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#188 初子と怪獣大戦争⑮
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振り返った私たちは、一様に口をぽかんと開けてしまった。
外側から押し倒されようとしている防護柵。
その上に、毛むくじゃらの顔がのぞいている。
いかにも脳みその小さそうな、先のとんがった頭。
ひさしのように突き出したおでこ。
その下の落ちくぼんだ小さな目。
前を向いた平たい鼻。
真ん中だけ尖った大きな口。
大きさは、奈良の大仏ほどもありそうだ。
それは、まぎれもなくゴリラだった。
「き、キングコング…」
「いんや、キングゴローじゃ」
私のつぶやきを、女酋長が訂正した。
「あれこそこの島を統べる魔神、キングゴローなのじゃ」
キング、ゴロー?
私は疑わしげに酋長を振り返った。
「なんでコングじゃなくって、ゴローなんですか?」
「5代めだからじゃよ。初代がイチロー、次がジロー、その次がサブロー、そしてあれの父親がシローなのじゃ」
まったく、この世界の住人たちのネーミングセンスの安易さには、脱帽するしかない。
「メスはいないんですか? 5代も続いてるなら、あの大猿のメスもいるはずですよね?」
「いるには居る。というか、前は居た、というべきじゃろう。だが、その最後の一匹の雌が、半年前、老衰で死んでしまった。己の子供たちと交わって、なんとかここまで子孫を増やしてきた、3百歳を超えるメスの大猿じゃった。その唯一無二の雌がいなくなったせいで、五代目のゴローは欲求不満気味で気が荒い。しかし、それだけはわしらにもどうすることもできぬのじゃ。あのデカマラの怪物の相手を務められる女など、この島にはおらぬから」
「なるほど。そういうことか」
ラルクは勝手に納得している。
うう、またしても嫌な予感。
私は咎めるようなまなざしをすかした顔をしているラルクに向けた。
「それなら心配はいらないぞ、ご老人」
私の視線に気づかないのか、自信満々な口ぶりでラルクが言った。
「あのキングゴローの相手ができる女なら、ここにいる。まさに世界でただひとつの花。いや、おま〇この持ち主が」
外側から押し倒されようとしている防護柵。
その上に、毛むくじゃらの顔がのぞいている。
いかにも脳みその小さそうな、先のとんがった頭。
ひさしのように突き出したおでこ。
その下の落ちくぼんだ小さな目。
前を向いた平たい鼻。
真ん中だけ尖った大きな口。
大きさは、奈良の大仏ほどもありそうだ。
それは、まぎれもなくゴリラだった。
「き、キングコング…」
「いんや、キングゴローじゃ」
私のつぶやきを、女酋長が訂正した。
「あれこそこの島を統べる魔神、キングゴローなのじゃ」
キング、ゴロー?
私は疑わしげに酋長を振り返った。
「なんでコングじゃなくって、ゴローなんですか?」
「5代めだからじゃよ。初代がイチロー、次がジロー、その次がサブロー、そしてあれの父親がシローなのじゃ」
まったく、この世界の住人たちのネーミングセンスの安易さには、脱帽するしかない。
「メスはいないんですか? 5代も続いてるなら、あの大猿のメスもいるはずですよね?」
「いるには居る。というか、前は居た、というべきじゃろう。だが、その最後の一匹の雌が、半年前、老衰で死んでしまった。己の子供たちと交わって、なんとかここまで子孫を増やしてきた、3百歳を超えるメスの大猿じゃった。その唯一無二の雌がいなくなったせいで、五代目のゴローは欲求不満気味で気が荒い。しかし、それだけはわしらにもどうすることもできぬのじゃ。あのデカマラの怪物の相手を務められる女など、この島にはおらぬから」
「なるほど。そういうことか」
ラルクは勝手に納得している。
うう、またしても嫌な予感。
私は咎めるようなまなざしをすかした顔をしているラルクに向けた。
「それなら心配はいらないぞ、ご老人」
私の視線に気づかないのか、自信満々な口ぶりでラルクが言った。
「あのキングゴローの相手ができる女なら、ここにいる。まさに世界でただひとつの花。いや、おま〇この持ち主が」
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