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#174 初子と怪獣大戦争①
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「俺が手伝えるのはここまでだ」
太い腕を突き出し、ザビエルが言った。
「学者先生、異界名物、うまかったぞ。機会があれば、また寄ってくれ」
異界名物とは、ラルクが名古屋駅で購入したういろうやまんじゅうのことだろう。
船は怪獣島の入江についていた。
あとはここから、ボートに乗って砂浜まで行くだけだ。
「それから翔子、あの官能の体験は忘れがたい。任務が終わったら、どうだ? わしの妾にならんか」
おいおい。
私は呆れた。
正妻じゃなくて、いきなりメカケかよ。
ま、あんたのおっぱいもみもみは気持ちよかったし、赤エビ料理も最高だったけどさ。
「それは無理だな」
私の返答より早く、そっけなく口をはさんだのは、ラルクである。
「翔子はおそらく、眠りについてしまったミューズ神の後を継ぐべきエロ魔導士なのだ。レベル99になれば、彼女はほぼ確実に女神昇格だろう。この世に平和をもたらすのは、最高レベルのエロ魔導士だ。これこそ隠された世のことわり。我々人間の出る幕ではない」
「そうか。そうだったな」
って、おっさん。何素直に納得してるわけ?
私、そんな話、初耳の気がするんですけど。
轟天号が去り、ボートを砂浜に引き上げると、いい具合に雨風をしのげそうな洞窟が見つかった。
初子のレベル上げのキャンプにはもってこいである。
「でも兄者、仮にここで翔子と初子のレベルを上げたとして、帰りの船はどうするの?」
洞窟をどうにか人が住める状態に調えると、当然の疑問をソフィアが口にした。
「船長に迎えに来てもらうように頼んどいたほうが、よかったんじゃないかなあ」
「いや、たぶん大丈夫だろう」
煙草に火をつけ、平然とした口調でラルクが言う。
別に帰りのことを忘れていたわけではないらしい。
「ここには魔王軍の前哨基地がある。それを叩けば、脱出用の移動手段くらい、簡単に手に入るはずだ。もしかしたら、船どころか、飛空艇があるかもしれん」
「おお、いいね。飛空艇」
目を輝かせたのは一平である。
「船はどうも苦手だよ。翔子ほどじゃないけどさ、船酔いがきついよね」
「そのためにも、事前の調査が必要だな。食事が済んだら、一平とソフィアで、島の調査に向かってくれ」
「あいよ」
「おっけい」
こうして、いよいよ怪獣島での生活が始まった。
あ、ちなみに。
ひとつ予告しておくと。
島での初子のデビュー戦は、翌朝のことになる。
太い腕を突き出し、ザビエルが言った。
「学者先生、異界名物、うまかったぞ。機会があれば、また寄ってくれ」
異界名物とは、ラルクが名古屋駅で購入したういろうやまんじゅうのことだろう。
船は怪獣島の入江についていた。
あとはここから、ボートに乗って砂浜まで行くだけだ。
「それから翔子、あの官能の体験は忘れがたい。任務が終わったら、どうだ? わしの妾にならんか」
おいおい。
私は呆れた。
正妻じゃなくて、いきなりメカケかよ。
ま、あんたのおっぱいもみもみは気持ちよかったし、赤エビ料理も最高だったけどさ。
「それは無理だな」
私の返答より早く、そっけなく口をはさんだのは、ラルクである。
「翔子はおそらく、眠りについてしまったミューズ神の後を継ぐべきエロ魔導士なのだ。レベル99になれば、彼女はほぼ確実に女神昇格だろう。この世に平和をもたらすのは、最高レベルのエロ魔導士だ。これこそ隠された世のことわり。我々人間の出る幕ではない」
「そうか。そうだったな」
って、おっさん。何素直に納得してるわけ?
私、そんな話、初耳の気がするんですけど。
轟天号が去り、ボートを砂浜に引き上げると、いい具合に雨風をしのげそうな洞窟が見つかった。
初子のレベル上げのキャンプにはもってこいである。
「でも兄者、仮にここで翔子と初子のレベルを上げたとして、帰りの船はどうするの?」
洞窟をどうにか人が住める状態に調えると、当然の疑問をソフィアが口にした。
「船長に迎えに来てもらうように頼んどいたほうが、よかったんじゃないかなあ」
「いや、たぶん大丈夫だろう」
煙草に火をつけ、平然とした口調でラルクが言う。
別に帰りのことを忘れていたわけではないらしい。
「ここには魔王軍の前哨基地がある。それを叩けば、脱出用の移動手段くらい、簡単に手に入るはずだ。もしかしたら、船どころか、飛空艇があるかもしれん」
「おお、いいね。飛空艇」
目を輝かせたのは一平である。
「船はどうも苦手だよ。翔子ほどじゃないけどさ、船酔いがきついよね」
「そのためにも、事前の調査が必要だな。食事が済んだら、一平とソフィアで、島の調査に向かってくれ」
「あいよ」
「おっけい」
こうして、いよいよ怪獣島での生活が始まった。
あ、ちなみに。
ひとつ予告しておくと。
島での初子のデビュー戦は、翌朝のことになる。
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