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#103 浮遊都市ポラリスの秘密③
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待つほどもなく、自動ドアが開き、コボちゃんが戻ってきた。
空中をすべるように移動してきたかと思うと、ちょこんと一平の肩にとまった。
まるでよく慣れた手乗り文鳥である。
「な、なんでまたおいらんとこに?」
騒ぎ出す一平を無視してラルクがたずねた。
「扉が開いたぞ。いったい、どうやったんだ?」
「どうだ、すごいじゃろう? 奥の部屋のボタンを手当たり次第押してみたのじゃ」
「あんた、幽霊なのに、そんなことができるのか?」
「馬鹿にするな。肉体はなくとも、心はある。わしは、精神力でなんでもできるのじゃ。たとえば、ほら」
コボちゃんがそう言ったとたん、ソフィアのミニスカートがめくれあがり、レギンスに包まれた可愛いお尻が丸見えになった。
「きゃっ! コボちゃんのエッチ!」
「わははは。目の保養というやつじゃよ」
愉快そうに笑う子泣き爺。
なんでもできるって、ただのスカートめくりかよ!
一平といい、この子泣き爺といい、私の前に出てくる男はどうしてみんな下衆なのだろう。
「ところで、内部の様子はどうだった?」
妹のパンチラなど眼中にないといった雰囲気で、ラルクが更にたずねる。
「おう、それなんじゃが、何か大変なことが起こっておるようじゃ」
「大変なこと?」
「行ってみればわかる」
超近代的なホールに一歩足を踏み入れると、心地よい冷風が肌のほてりを冷ましてくれた。
が、喜んだのもつかの間。
ホール中央のエスカレーターを上がった先で、私たちは棒を呑んだように立ちすくんでしまった。
そこは、SF映画に出てくる宇宙船の管制室みたいな部屋だった。
正体不明の装置群とモニター画面に囲まれたなか、真ん中に操縦席みたいな椅子がある。
そこに崩れるようにもたれ、男がひとり、死んでいる。
中世風のこの世界の衣装とはまるで異質な、未来人っぽい服を身につけた耳の尖った男である。
死んでいるのは明らかだった。
男の胸に、これ見よがしに短剣が突き立っているのだ。
「殺されて間もないようだ」
男の手首を握り、脈がないことを確かめると、ラルクが言った。
「いやな予感がする。ポラリスに何もなければいいのだが」
「同感じゃ。急いだほうがいい」
しかつめらしい表情で、コボちゃんがうなずいた。
その大きな頭を気味悪そうに見つめて、信じられないと言いたげな口調で一平が言った。
「って、おい。おまえ、まさか、おいらたちについてくる気じゃないだろうな?」
空中をすべるように移動してきたかと思うと、ちょこんと一平の肩にとまった。
まるでよく慣れた手乗り文鳥である。
「な、なんでまたおいらんとこに?」
騒ぎ出す一平を無視してラルクがたずねた。
「扉が開いたぞ。いったい、どうやったんだ?」
「どうだ、すごいじゃろう? 奥の部屋のボタンを手当たり次第押してみたのじゃ」
「あんた、幽霊なのに、そんなことができるのか?」
「馬鹿にするな。肉体はなくとも、心はある。わしは、精神力でなんでもできるのじゃ。たとえば、ほら」
コボちゃんがそう言ったとたん、ソフィアのミニスカートがめくれあがり、レギンスに包まれた可愛いお尻が丸見えになった。
「きゃっ! コボちゃんのエッチ!」
「わははは。目の保養というやつじゃよ」
愉快そうに笑う子泣き爺。
なんでもできるって、ただのスカートめくりかよ!
一平といい、この子泣き爺といい、私の前に出てくる男はどうしてみんな下衆なのだろう。
「ところで、内部の様子はどうだった?」
妹のパンチラなど眼中にないといった雰囲気で、ラルクが更にたずねる。
「おう、それなんじゃが、何か大変なことが起こっておるようじゃ」
「大変なこと?」
「行ってみればわかる」
超近代的なホールに一歩足を踏み入れると、心地よい冷風が肌のほてりを冷ましてくれた。
が、喜んだのもつかの間。
ホール中央のエスカレーターを上がった先で、私たちは棒を呑んだように立ちすくんでしまった。
そこは、SF映画に出てくる宇宙船の管制室みたいな部屋だった。
正体不明の装置群とモニター画面に囲まれたなか、真ん中に操縦席みたいな椅子がある。
そこに崩れるようにもたれ、男がひとり、死んでいる。
中世風のこの世界の衣装とはまるで異質な、未来人っぽい服を身につけた耳の尖った男である。
死んでいるのは明らかだった。
男の胸に、これ見よがしに短剣が突き立っているのだ。
「殺されて間もないようだ」
男の手首を握り、脈がないことを確かめると、ラルクが言った。
「いやな予感がする。ポラリスに何もなければいいのだが」
「同感じゃ。急いだほうがいい」
しかつめらしい表情で、コボちゃんがうなずいた。
その大きな頭を気味悪そうに見つめて、信じられないと言いたげな口調で一平が言った。
「って、おい。おまえ、まさか、おいらたちについてくる気じゃないだろうな?」
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