目を円くした。
なんと優雅な。
でも、小学校の修学旅行以来だし、ちょっといいかも。
「あのお店でパフェでも食べながら作戦を練るでちゅ。あたちはイチゴパフェのでら盛希望でちゅ」
書店の前の洒落たカフェを顎でしゃくって、花が言う。
花は胸に大事そうに少年ジャンプを抱きしめている。
「おお、名案じゃね。じゃ、おいらかき氷でら盛で」
花の提案に、一平が目を輝かせた。
ガキはガキ同士、こういう時には気が合うのだろう。
「いいだろう」
ラルクがうなずいた。
「もう少し詳しく地図を調べて、向こうへの転移地点を確定したいところだしな」
周囲のざわめきに、私は赤面した。
防具の紐を結ぶのを忘れてた!
腰紐を結ばないと、この防具、スケスケのベビードールそのまんまなのである。
ちっちゃな三角ブラを押し上げるGカップの豊乳と、見るからにエッチなTバック紐パンが丸見えなのだ。
「ちょ、ちょっとお客さん! 困ります! そんな格好で!」
案の定、カウンターの向こうから、店長らしき中年のおっさんが飛び出してきた。
「うちの店内でエロ動画でも撮影するつもりですか? そんなことしたら、警察呼びますよ!」
うう。違うって。
あ、ちょっと、腕つかまないでよ!
あんたこそセクハラでしょ? このバーコード頭!
かちんときて、つい、呪文を唱えてしまった。
「逝け! エア・フェラチオ!」
「はううっ!」
両手で股間を押さえて硬直するおっさん。
頭の中に浮かんだアイスキャンディを、妄想の舌と唇でペロペロ、しこしこしてやると、
「きゅううううんっ!」
ヴァーチャルなアイスキャンディが突然きゅんきゅん震え出し、ぶしゅううっと生クリームを噴き出した。
「やだ! なあに?」
「げえ、このおっさん、ズボンの前濡れてるぜ!」
「変なにおーい! うわあ、もしかしてこれ…」
「ぎゃはははは! ガチやべーって! これ、ひょっとしなくてもザーメンの匂いじゃね?」
床に寝っ転がり、死に瀕したゴキブリのごとくひくついている店長を、観客たちが遠目に取り巻いた。
「なんの騒ぎだ」
そこへ戻ってきたのは、花の手を引いたラルクである。
私はすでに腰紐を締め、ミニワンピ姿に戻っている。
「こっちでも魔法が使えるかどうか、試してみたの。問題ないみたいね」
「目立った行動は慎め。ここでは移動が優先だ。住民たちとトラブルを起こして遅延するのは愚の骨頂だぞ」
「それはまあ、そうだけど」
憮然とする私の背中を押して、ラルクが書店を出た。
「で、行き先は決まったの?」
ソフィアの問いに、
「ああ。京都だ。向こうの世界での暗黒の塔までの距離、角度からして、こっちの世界の”京都”がドンピシャなのだ」
「京都?」
私は目を円くした。
なんと優雅な。
でも、小学校の修学旅行以来だし、ちょっといいかも。
「あのお店でパフェでも食べながら作戦を練るでちゅ。あたちはイチゴパフェのでら盛希望でちゅ」
書店の前の洒落たカフェを顎でしゃくって、花が言う。
花は胸に大事そうに少年ジャンプを抱きしめている。
「おお、名案じゃね。じゃ、おいらかき氷でら盛で」
花の提案に、一平が目を輝かせた。
ガキはガキ同士、こういう時には気が合うのだろう。
「いいだろう」
ラルクがうなずいた。
「もう少し詳しく地図を調べて、向こうへの転移地点を確定したいところだしな」
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