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#220 暗黒の塔⑭
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「今、笑いまちゅたね」
花がゆでたタコのように赤くなった。
「5センチの瞬間移動が、そんなにおかちいでちゅか」
「い、いや、おかしくないぞ」
肩を震わせながら、ラルクが言った。
って、ラルク、それ、笑いをこらえてるの、丸わかりだって。
「そ、そうね、たった5センチでも、すごいよね」
ちょっと、ソフィア、「たった」をつけちゃ、だめじゃない!
「ぶぶぶぶぶ」
更に一平ときたら、爆笑を口いっぱいにためているらしく、変な音をさせるのがせいいっぱいらしい。
いつものことだけど、まったく、どいつもこいつも使えないったらありゃしない!
「まあ、私たちが興味あるのは、瞬間移動じゃなくて、もうひとつの能力、次元移動のほうなんだけどね」
仕方なく、私は交渉を再開することにした。
「正確には、世界線の移動でちゅ。あたちは、3次元空間から一度5次元空間を経由して、別の平行世界に移動できるんでちゅ」
話題が変わると、自信を取り戻したかのように、花が自慢げに小鼻をひくつかせた。
3次元から5次元?
あれ? 4次元はどこいったの?
と思ったけど、面倒なので訊くのはやめることにした。
物理音痴の私には、どうせ説明されたってわかりっこない。
「つまりは私が元居た世界にも行けるってことだよね?」
「おばさんが居た世界って、どこのことでちゅか?」
花が上目遣いに私を見た。
私は少なからずむっとした。
おいおい、19の娘つかまえて、いきなりおばさん呼ばわりかよ。
ったく、時空魔導士だかなんだか知らないけど、口の利き方を知らないガキだよ。
「稲沢駅と名古屋駅があって、ういろうと赤福餅とハズキルーペを売ってる世界だ」
横からしたり顔でラルクが口をはさんできたけど、あのね、いくらなんでもそれは範囲狭すぎでしょ?
「そこならよく行きまちゅ。東山動物園にコアラ見に」
あっさり花が答えたので、私は仰天した。
え? 東山動物園のコアラって、そんなに有名なの?
というより、コアラ、まだ生きてるの?
ふと、そう思ったのだ。
花がゆでたタコのように赤くなった。
「5センチの瞬間移動が、そんなにおかちいでちゅか」
「い、いや、おかしくないぞ」
肩を震わせながら、ラルクが言った。
って、ラルク、それ、笑いをこらえてるの、丸わかりだって。
「そ、そうね、たった5センチでも、すごいよね」
ちょっと、ソフィア、「たった」をつけちゃ、だめじゃない!
「ぶぶぶぶぶ」
更に一平ときたら、爆笑を口いっぱいにためているらしく、変な音をさせるのがせいいっぱいらしい。
いつものことだけど、まったく、どいつもこいつも使えないったらありゃしない!
「まあ、私たちが興味あるのは、瞬間移動じゃなくて、もうひとつの能力、次元移動のほうなんだけどね」
仕方なく、私は交渉を再開することにした。
「正確には、世界線の移動でちゅ。あたちは、3次元空間から一度5次元空間を経由して、別の平行世界に移動できるんでちゅ」
話題が変わると、自信を取り戻したかのように、花が自慢げに小鼻をひくつかせた。
3次元から5次元?
あれ? 4次元はどこいったの?
と思ったけど、面倒なので訊くのはやめることにした。
物理音痴の私には、どうせ説明されたってわかりっこない。
「つまりは私が元居た世界にも行けるってことだよね?」
「おばさんが居た世界って、どこのことでちゅか?」
花が上目遣いに私を見た。
私は少なからずむっとした。
おいおい、19の娘つかまえて、いきなりおばさん呼ばわりかよ。
ったく、時空魔導士だかなんだか知らないけど、口の利き方を知らないガキだよ。
「稲沢駅と名古屋駅があって、ういろうと赤福餅とハズキルーペを売ってる世界だ」
横からしたり顔でラルクが口をはさんできたけど、あのね、いくらなんでもそれは範囲狭すぎでしょ?
「そこならよく行きまちゅ。東山動物園にコアラ見に」
あっさり花が答えたので、私は仰天した。
え? 東山動物園のコアラって、そんなに有名なの?
というより、コアラ、まだ生きてるの?
ふと、そう思ったのだ。
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