217 / 246
#215 暗黒の塔⑨
しおりを挟む
すったもんだの末、ようやく武器と防具を入手した私たち一行は、次なる目的地に向かうことにした。
異世界から元の世界に転移するための、時空魔導士探しである。
「おかしいなあ、ギルドマスターの描いてくれた地図だと、このへんなんだけど」
おニューのアーマーに身を包み、前以上にスタイリッシュかつセクシーになったソフィアが、メモを片手に周囲を見回した。
私たちが今立っているのは、塀に囲まれた広い敷地の真ん前だ。
大理石の柱の間に鋼鉄の門があり、今は外部からの侵入者を拒むように固く閉ざされている。
「なんだか、学校みたい」
鉄格子の間から見える広々とした平地を眺めながら、私はつぶやいた。
ちなみに現在の私の格好は、例のスケスケベビードールスタイルである。
マスターのアドバイスに従い、光学的迷彩を施していないから、陽光の下ではほとんど裸同然だ。
「そのようだな」
ラルクがしかつめらしくうなずくと、私の胸から片時も目を離さない一平に向かって命令した。
「一平、おまえ、サポシーフなら、このくらいの鍵、なんとでもなるだろう。ひとつ開錠してくれないか」
「あ、いや、も、もちろん」
一平がいたずらの現場を見つけられた子供みたいにうろたえる。
「ま、まかせとけって」
私の超絶育ちのいいおっぱいに未練げな一瞥を投げかけると、あきらめたように南京錠に向き直る。
「ずいぶんと原始的だな。こんなもの、おいらにかかればおもちゃみたいなもんさ」
耳の後ろからヘアピンみたいな道具を取り出すと、豪語するだけあって、5秒としないうちに開けてしまう。
「よし、開いた」
得意げに鼻の穴をふくらませる一平に、
「あんた、初めて役に立ったわね」
ソフィアがきつい突っ込みを入れてへこませた。
「行くぞ」
ラルクが重い門に手をかけ、ゆっくりと向こう側へ押し開く。
と、その時だった。
突如として、空襲警報みたいなサイレンが鳴り始めた。
-警告! 警告! 侵入者発見! 風紀係は直ちに戦闘態勢に入れ!-
それと同時に、青空の下にぶっそうな金切り声が響き渡る。
「やべ。なんか来る」
一平が首をすくめた。
ソフィアが背中の大剣を抜く。
正面奥にある4階建ての白い建物から、砂ぼこりを上げて何か黒いものが現れた。
「なによあれ?」
私は絶句した。
迫ってくるのは、思い思いの得物を手にした、可愛らしい幼児の大群だったからである。
異世界から元の世界に転移するための、時空魔導士探しである。
「おかしいなあ、ギルドマスターの描いてくれた地図だと、このへんなんだけど」
おニューのアーマーに身を包み、前以上にスタイリッシュかつセクシーになったソフィアが、メモを片手に周囲を見回した。
私たちが今立っているのは、塀に囲まれた広い敷地の真ん前だ。
大理石の柱の間に鋼鉄の門があり、今は外部からの侵入者を拒むように固く閉ざされている。
「なんだか、学校みたい」
鉄格子の間から見える広々とした平地を眺めながら、私はつぶやいた。
ちなみに現在の私の格好は、例のスケスケベビードールスタイルである。
マスターのアドバイスに従い、光学的迷彩を施していないから、陽光の下ではほとんど裸同然だ。
「そのようだな」
ラルクがしかつめらしくうなずくと、私の胸から片時も目を離さない一平に向かって命令した。
「一平、おまえ、サポシーフなら、このくらいの鍵、なんとでもなるだろう。ひとつ開錠してくれないか」
「あ、いや、も、もちろん」
一平がいたずらの現場を見つけられた子供みたいにうろたえる。
「ま、まかせとけって」
私の超絶育ちのいいおっぱいに未練げな一瞥を投げかけると、あきらめたように南京錠に向き直る。
「ずいぶんと原始的だな。こんなもの、おいらにかかればおもちゃみたいなもんさ」
耳の後ろからヘアピンみたいな道具を取り出すと、豪語するだけあって、5秒としないうちに開けてしまう。
「よし、開いた」
得意げに鼻の穴をふくらませる一平に、
「あんた、初めて役に立ったわね」
ソフィアがきつい突っ込みを入れてへこませた。
「行くぞ」
ラルクが重い門に手をかけ、ゆっくりと向こう側へ押し開く。
と、その時だった。
突如として、空襲警報みたいなサイレンが鳴り始めた。
-警告! 警告! 侵入者発見! 風紀係は直ちに戦闘態勢に入れ!-
それと同時に、青空の下にぶっそうな金切り声が響き渡る。
「やべ。なんか来る」
一平が首をすくめた。
ソフィアが背中の大剣を抜く。
正面奥にある4階建ての白い建物から、砂ぼこりを上げて何か黒いものが現れた。
「なによあれ?」
私は絶句した。
迫ってくるのは、思い思いの得物を手にした、可愛らしい幼児の大群だったからである。
0
お気に入りに追加
86
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。


セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる