197 / 246
#195 怪獣島を脱出せよ!②
しおりを挟む
島に転移すると、村は祝宴の準備の真っ最中だった。
今度は私たちが料理されるのではなく、料理をふるまわれる側に回ったというわけだ。
「どうだった? レベルは?」
中央広場に足を向けると、玉座に座って煙草をくゆらせていたラルクが、上機嫌な口調で訊いてきた。
「70に上がったよ。ついでに初子の装備もリニューアルされた。どんなのかは、見てのお楽しみ」
「なんと、レベル70のエロ魔導士とな」
ラルクの隣に座っていたマンマミーア酋長が、玉座から転げ落ちると、私の前に平伏する。
「ありがたやありがたや。それほど高レベルのエロ魔導士様にお会いするのは、これが初めてじゃ。ああ、なんとお美しく、尊いことじゃろう。それに加えて、めっぽうエロい」
赤いビスチェに紐パンティだけ、という私のコスに目を細め、そんなことを言う。
「このチチモミ族の助けを借りて、明日の夜、魔王の前哨基地を襲撃することに決まった。おまえも疲れているだろうから、今日はたっぷり滋養を取って、ゆっくり休むがいい」
「チチモミ族? それがこの人たちの名前なの?」
呆れて訊き返すと、
「そうじゃ。チチモミとは、この島の古い言葉で、”聖母を敬う者”という意味なのじゃ。そしてあなた様こそが、1000年ぶりに降臨なさった我らが聖母。キングゴローも、おかげでほら、あの通り大人しくなった」
乳を揉むことがどうして聖母を敬うことになるのか、はなはだ疑問だったけど、野暮なつっこみはこの際やめることにして、私は酋長の視線を追った。
広場の隅にバオバブの木が一本立っており、そこに灰色の毛並みのゴリラが一頭、縄でつながれている。
腰のあたりに包帯を巻いていることから、たぶんゴローだろうと識別できた。
でも、どうしたんだろう?
こんなに小さくなっちゃって。
これじゃ、ただのゴリラなんだけど。
それにしても、眼をハート形にして私のほうを見つめてくるのはどういうわけ?
「ゴローを魔神に仕立て上げていたのは、あのペニスだったんじゃないかと俺は思う。たぶん魔王軍の開発した生物兵器のひとつじゃないのかな。憑りついた者を怪獣に変えるおそるべきペニス。そんなものを作れるのは、魔王しかいないだろう」
「女に生まれてよかったわ」
私は安堵のため息をついた。
「へんなものに取りつかれて、怪獣になるのはいやだもの」
じゃあ、ゴローの本体は、あのペニスだったってことか。
それを私=初子が、ヴァギナカッターとアナルシュレッダーで粉砕したおかげで、彼は元のゴリラに戻ったというわけだ。
生き物に憑りついて怪獣化させるペニス?
なんておぞましい発明だろう。
私は初子のあそこと肛門にアレが侵入してきた時の嫌な感じを思い出し、ぞっとなった。
「まあな。俺も気をつけるよ」
ラルクが苦笑する。
「あー、すっきりした」
そこに、頭にバスタオルを巻いたソフィアが、モンローウォークでくねくね腰を振りながら現れた。
酋長に借りたのか、戦闘服ではなく、涼し気なムームーみたいな服を身にまとっている。
「裏に綺麗な池があるから、翔子も後で水浴びするといいよ。しばらくシャワー、浴びてないでしょ?」
私を見るなり、ニコニコ笑いながら、そんな呑気なことを言った。
「あ、いいね。それ。ところで、一平は?」
「村の青年団に混ざって、食材取りに行ってる。そろそろ戻る頃だと思うけど」
「そっか。それならいいけど」
そんな会話を交わしていると、
「あ、翔子、戻ってきたんだ」
屈強な青年たちに囲まれた一平が、広場に入ってきた。
みんな手に手に木の実やら魚やら小動物やらを提げている。
「ごくろうさま。初子、今回もめちゃかっこよかったぜ」
目をキラキラさせて、ずいぶんご満悦の様子である。
私は少しうれしくなった。
珍しく、平和な夜を迎えられそうだ。
ふと、そう思ったからである。
今度は私たちが料理されるのではなく、料理をふるまわれる側に回ったというわけだ。
「どうだった? レベルは?」
中央広場に足を向けると、玉座に座って煙草をくゆらせていたラルクが、上機嫌な口調で訊いてきた。
「70に上がったよ。ついでに初子の装備もリニューアルされた。どんなのかは、見てのお楽しみ」
「なんと、レベル70のエロ魔導士とな」
ラルクの隣に座っていたマンマミーア酋長が、玉座から転げ落ちると、私の前に平伏する。
「ありがたやありがたや。それほど高レベルのエロ魔導士様にお会いするのは、これが初めてじゃ。ああ、なんとお美しく、尊いことじゃろう。それに加えて、めっぽうエロい」
赤いビスチェに紐パンティだけ、という私のコスに目を細め、そんなことを言う。
「このチチモミ族の助けを借りて、明日の夜、魔王の前哨基地を襲撃することに決まった。おまえも疲れているだろうから、今日はたっぷり滋養を取って、ゆっくり休むがいい」
「チチモミ族? それがこの人たちの名前なの?」
呆れて訊き返すと、
「そうじゃ。チチモミとは、この島の古い言葉で、”聖母を敬う者”という意味なのじゃ。そしてあなた様こそが、1000年ぶりに降臨なさった我らが聖母。キングゴローも、おかげでほら、あの通り大人しくなった」
乳を揉むことがどうして聖母を敬うことになるのか、はなはだ疑問だったけど、野暮なつっこみはこの際やめることにして、私は酋長の視線を追った。
広場の隅にバオバブの木が一本立っており、そこに灰色の毛並みのゴリラが一頭、縄でつながれている。
腰のあたりに包帯を巻いていることから、たぶんゴローだろうと識別できた。
でも、どうしたんだろう?
こんなに小さくなっちゃって。
これじゃ、ただのゴリラなんだけど。
それにしても、眼をハート形にして私のほうを見つめてくるのはどういうわけ?
「ゴローを魔神に仕立て上げていたのは、あのペニスだったんじゃないかと俺は思う。たぶん魔王軍の開発した生物兵器のひとつじゃないのかな。憑りついた者を怪獣に変えるおそるべきペニス。そんなものを作れるのは、魔王しかいないだろう」
「女に生まれてよかったわ」
私は安堵のため息をついた。
「へんなものに取りつかれて、怪獣になるのはいやだもの」
じゃあ、ゴローの本体は、あのペニスだったってことか。
それを私=初子が、ヴァギナカッターとアナルシュレッダーで粉砕したおかげで、彼は元のゴリラに戻ったというわけだ。
生き物に憑りついて怪獣化させるペニス?
なんておぞましい発明だろう。
私は初子のあそこと肛門にアレが侵入してきた時の嫌な感じを思い出し、ぞっとなった。
「まあな。俺も気をつけるよ」
ラルクが苦笑する。
「あー、すっきりした」
そこに、頭にバスタオルを巻いたソフィアが、モンローウォークでくねくね腰を振りながら現れた。
酋長に借りたのか、戦闘服ではなく、涼し気なムームーみたいな服を身にまとっている。
「裏に綺麗な池があるから、翔子も後で水浴びするといいよ。しばらくシャワー、浴びてないでしょ?」
私を見るなり、ニコニコ笑いながら、そんな呑気なことを言った。
「あ、いいね。それ。ところで、一平は?」
「村の青年団に混ざって、食材取りに行ってる。そろそろ戻る頃だと思うけど」
「そっか。それならいいけど」
そんな会話を交わしていると、
「あ、翔子、戻ってきたんだ」
屈強な青年たちに囲まれた一平が、広場に入ってきた。
みんな手に手に木の実やら魚やら小動物やらを提げている。
「ごくろうさま。初子、今回もめちゃかっこよかったぜ」
目をキラキラさせて、ずいぶんご満悦の様子である。
私は少しうれしくなった。
珍しく、平和な夜を迎えられそうだ。
ふと、そう思ったからである。
0
お気に入りに追加
86
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。


セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる