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#207 暗黒の塔①
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マンマミーア酋長の計らいで、私たちはようやく怪獣島を脱出することができた。
魔王軍の前哨基地はことごとく破壊し尽くされていて、調査の必要なしとラルクが判断を下したせいもある。
カヌーに毛の生えたような丸木舟で航海すること3日、私たちがたどりついたのは、サンフローレンスの西海岸、ラスカルの街だった。
ラスカルはそこそこ大きな都市で、豊かな牧草地を背景にカラフルな家々が立ち並び、まるでオランダの田舎町にでも来たような感じである。
幸い気候も温暖で、エロ魔導士の露出過多の衣装でも、大して寒さを感じることなく過ごせそうだった。
港から10分ほど歩くと、そこが街の中心部らしく、目抜き通りに沿ってたくさんの店や宿屋が並んでいた。
予想はついたけど、やはりこれだけ人の数が多いと、否が応でも注目は私に集まってしまう。
なんせおっぱいの半分はみ出た赤い胴着とおケツ丸出しのTバック紐パンルックなのである。
こっちを見るなというほうが無理というものだろう。
「まずは宿でも取ることにするか」
ラルクの提案に、一番立派そうな宿屋ののれんをくぐると、そこはすぐ食堂になっていて、
「おお、あれはエロ魔導士さまじゃないか」
「噂には聞いていたが、なんていやらしい」
「さっすが、ええ身体、しちょるのう」
客たちがいきなりざわざわし始めた。
「いらっしゃいませ。お部屋をお探しですか?」
揉み手をしながら出てきたのは、頭頂の禿げあがった波平みたいなおじさんである。
「ああ、女性用と男性用、ふたつ頼めると助かるのだが」
ラルクの言葉を、
「別にひとつでいいんじゃね? 4人雑魚寝もオツなもんだぜ」
ませた口調で一平が混ぜっ返す。
「そうなったら、あんたには馬小屋で寝てもらうからね」
が、すぐにソフィアにひと睨みされ、一平がしゅんとなる。
「たはー、マジかよ」
「大丈夫ですよ。こんなこともあろうかと、極上のお部屋をおふたつご用意してあります」
波平似の主人のセリフに、ラルクが眉を吊り上げた。
「ん? どういうことだ? まるで俺たちが来るのを知っていたかのような口調だが」
「そりゃ、そうですよ。このご時世です。そろそろ冒険者の皆さんが来てくださらないと、始まりません」
波平は、緊張しているのか、しきりにタオルで禿げ頭の汗をぬぐっている。
「このご時世って?」
横から美少女のソフィアが口を挟んだので、その電球頭がますます赤くなった。
「えーっと、ご存じないのですか? 現在の魔王軍の状況を」
「ええ、まあ、ついさっきまで、怪獣島に缶詰めになってたものだから」
「怪獣島ですと? そいつはすごい」
ソフィアの何気ないひと言に、主人の眼が丸くなる。
「あの島にはもう怪獣なんていなくてよ。魔王軍の基地もぶっ壊したから、気象バリアも解除されてるし」
「おお、さすが冒険者さまご一行ですな。見たところ、高レベルのエロ魔導士さまもご一緒で」
「翔子が高レベルって、よくわかったわね。彼女、こう見えてもレベル80なの。人型ロボットも使える最強の魔導士なのよ」
「レベル80ですと! そいつはますますすごい。道理で乳首とあそこが光り輝いているはずです」
褒められて悪い気はしないけど、そこを突かれると実は痛いのだ。
レベルが上がるにつれ、右の乳首が金色に、左の乳首が銀色に光り始めたのである。
あそこの輝きというのは、私が装着しているクリリングを指しているのに違いない。
胴着もスキャンティも露出度が高すぎるので、どうしても輝きが外に漏れてしまうのだ。
「そんなことより、魔王軍の状況とやらを教えてくれないか」
焦れたようなラルクの言葉に、主人は頭を撫で回すと、
「それなら、昼食ついでにニュースをご覧になったらいかがでしょう? うちの宿にはクリスタルTVも用意してございますので」
「え?」
私はこの時、初めて声を上げた。
「この世界にもテレビがあるの?」
魔王軍の前哨基地はことごとく破壊し尽くされていて、調査の必要なしとラルクが判断を下したせいもある。
カヌーに毛の生えたような丸木舟で航海すること3日、私たちがたどりついたのは、サンフローレンスの西海岸、ラスカルの街だった。
ラスカルはそこそこ大きな都市で、豊かな牧草地を背景にカラフルな家々が立ち並び、まるでオランダの田舎町にでも来たような感じである。
幸い気候も温暖で、エロ魔導士の露出過多の衣装でも、大して寒さを感じることなく過ごせそうだった。
港から10分ほど歩くと、そこが街の中心部らしく、目抜き通りに沿ってたくさんの店や宿屋が並んでいた。
予想はついたけど、やはりこれだけ人の数が多いと、否が応でも注目は私に集まってしまう。
なんせおっぱいの半分はみ出た赤い胴着とおケツ丸出しのTバック紐パンルックなのである。
こっちを見るなというほうが無理というものだろう。
「まずは宿でも取ることにするか」
ラルクの提案に、一番立派そうな宿屋ののれんをくぐると、そこはすぐ食堂になっていて、
「おお、あれはエロ魔導士さまじゃないか」
「噂には聞いていたが、なんていやらしい」
「さっすが、ええ身体、しちょるのう」
客たちがいきなりざわざわし始めた。
「いらっしゃいませ。お部屋をお探しですか?」
揉み手をしながら出てきたのは、頭頂の禿げあがった波平みたいなおじさんである。
「ああ、女性用と男性用、ふたつ頼めると助かるのだが」
ラルクの言葉を、
「別にひとつでいいんじゃね? 4人雑魚寝もオツなもんだぜ」
ませた口調で一平が混ぜっ返す。
「そうなったら、あんたには馬小屋で寝てもらうからね」
が、すぐにソフィアにひと睨みされ、一平がしゅんとなる。
「たはー、マジかよ」
「大丈夫ですよ。こんなこともあろうかと、極上のお部屋をおふたつご用意してあります」
波平似の主人のセリフに、ラルクが眉を吊り上げた。
「ん? どういうことだ? まるで俺たちが来るのを知っていたかのような口調だが」
「そりゃ、そうですよ。このご時世です。そろそろ冒険者の皆さんが来てくださらないと、始まりません」
波平は、緊張しているのか、しきりにタオルで禿げ頭の汗をぬぐっている。
「このご時世って?」
横から美少女のソフィアが口を挟んだので、その電球頭がますます赤くなった。
「えーっと、ご存じないのですか? 現在の魔王軍の状況を」
「ええ、まあ、ついさっきまで、怪獣島に缶詰めになってたものだから」
「怪獣島ですと? そいつはすごい」
ソフィアの何気ないひと言に、主人の眼が丸くなる。
「あの島にはもう怪獣なんていなくてよ。魔王軍の基地もぶっ壊したから、気象バリアも解除されてるし」
「おお、さすが冒険者さまご一行ですな。見たところ、高レベルのエロ魔導士さまもご一緒で」
「翔子が高レベルって、よくわかったわね。彼女、こう見えてもレベル80なの。人型ロボットも使える最強の魔導士なのよ」
「レベル80ですと! そいつはますますすごい。道理で乳首とあそこが光り輝いているはずです」
褒められて悪い気はしないけど、そこを突かれると実は痛いのだ。
レベルが上がるにつれ、右の乳首が金色に、左の乳首が銀色に光り始めたのである。
あそこの輝きというのは、私が装着しているクリリングを指しているのに違いない。
胴着もスキャンティも露出度が高すぎるので、どうしても輝きが外に漏れてしまうのだ。
「そんなことより、魔王軍の状況とやらを教えてくれないか」
焦れたようなラルクの言葉に、主人は頭を撫で回すと、
「それなら、昼食ついでにニュースをご覧になったらいかがでしょう? うちの宿にはクリスタルTVも用意してございますので」
「え?」
私はこの時、初めて声を上げた。
「この世界にもテレビがあるの?」
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