異世界転生して謎のリングをアソコに装着したらエロ魔導士になりましたとさ

戸影絵麻

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#49 謎の遺跡

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 結局その日は、ラルクが持ってきた塩で更に縮んだスライムを、パンにはさんで食べて寝た。

 食塩を振ったスライムは、イカの塩辛みたいで悪くなかったが、なにぶん量が多すぎて気持ち悪くなった。

 翌朝目を覚ますと、ソフィアはすでに戦闘服に着替えていて、ラルクは荷造りの真っ最中だった。

「これからどうするの? まさか歩くんじゃ?」

 寝ぼけまなこで訊くと、

「そのまさかだ。密林には砂エイもいないし、馬車も人力車もないからな」

 という、にべもない返事がラルクから帰ってきた。

「ああ、ワープ装置がほしい」

 嘆いてみたが、どうにもならない。

 朝食は、きのうのスライムの残りで、今度はスープの具にされていた。

 スープの具になったスライムは、おすましに入っている「ふ」みたいで、何の味もしなかった。

 まだ塩辛の方がましか。

 そう思いつつ、味気ないスープをすすった。

 ラルクにテントを背負わせ、私とソフィアで小物を分担して、出発した。

 正直、セーラー服で密林を歩くのは辛かった。

 世界全体が湿っぽく、蚊だのアブだのが半端なくそこらを飛んでいるので、気を許すとすぐに刺されてしまうのだ。

 MPが無駄だけど、しかたなく、愛液ローションの魔法を発動して全身の皮膚をガードし、私は難をしのぐことにした。

 もうひとつ、やっかいなのは肩こりだった。

 巨乳に生まれ変わって初めてわかったのだが、乳というものは意外に重い。

 バスト90越えともなると、おそらく片方の乳房だけで1キログラムはあるに違いない。

 つまり、私は2キロの米袋を首から下げて歩いているようなもので、時間が経つと肩が凝って仕方ないのだ。

 ふうふう言いながら歩いていると、

「翔子、辛そうだね。荷物持とうか」

 そう、ソフィアが優しく声をかけてくれた。

 が、重いのは荷物ではなく乳房なので、やんわりと辞退した。

 まさかおっぱいを持ってもらうわけにもいかないからだ。

 幸いにも私に輪をかけてラルクはひ弱だった。

 おかげで1時間ごとに休憩をとることができ、行軍は死ぬほどつらいというほどではなくなった。

 夕方近くまで歩いた時である。

 開けた空き地を見つけて、私たちは小躍りした。

 そろそろ野営の準備にかからねば、と思っていたところだったからである。

 が、偵察に出かけたラルクが青い顔をして戻ってきた。

「様子がおかしい。変な遺跡みたいなものがある」

「遺跡? こんなジャングルの中に?」

 木陰から覗いてみると、確かに広場の中央に高い塔のようなものがそびえ立っていた。

 ピラミッドをもっと急角度にしたような、そう、元の世界にあったパラソルチョコみたいな感じである。

「遺跡というより、蟻塚みたいだね」

 ソフィアが言った。

「これが蟻塚なら、どんだけでかいアリなのよ?」

 私が素朴な疑問を口にした時である。

「あれがそうじゃないか?」

 ラルクが声を潜めて、左方向を顎でしゃくってみせた。

 見ると、密林から何か出てくるところだった。

 二息歩行の生き物だ。

 パッと見、ガスマスクをつけた人間みたいに見える。

「なんでガスマスク? 天然ガスでも掘ってるのかしら?」

 私の感想に、

「ガスマスクじゃないっぽいよ」

 と、ソフィアが異論を唱えた。

「あれは、ああいう顔なんだよ。つまり、アリ人間だね」

「げ、アリ人間?」

 なるほど。

 ゴーグルに見えたのは、複眼だったというわけか。

 黒いゴムのボディスーツに見えるのは、キチン質に覆われた外骨格というわけだろう。

「逃げたほうがいいね」

 私が言った時である。

「もう、遅い」

 背後を振り向いて、ラルクが答えた。

「どうやら囲まれてしまったらしい」

「マジか」

 私は落胆せざるを得なかった。

 いったい、いつになったら、平和が訪れるのだろう。

 ふとそう思ったからだった。

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