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#141 魔王軍基地潜入計画①
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「へ?」
自分でも、まぬけだな、と思う声が出た。
だって。
よりによって…。
「ちょっとォ、何よ、それ? ビッチファッカー初号機? 名前からしてすごく嫌そうなんですけど」
何よ、それ。
転生後、このセリフを何度口にしたことだろう。
まったくもう、次から次へと訳の分からないものが出てくるから、ほんと、嫌になる。
「起きないな」
弥勒菩薩像の頭をげんこつでゴンゴン叩いていたラルクが、私の声に反応し、何事かという顔で私を見た。
また病気が始まった。
そんな目をしている。
まずい。
そこで私は女神に提案することにした。
「あのさ、答えを聞く前に、ひとつお願いしたいことがあるんだけど」
ー何でしょう?-
「あなたの声、一時的にでいいから、ここにいるみんなに聞こえるようにしてくれない? このままじゃ、私、頭のネジがゆるんでると思われそう」
-いいでしょう。この幻界は、いわば鎖された亜空間。ここでの会話は、魔王の耳には入りませんからー
え? やっぱりこのしけた場所が幻界なの?
軽いショックでめまいに襲われかけた時、
-ピーピー、ただいまマイクのテスト中ー
よそ行きの声で、突然女神がアナウンスを開始した。
-聞こえますか? SOS、聞こえますか? ダーリンー
遊んでんじゃないわよ。だいたい、ダーリンって何なのよ?
と。
効果はすぐに現れ、
「お、何か聞こえてきた」
「わ、これがレベルアップの女神さま?」
「ふうむ。なるほどな」
メンバーが、三者三様の反応示して私を見る。
-みなさん、始めまして。ミューズの妹、マリアですー
まずは女神の自己紹介だ。
ふーん、あんた、マリアって名前だったのね。
私はいつか会った巨乳美女を思い出した。
-私は普段、煉獄に住んでいます。そして、各世界が危機に瀕した時、別の世界から勇者を召喚して、その世界を救う仕事をしていますー
派遣会社みたいなもんだね。
察するところ、私は貧乏くじを引かされた派遣社員というところか。
もらったのが、チートスキルならぬ、クリリングひとつだもんね。
-ところが今回、不測の事態が起きてしまいました。せっかくみなさんにここまで来ていただいたというのに、肝心の姉、ミューズが、待ちくたびれたのか、寝てしまったのですー
「この像、叩いてみたけど、起きないぞ。よほど眠りが深いとみえる」
-すみません。姉は一度眠りにつくと、1万年間は眠り続けるのです。たとえ世界が滅んでもー
「1万年? それってさ、すでに死んでるってことじゃ?」
子供らしく、一平が素朴な疑問を口にする。
-いえ。死んだわけではありません。仮死状態と言いますか。極限状況下のクマムシみたいなものですー
はあ?
クマムシみたいな女神なんて、意味不明なんですけど。
-姉の助力がないと、世界は救えません。そこで私は考えました。姉の能力の一部を、翔子に委譲しようとー
委譲とは。
さすが女神。難しい言葉を知っている。
-それがその、乳首リングなのですー
「ちくび?」
「リング?」
3人がもの珍しそうに、私の美乳の先で光るふたつのリングを見つめてきた。
「やっと話が戻ってきたわね。それで、これを使うと乗れるようになるっていう、えーっと、なんだっけ?」
-ビッチファッカー初号機ですー
「そうそう、それって何なのよ?」
-名前から想像がつくと思いますが、ビッチファッカー初号機というのは、全長50メートルの人型兵器ですー
「でー! 巨大ロボットかよ? かっけー! すっげー! ねね、翔子、頼む、おいらも乗せておくれよ!」
一平は大喜び。
欣喜雀躍、狂喜乱舞。
そんな表現がぴったりだ。
でも、私にとっては、面白くもなんともない。
正直、乗り物の類いは大の苦手。
車の免許を取る時、実地試験で40回落ちた悪夢がよみがえる。
自動車学校始まって以来のワースト記録ということで、卒業の時、表彰されたくらいなんだから。
「あのさ、私、魔導士なんだよね?」
意地悪い声で、私は訊いた。
「なんで魔導士が、巨大ロボット操縦しなきゃなんないのよ?」
-幻界の兵器は、すべて魔法エネルギーで動くからです。なかでも究極のエロ兵器ビッチファッカーは、エロ魔導士にしか操縦できませんー
「ていうか、どうして女神のミューズが、そんなエロ兵器持ってるわけ?」
-そ、それは…ー
女神が言いよどんだ時である。
さも当たり前、といった口調で、ラルクが横から口をはさんだ。
「簡単なことだ。ミューズは元はといえばエロ魔導士だったのさ。レベル99、史上最強のエロ魔というわけだ」
自分でも、まぬけだな、と思う声が出た。
だって。
よりによって…。
「ちょっとォ、何よ、それ? ビッチファッカー初号機? 名前からしてすごく嫌そうなんですけど」
何よ、それ。
転生後、このセリフを何度口にしたことだろう。
まったくもう、次から次へと訳の分からないものが出てくるから、ほんと、嫌になる。
「起きないな」
弥勒菩薩像の頭をげんこつでゴンゴン叩いていたラルクが、私の声に反応し、何事かという顔で私を見た。
また病気が始まった。
そんな目をしている。
まずい。
そこで私は女神に提案することにした。
「あのさ、答えを聞く前に、ひとつお願いしたいことがあるんだけど」
ー何でしょう?-
「あなたの声、一時的にでいいから、ここにいるみんなに聞こえるようにしてくれない? このままじゃ、私、頭のネジがゆるんでると思われそう」
-いいでしょう。この幻界は、いわば鎖された亜空間。ここでの会話は、魔王の耳には入りませんからー
え? やっぱりこのしけた場所が幻界なの?
軽いショックでめまいに襲われかけた時、
-ピーピー、ただいまマイクのテスト中ー
よそ行きの声で、突然女神がアナウンスを開始した。
-聞こえますか? SOS、聞こえますか? ダーリンー
遊んでんじゃないわよ。だいたい、ダーリンって何なのよ?
と。
効果はすぐに現れ、
「お、何か聞こえてきた」
「わ、これがレベルアップの女神さま?」
「ふうむ。なるほどな」
メンバーが、三者三様の反応示して私を見る。
-みなさん、始めまして。ミューズの妹、マリアですー
まずは女神の自己紹介だ。
ふーん、あんた、マリアって名前だったのね。
私はいつか会った巨乳美女を思い出した。
-私は普段、煉獄に住んでいます。そして、各世界が危機に瀕した時、別の世界から勇者を召喚して、その世界を救う仕事をしていますー
派遣会社みたいなもんだね。
察するところ、私は貧乏くじを引かされた派遣社員というところか。
もらったのが、チートスキルならぬ、クリリングひとつだもんね。
-ところが今回、不測の事態が起きてしまいました。せっかくみなさんにここまで来ていただいたというのに、肝心の姉、ミューズが、待ちくたびれたのか、寝てしまったのですー
「この像、叩いてみたけど、起きないぞ。よほど眠りが深いとみえる」
-すみません。姉は一度眠りにつくと、1万年間は眠り続けるのです。たとえ世界が滅んでもー
「1万年? それってさ、すでに死んでるってことじゃ?」
子供らしく、一平が素朴な疑問を口にする。
-いえ。死んだわけではありません。仮死状態と言いますか。極限状況下のクマムシみたいなものですー
はあ?
クマムシみたいな女神なんて、意味不明なんですけど。
-姉の助力がないと、世界は救えません。そこで私は考えました。姉の能力の一部を、翔子に委譲しようとー
委譲とは。
さすが女神。難しい言葉を知っている。
-それがその、乳首リングなのですー
「ちくび?」
「リング?」
3人がもの珍しそうに、私の美乳の先で光るふたつのリングを見つめてきた。
「やっと話が戻ってきたわね。それで、これを使うと乗れるようになるっていう、えーっと、なんだっけ?」
-ビッチファッカー初号機ですー
「そうそう、それって何なのよ?」
-名前から想像がつくと思いますが、ビッチファッカー初号機というのは、全長50メートルの人型兵器ですー
「でー! 巨大ロボットかよ? かっけー! すっげー! ねね、翔子、頼む、おいらも乗せておくれよ!」
一平は大喜び。
欣喜雀躍、狂喜乱舞。
そんな表現がぴったりだ。
でも、私にとっては、面白くもなんともない。
正直、乗り物の類いは大の苦手。
車の免許を取る時、実地試験で40回落ちた悪夢がよみがえる。
自動車学校始まって以来のワースト記録ということで、卒業の時、表彰されたくらいなんだから。
「あのさ、私、魔導士なんだよね?」
意地悪い声で、私は訊いた。
「なんで魔導士が、巨大ロボット操縦しなきゃなんないのよ?」
-幻界の兵器は、すべて魔法エネルギーで動くからです。なかでも究極のエロ兵器ビッチファッカーは、エロ魔導士にしか操縦できませんー
「ていうか、どうして女神のミューズが、そんなエロ兵器持ってるわけ?」
-そ、それは…ー
女神が言いよどんだ時である。
さも当たり前、といった口調で、ラルクが横から口をはさんだ。
「簡単なことだ。ミューズは元はといえばエロ魔導士だったのさ。レベル99、史上最強のエロ魔というわけだ」
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