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#216 暗黒の塔⑩
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わらわらと私たちのまわりに集まってきたのは、ざっと100人を超す幼児たちの大群だった。
みんなおそろいの黄色い交通安全帽をかぶり、かわいらしい青い園児服を着ていた。
学校というより、どうやらここは幼稚園か保育園みたいなものらしい。
「ふほうしんにゅうは、はんざいでちゅ!」
先頭の勝気そうな幼女が、私たちを指さして叫んだ。
黄色い帽子の下からおかっぱ頭がのぞき、短いスカートの下からワカメちゃんパンツがはみ出ている。
パンツのもこもこ具合からして、その下はおそらくおむつだろうと思われた。
「ごめんなさい。不法侵入だなんて、そんなつもりはなかったの」
ここは年上の女のやさしさでカバーするしかない。
私はソフィアを押しのけて、猫撫で声でそう言った。
「そんなこと言って、あたちたちをだまそうとしても、そうはいかないでちゅ! だいたい、おばさん、おばさんのくせにエロすぎでちゅ! そんなかっこうで外を歩くなんて、完全に頭イッチャッテましゅ!」
だれがおばさんだあ?
このガキ。
年長者に向かって、なによ、その口の利き方は!
が、ここで子ども相手にムキになってもらちが明かないというものだ。
私はぐっと怒りを押し殺し、更に猫撫で声を発してたずねてみた。
「私たち、決してあやしい者じゃないわ。実をいうと、人を探してるの。時空魔導士って、知らないかな? 地図によると、このへんに住んでるはずなんだけど」
どうせ訊いても無駄だろうと思ったら、
「じゅくうまどうしは、あたちでちゅ」
意外な返事が返ってきて、私たちはそろってのけぞった。
「あ、あなたが?」
私はまじまじと腰までの高さしかない幼女の顔をのぞきこんだ。
「あたちがじくうまどうしの、高杉花でちゅ。それがなにか?」
小さな鼻の頭を泥だらけの指でこすりながら、自慢げに幼女が言った。
みんなおそろいの黄色い交通安全帽をかぶり、かわいらしい青い園児服を着ていた。
学校というより、どうやらここは幼稚園か保育園みたいなものらしい。
「ふほうしんにゅうは、はんざいでちゅ!」
先頭の勝気そうな幼女が、私たちを指さして叫んだ。
黄色い帽子の下からおかっぱ頭がのぞき、短いスカートの下からワカメちゃんパンツがはみ出ている。
パンツのもこもこ具合からして、その下はおそらくおむつだろうと思われた。
「ごめんなさい。不法侵入だなんて、そんなつもりはなかったの」
ここは年上の女のやさしさでカバーするしかない。
私はソフィアを押しのけて、猫撫で声でそう言った。
「そんなこと言って、あたちたちをだまそうとしても、そうはいかないでちゅ! だいたい、おばさん、おばさんのくせにエロすぎでちゅ! そんなかっこうで外を歩くなんて、完全に頭イッチャッテましゅ!」
だれがおばさんだあ?
このガキ。
年長者に向かって、なによ、その口の利き方は!
が、ここで子ども相手にムキになってもらちが明かないというものだ。
私はぐっと怒りを押し殺し、更に猫撫で声を発してたずねてみた。
「私たち、決してあやしい者じゃないわ。実をいうと、人を探してるの。時空魔導士って、知らないかな? 地図によると、このへんに住んでるはずなんだけど」
どうせ訊いても無駄だろうと思ったら、
「じゅくうまどうしは、あたちでちゅ」
意外な返事が返ってきて、私たちはそろってのけぞった。
「あ、あなたが?」
私はまじまじと腰までの高さしかない幼女の顔をのぞきこんだ。
「あたちがじくうまどうしの、高杉花でちゅ。それがなにか?」
小さな鼻の頭を泥だらけの指でこすりながら、自慢げに幼女が言った。
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