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#62 山田一平の謎
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「何それ? どうしてそんなことすんのよ? そこの皇帝、夢野久作なの?」
「なんだよ、そのユメノキュウサクって? 男はまずいけど、女は腸詰にするとうまいんだってよ。だから、その人肉腸詰は、帝国の重要な資金源になってるんだ」
「むう、あんまり食欲のわかない話だな」
ラルクがひとりごちた。
私とソフィアをじろじろ眺めているのは、いやらしい下心からというより、私たちが腸詰にされたところを想像しているからだろう。
「とにかく、こんなところで立ち話もなんだ。敵同士じゃないと分かったのなら、きょうは我々を君の小屋に泊まらせてもらえないか」
「うちは6畳しかないから、大人3人は無理だな。それに、おいらはまだおまえらの正体、聞いてないぜ」
「あたしたちは魔王を倒す鍵を探すために、ミルナの村を出て、浮遊都市ポラリスに向かうところなの。あたしはミルナの村の戦士、ソフィア。こっちは兄のラルク。そこのエロいのは、用心棒の翔子。あ、言っとくけど、ああ見えて翔子はエロ魔導士だから、いたずらしたりすると痛い目に遭うわよ」
「エロ魔導士?」
私を見る少年の目つきがさらにエロくなる。
「それって娼婦のことなのか?」
「馬鹿にしないでよ」
私はむくれた。
「これでも魔導士のはしくれなんだから」
「まあ、いいや。ってことは、おまえらの目的は、ほぼおいらのと重なるってことだな。腸詰帝国は、元はと言えば魔王の息のかかったやつらがつくった国だから」
「わかったなら、そのぶっそうなもの、おろしなさいよ。じゃ、あたしたちはここにテント張るから、少し休息を取ったら、お互いの情報交換といきましょ」
ソフィアの言葉に、少年がうなずいた。
「ああ、それがいい。でも、そうだな。ひとりくらいなら、おいらの家に泊めてやってもいいぞ。簡易テントに3人はいくらなんでも狭いだろう」
確かにそのとおりである。
墜落した砂エイからラルクが持ってきたのは、自分の分だけなのである。
ひとり用のテントに大人3人が寝るなんて、まず不可能だ。
「だな。じゃ、俺がお邪魔することに…」
ラルクが言いかけた時である。
チッチッといきなり少年が舌打ちした。
「わかってないなあ。おいらんちに泊めるのは、女に決まってるだろ? そうだなあ、ま、顔の好みはイマイチだけど、そこのエロ魔導士で我慢してやるかなあ」
「え」
私は絶句した。
な、何を勝手なことを!
しかも偉そうに、自分のサル顔は棚に上げて、顔の好みはイマイチだと?
「うっそーっ! あんたあたしの翔子をひとり占めするつもり? そんなことしたら、あたしの夜のお相手は誰がしてくれるのよ?」
ソフィアがわめく。
「いやならいいんだぜ。その狭苦しいテントで、3人折り重なって眠ればいいや」
ふふふと鼻で笑うガキ。
「言う通りにしてやれ。誰かひとり、外で寝るよりはましだろう」
と、これはラルク。
「くううう」
ソフィアが地団太踏んで悔しがる。
モテキ到来というやつか。
でも、いくらなんでもガキの相手はごめんだよ。
そんなの、児童福祉法違反だし。
ただ。
ゆっくり眠れるスペースが欲しいのは、事実だった。
「どうすんだよ」
上から目線でガキが言う。
「はいはい。行きます。行きますって」
仕方ない。
私は降参のしるしに片手を上げると、小屋に向かって歩き出した。
なんだか、領主にささげられる女奴隷にでもなった気分だった。
「なんだよ、そのユメノキュウサクって? 男はまずいけど、女は腸詰にするとうまいんだってよ。だから、その人肉腸詰は、帝国の重要な資金源になってるんだ」
「むう、あんまり食欲のわかない話だな」
ラルクがひとりごちた。
私とソフィアをじろじろ眺めているのは、いやらしい下心からというより、私たちが腸詰にされたところを想像しているからだろう。
「とにかく、こんなところで立ち話もなんだ。敵同士じゃないと分かったのなら、きょうは我々を君の小屋に泊まらせてもらえないか」
「うちは6畳しかないから、大人3人は無理だな。それに、おいらはまだおまえらの正体、聞いてないぜ」
「あたしたちは魔王を倒す鍵を探すために、ミルナの村を出て、浮遊都市ポラリスに向かうところなの。あたしはミルナの村の戦士、ソフィア。こっちは兄のラルク。そこのエロいのは、用心棒の翔子。あ、言っとくけど、ああ見えて翔子はエロ魔導士だから、いたずらしたりすると痛い目に遭うわよ」
「エロ魔導士?」
私を見る少年の目つきがさらにエロくなる。
「それって娼婦のことなのか?」
「馬鹿にしないでよ」
私はむくれた。
「これでも魔導士のはしくれなんだから」
「まあ、いいや。ってことは、おまえらの目的は、ほぼおいらのと重なるってことだな。腸詰帝国は、元はと言えば魔王の息のかかったやつらがつくった国だから」
「わかったなら、そのぶっそうなもの、おろしなさいよ。じゃ、あたしたちはここにテント張るから、少し休息を取ったら、お互いの情報交換といきましょ」
ソフィアの言葉に、少年がうなずいた。
「ああ、それがいい。でも、そうだな。ひとりくらいなら、おいらの家に泊めてやってもいいぞ。簡易テントに3人はいくらなんでも狭いだろう」
確かにそのとおりである。
墜落した砂エイからラルクが持ってきたのは、自分の分だけなのである。
ひとり用のテントに大人3人が寝るなんて、まず不可能だ。
「だな。じゃ、俺がお邪魔することに…」
ラルクが言いかけた時である。
チッチッといきなり少年が舌打ちした。
「わかってないなあ。おいらんちに泊めるのは、女に決まってるだろ? そうだなあ、ま、顔の好みはイマイチだけど、そこのエロ魔導士で我慢してやるかなあ」
「え」
私は絶句した。
な、何を勝手なことを!
しかも偉そうに、自分のサル顔は棚に上げて、顔の好みはイマイチだと?
「うっそーっ! あんたあたしの翔子をひとり占めするつもり? そんなことしたら、あたしの夜のお相手は誰がしてくれるのよ?」
ソフィアがわめく。
「いやならいいんだぜ。その狭苦しいテントで、3人折り重なって眠ればいいや」
ふふふと鼻で笑うガキ。
「言う通りにしてやれ。誰かひとり、外で寝るよりはましだろう」
と、これはラルク。
「くううう」
ソフィアが地団太踏んで悔しがる。
モテキ到来というやつか。
でも、いくらなんでもガキの相手はごめんだよ。
そんなの、児童福祉法違反だし。
ただ。
ゆっくり眠れるスペースが欲しいのは、事実だった。
「どうすんだよ」
上から目線でガキが言う。
「はいはい。行きます。行きますって」
仕方ない。
私は降参のしるしに片手を上げると、小屋に向かって歩き出した。
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