異世界転生して謎のリングをアソコに装着したらエロ魔導士になりましたとさ

戸影絵麻

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#146 魔王軍基地潜入計画⑥

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「3分? カップヌードルかよ」
 一平が、バカにするように、鼻の穴をふくらませた。
「さすがに短すぎるな」
 ラルクが顎の先を指でなでる。
「せっかく、すごい兵器手に入れたのにね。残念」
 と、これはギョーザを頬張っているソフィアだ。
「私のレベルの問題なんだって。MPが増えれば、もっと長い時間動かせるようになるらしいんだけど」
 ふかひれスープを口に運びながら、私は言った。
「つまり、翔子のレベルを上げればいいわけか」
「じゃあさ、こうしたらどうだい? 一般参加の酒池肉林乱交パーテ」
 ぽか。
 ソフィアが一平の頭をこぶしで叩いた。
「だめ。却下」
「じゃ、翔子を黄鶴楼の置き屋で24時間働かせ」
 ぽか。
 もう一発。
 今度は私の一撃である。
「いやです。人権侵害です。ブラック企業じゃあるまいし」
「早くレベルを上げる方法があればいいんだがな。その、性的な方法以外で」
「あることはあるけど」
 しぶしぶ私は口を切った。
「何? どんな方法?」
 ソフィアが春巻きをかじりながら訊く。
「あの巨人に乗ったまま、戦うこと。敵を1体倒すたびに装備が増えて、経験値とSPも通常の10倍入るんだって」
「それだ」
 一平の目がきらめいた。
「何よ?」
「向こうに戻って、敵を探すんだ。ばこーんとレベルが上がりそうな、おっきいやつ」
「でも、魔王軍はまだ、アルカディアまでしか来てないんでしょ? かなり遠いよ?」
「本体はね。でもさ、おいら、うわさに聞いたんだ。サンフローレンスの北、赤海の中の孤島に、魔王の息のかかった秘密基地があるらしいって」
「ひょっとして、あれか?」
 一平の言葉に、ラルクが目を上げた。
「別名、怪獣島。巨大生物に支配された、伝説の地獄の孤島」
「そう、それ。怪獣島なら、レベル上げにもってこいじゃね? それに、そこで待ってれば、魔王軍もきっと武器や燃料の補充に立ち寄るんじゃないかな?」
「怪獣島でレベル上げか。いい案かもしれないな」
 ふたりで勝手に盛り上がっている。
 私はむっとした。
「待ってよ。誰が怪獣と戦うと思ってるの? あんたたちじゃなくって、それ、私でしょ?」
「そんなこと言ったってしょーがねーじゃん。あの巨人には、翔子しか乗れないんだからさ」
 一平が言い返してきた、その時である。
「ひひひ、いいこと、聞いちゃった!」
 隅のテーブルから、そんな声が聞こえてきて、私はびくっと背をこわばらせた。
 振り向くと、トレンチコートにサングラス、鳥打帽をかぶった見るからに怪しいやつが新聞を読んでいる。
「おまえは、アラクネ」
 鋭い口調で、ラルクが言った。
「黄鶴楼で、女郎にさせられたんじゃなかったのか?」
 アラクネが女郎?
 ばあさまとの間で、そういう取り決めになってたの?
「ばーか。そんなへぼなあたいじゃないよ! 今の話、さっそく魔王様にご報告するからね!」
「待て!」
 ソフィアが剣を手に取った。
「待たない!」
 アラクネが身をひるがえす。
 コートを広げたと思ったら、なんとそれが翼になった。
 吸血蝙蝠みたいな、黒い大きな翼である。
 中華料理店の入り口から夜空に飛び立ったアラクネを見送って、ラルクがつぶやいた。
「まずいな。急ごう。すぐに向こうに戻って、怪獣島を目指すんだ」
「マジですか」
 私は我ながら情けない顔になった。
 やだよう。
 怪獣と戦うなんて。
 こう見えても、れっきとした女の子なのに。
 怪獣ごっこなんて、好きじゃない!



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