異世界転生して謎のリングをアソコに装着したらエロ魔導士になりましたとさ

戸影絵麻

文字の大きさ
上 下
85 / 246

#84 腸詰帝国

しおりを挟む
 隧道の出口は、小高い丘の中腹に通じていた。

 眼下には、遠い山並みを背景に、広大な荒れ地が広がっている。

 その黄土色一色の大地に、その建物群は建っていた。

 カマボコ型をした工場みたいなのが数棟、すり鉢状の荒れ地の底に、コケみたいにへばりついているのだ。

 なんか、ショボい。

「悪の帝国の秘密基地っていうより、〇〇フーズって看板が似合いそう」

 正直な感想を述べると、

「だよねー。これじゃ、ただの工場団地だよ」

 ソフィアがあっさり同意した。

「あそこに光る垂直の線が見えるだろう。あれが、浮遊都市ポラリスへ続く無重力エレベーターだ」

 工場群の向こう、山のふもとあたりを指さして、ラルクが説明する。

「なんとかして、あの基地を通り抜けることさえできれば、目的地は近い」

 小手をかざしてその方角に目をやると、なるほど、陽を浴びてキラキラ光る蜘蛛の糸みたいなものが見えた。

 あれが、エレベーター?

 あれを昇りさえすれば、快適なお風呂も、新しい下着も、おいしい食事も手に入るというわけか。

 浮遊都市というのがどんなものかわからないが、少なくともこのジャングルで暮らすよりは、何百倍何千倍もマシに違いない。

「そりゃそうだけど、でも、どうやって見つからないようにあの基地を抜けるんだよ?

 不服そうに口をとがらせて一平が言った。

「連中に見つかったら最後、女はひき肉にされてソーセージに、男は殺されてゾンビにされちまうんだぜ」

「翔子のミサイルで奇襲攻撃をかけたらどうかしら? ここからさっきみたいにバババーンって」

 可愛い顔して平気で無茶を言うのは、ソフィアの癖である。

「そんな、無理よ。いったい何発ミサイルが要ると思ってるの? 基地を全滅させる前に、私のおっぱいのほうがオーバーヒートして、溶けちゃうよ」

 私は無意識のうちに、ぱつんぱつんのセーラー服の胸元を両腕でかばっていた。

「そうだな。奇襲というのは、成功すれば効果が高いが、失敗のリスクも大きい。敵の武装状況がわからぬままに、こっちから攻撃するのは、いくらなんでも無謀すぎるだろう」

「じゃあ、どうすんだよ」

「けっこう人の出入りが多いようだ。通行人のふりをして、というのは無理そうだな」

「こんな辺鄙なとこに、通行人がいるわけねーだろ」

「あー、あれはどうかな」

 ソフィアが崖から身を乗り出した。

「ほら、いちばん奥の、山側の倉庫を見てよ。あの、『?5』ってかいてあるやつ。さっきからあそこに何台も馬車が横づけになって、何か降ろしてるんだけど、あの積み荷に紛れ込むことができたら、少なくともあそこまではフリーパスってことじゃない? あの5番倉庫まで行けば、裏が山だから、エレベーターまですぐだよ」

「へーえ、ソフィアって頭いい!」

 ほめると、

「てへ」

 と舌を出してソフィアがしがみついてきた。

「けど、おまえら、あれ、何の積み荷か知ってるのか?」

 呆れたように言ったのは、一平だ。

「何なの? 腸詰の素材じゃないの?」

 口にして初めて、私はその意味に思い至って、ぞっとなった。

「そうさ、つまり、大量の人間の女の死体ってことだ。たぶん、近くの村が、また襲われたんだろうな」







しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

野球部の女の子

S.H.L
青春
中学に入り野球部に入ることを決意した美咲、それと同時に坊主になった。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

OLサラリーマン

廣瀬純七
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

処理中です...