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#140 幻界のミューズ⑳
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「1万年?」
私は思わず、そう口に出してつぶやいていた。
「ちょっとそれは、寝過ぎじゃない?」
まあ、魔王のふんどしも3万年洗っていないというから、神レベルの超自然的存在にとっては、時間感覚なんてそんなものかもしれない、とも思うけど。
でも、それでは正直、困るのだ。
ミューズの女神が1万年も寝ていたのでは、この世界は確実に魔王軍に占領されてしまうだろう。
それに、幻界はどこなのだ?
幻界というくらいだから、きっと天国みたいなところだろうと期待していたのに、ここはどう見てもただのお寺の本堂である。
ミューズに関する噂は、いわゆるネットでいうステマみたいなものだったのか。
これじゃ、羊頭狗肉もはなはだしいぞ。
「翔子、おまえ、時々変なひとり言を口にするようだが、それは癖なのか? それとも病気か?」
と、これはラルク。
むむっ。
病気とは失礼な。
「あれ? 言ってなかったっけ? レベルアップの女神が頭の中に居て、私に時々話しかけてくるって。それに、これって、みんなそうなんじゃないの?」
「えー、そんなことあるんだ。あたしの場合は、ただこのリストバンドがレベルを教えてくれるだけだよ」
ソフィアがびっくりした顔で私を見た。
そうか、と思う。
これは、私が異界から召喚された者だからに違いない。
頭の中に居るのは、死んだ直後、煉獄で出会ったあの巨乳女なのだ。
心配になって、様子を見に来たというところなのだろう。
「それで、その女神とやらは、何と言ってるんだ?」
「ミューズ神は寝ていて、後1万年経たないと起きないんだって」
「やっぱりあの像が、ミューズなのか?」
「そうみたい。でも、困ったね」
「ああ、いくらなんでも、1万年は長すぎる」
ラルクが、いやはや、というようにかぶりを振った。
「とにかく、近くで見てみよう。叩けば起きるかもしれないしな」
私たちが、弥勒菩薩像に近づいた時だった。
ふいに、私の頭の中で、女神が言った。
ー仕方ありません。ここは、姉のリングを借りていくことにしましょう。ミューズのリングがあれば、使い方次第で魔王も倒せるはずですー
「ミューズのリング?」
-あの像の胸を見てください。イヤリングみたいなものが、ふたつ乳首にはまっているでしょう?ー
なるほど、脇からのぞき込んでみると、菩薩の胸は意外に大きくふくらんでいて、乳首にそれぞれリングがついている。
こうしてみると、ミューズは、ストリート系の過激なファッションにも精通しているということか。
言われたように像からリングを外し、自分の乳房をむき出しにして、ぴんと上を向いた先っちょにさっそくつけてみた。
乳首がちょっぴりひんやりするけど、別に痛くはない。
「それで、これをつけるとどうなるの?」
念のために訊いてみると、
-このリングは、起動装置なのですー
女神が意味不明なことを言い出した。
-これを使うと、あなたはなんと、究極のエロ兵器、”ビッチファッカー初号機”に搭乗できるのですー
私は思わず、そう口に出してつぶやいていた。
「ちょっとそれは、寝過ぎじゃない?」
まあ、魔王のふんどしも3万年洗っていないというから、神レベルの超自然的存在にとっては、時間感覚なんてそんなものかもしれない、とも思うけど。
でも、それでは正直、困るのだ。
ミューズの女神が1万年も寝ていたのでは、この世界は確実に魔王軍に占領されてしまうだろう。
それに、幻界はどこなのだ?
幻界というくらいだから、きっと天国みたいなところだろうと期待していたのに、ここはどう見てもただのお寺の本堂である。
ミューズに関する噂は、いわゆるネットでいうステマみたいなものだったのか。
これじゃ、羊頭狗肉もはなはだしいぞ。
「翔子、おまえ、時々変なひとり言を口にするようだが、それは癖なのか? それとも病気か?」
と、これはラルク。
むむっ。
病気とは失礼な。
「あれ? 言ってなかったっけ? レベルアップの女神が頭の中に居て、私に時々話しかけてくるって。それに、これって、みんなそうなんじゃないの?」
「えー、そんなことあるんだ。あたしの場合は、ただこのリストバンドがレベルを教えてくれるだけだよ」
ソフィアがびっくりした顔で私を見た。
そうか、と思う。
これは、私が異界から召喚された者だからに違いない。
頭の中に居るのは、死んだ直後、煉獄で出会ったあの巨乳女なのだ。
心配になって、様子を見に来たというところなのだろう。
「それで、その女神とやらは、何と言ってるんだ?」
「ミューズ神は寝ていて、後1万年経たないと起きないんだって」
「やっぱりあの像が、ミューズなのか?」
「そうみたい。でも、困ったね」
「ああ、いくらなんでも、1万年は長すぎる」
ラルクが、いやはや、というようにかぶりを振った。
「とにかく、近くで見てみよう。叩けば起きるかもしれないしな」
私たちが、弥勒菩薩像に近づいた時だった。
ふいに、私の頭の中で、女神が言った。
ー仕方ありません。ここは、姉のリングを借りていくことにしましょう。ミューズのリングがあれば、使い方次第で魔王も倒せるはずですー
「ミューズのリング?」
-あの像の胸を見てください。イヤリングみたいなものが、ふたつ乳首にはまっているでしょう?ー
なるほど、脇からのぞき込んでみると、菩薩の胸は意外に大きくふくらんでいて、乳首にそれぞれリングがついている。
こうしてみると、ミューズは、ストリート系の過激なファッションにも精通しているということか。
言われたように像からリングを外し、自分の乳房をむき出しにして、ぴんと上を向いた先っちょにさっそくつけてみた。
乳首がちょっぴりひんやりするけど、別に痛くはない。
「それで、これをつけるとどうなるの?」
念のために訊いてみると、
-このリングは、起動装置なのですー
女神が意味不明なことを言い出した。
-これを使うと、あなたはなんと、究極のエロ兵器、”ビッチファッカー初号機”に搭乗できるのですー
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