異世界転生して謎のリングをアソコに装着したらエロ魔導士になりましたとさ

戸影絵麻

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#143 魔王軍基地潜入計画③

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 -あ、そうでしたわねー
 女神が言った。
 と、だしぬけに世界が切り替わった。
 お寺の本堂が消え、次の瞬間、私たちはなぜだかステンレススチールの床の上に立っていた。
 ドーム球場そっくりの、無機質な空間である。
 ただ、観客席はなく、見渡す限り壁面を覆っているのは、おびただしい太い金属製のダクトや導線の束。
 そしてそれを背景にそびえる、天井に届きそうなほど巨大な、ロケットの発射台みたいなもの。
「な、なんだ? 何がどうなったんだよ?」
 混乱して、一平がわめいた。
「これがうわさの異世界転生ってやつ?」
 -違います。私はただ、『認識」を変えただけです。世界は『認識』で成り立っています。すなわち、認識する者がいるから、世界が初めて存在する、といったふうにー
 何その哲学っぽい理屈?
 エロ魔導士=女神説の次は、認識論だって?
 まったくもって、わけワカメだわ。
「『認識』か。なるほど、人間原理宇宙論というわけか。それも、”きわめて強い人間原理”だな」
 うーん、意味が解っているのは、やっぱりラルクだけみたい。
 -そうです。ここでは私の『認識力』が最も強い。ですから、私が認識の仕方を変えれば、この幻界は、弥勒菩薩像が眠る寺にもなれば、巨大兵器を格納する武器庫にもなるのですー
「どひゃあ、ほんとだ」
 一平が視線を上げるなり、歓声を上げた。
 それもそのはず。
 前方にそびえる発射台。
 そこに固定されているのは、ロケットなどではなく、2体の巨人なのである。
 両方とも、外観は若い女。
 しかも、なぜか2体とも、純白のセーラー服の夏服を着て、紺のミニ丈のプリーツスカートを穿いている。
 ー あれが、ビッチファッカーです。左の黒髪ストレートが、初号機。右の赤髪ウルフヘアが、弐号機。ただし、弐号機はまだ、試運転が済んでいないので、実戦には投入できませんー
 なんと、究極のエロ兵器とは、身長50メートルの女子高生だったというわけだ。
「でも、どうしてふたりとも、制服着てるわけ?」
 巨人を見上げながら、私は最大の疑問を口にした。
 -あれは初期装備です。このビッチファッカーの優れたところは、敵を倒すたびに衣装が増えていくという点にあります。あのセーラー服のほかに、体操服とブルマセット、ワンピース型スクール水着、木綿の下着上下セット、SM女王ふうコスチューム、三角ビキニ、マイクロビキニと、位相空間にさまざまな着換えが用意されているのですー
「はあ?」
 私は呆れた。
 バカバカしいいにもほどがある。
 エロゲーじゃあるまいし、そんなものにどんな意味があるというのだ?
 まったくもう、巨大ロボットを着換えさせて、何が面白い?
 ービッチファッカーは、肌の露出度が増すほど強くなるのです。だから、着換えは必須です。魔王を倒すためには、一刻も早く、最終形態、すなわち紐ビキニにまでもっていかねばなりませんー
 紐ビキニって、あれか。
 私がエロ魔導士になった時、身に着けてたお尻に食い込むあの初期装備か。
 エロ魔導士の初期装備が、ビッチファッカーの最終形態とは、またなんたる皮肉だろう。
「なら、最初から裸のままにしとけばいいのに」
 私がぼやくと、女神がきまり悪そうに答えた。
 ーこれは仕様ですから、今更変更できないのですー
 は、仕様ときたか。
 それじゃ、まるでクソゲー製作者の言い訳じゃない。
 -では、次に、操作方法をご説明しますー
 気まずい沈黙を破って、女神が言った。
「マジですか」
 その言葉に、私はいきなり重い気分に陥った。




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