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#18 そんな装備で大丈夫?
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「エロ魔導士Lv.20ねえ、ここいらではめったに見かけねえからなあ。なんかあったかなあ」
防具屋の中。
困惑顔の主人を前に、私は手持ち無沙汰でたたずんでいた。
「私はこれにするよ。サイズもぴったりだし」
試着室から現れたソフィアは、青光りするチェストアーマーにキラキラ光る金属製のミニスカートを身に着け、
脚には黒いレギンスと膝まである銀色のブーツを履いている。
「おお、いいの見つけたね。さすが姫、お目が高い。そのアーマーはギガントニクスの甲羅から作ったものだ。レギンスはミスリル製だしな。その装備なら、たとえトロルの斧を食らっても、十分持ちこたえられるに違いねえだよ」
土瓶のようにつるっぱげのオヤジが、ソフィアの可憐な姿を見て相好を崩した。
「翔子のはまだ見つからないの? エロ魔導士の装備がないなんて、一流の防具屋とは言えないでしょ?」
「そんなこと言ったってお嬢ちゃん、ここいらは圧倒的に戦士系の冒険者が多いんだよ。魔導士自体珍しいのに、よりによってエロ魔導士だなんて…」
ぶつくさ言いながら主人がまた店の奥に引っ込んでいく。
「もう、ふつうの服でいいよ。とにかく、これじゃなければなんでもいい」
いい加減退屈してきて、私はぼやいた。
グラドルも恥ずかしがって着ないようなこのエロ魔導士の初期装備。
これとおさらばできるなら、ほんとなんでもよかった。
なんなら作業服でもモンペでも大歓迎。
防御力なんて、もうゼロでけっこう。
「でも、エロ魔導士たるもの、ある程度セクシーでなきゃ」
バストトップが隠れただけの、私のロケットおっぱいを横目で見ながらソフィアが言う。
「それともいっそのこと、全裸で通す? そのボディ、なんか隠すのもったいないよね」
「ちょっと、ソフィア、変なこと言わないでよ。私、露出狂でも裸族でもありませんから」
「今でも似たようなものだと思うけど」
ふたりもめていると、両手に白と青の布らしきものを抱えて、主人が戻ってきた。
「あったよ。やっと一着。かなり古いけど、ほら、100年前に、幻夢大戦ってあっただろ? あの時魔王軍と戦った5人の勇敢な異界の冒険者たち。その中のひとりがな、魔王を封印して、異界に帰る時にうちの先々代に預けてったのが、これだ。倉庫の一番奥にしまってあったんで、すっかり忘れてた」
「100年前の装備…?」
嫌な予感がした。
そんなもの、とっくに虫に食われてぼろぼろになっているのではないか?
そう思ったのだ。
「あの5人の勇者の形見? それはすごいな」
ソフィアは素直に感心している。
「幻界の戦士たち。小さい頃、あこがれたものだよ」
「だろ? もうこれしかないと思ってさ。ちょっち古いから、ぐんと値引きしておくよ、とにかくいっぺん着てみたらどうだい?」
「は、はい。では」
受け取って、試着室に入る。
装備は上着とボトムとアンダーウェアの3つに分かれている。
広げてみて驚いた。
待ってよ、これって…。
勇者の装備?
これが?
冗談にもほどがある。
でも、ないよりはまし。
きつかったけど、無理やり着こんでみた。
カーテンから外に出ると、
「わあ、かわいい!」
ソフィアが手を叩いて喜んだ。
「似合ってますよ! 適度にエロチックで、適度に気品がある。まさしくエロ魔導士そのものだ!」
主人もなぜだか満足げである。
そんなふたりを交互に見回して、私はため息をついた。
「あの…これ。ただのブルマとセーラー服なんですけど」
防具屋の中。
困惑顔の主人を前に、私は手持ち無沙汰でたたずんでいた。
「私はこれにするよ。サイズもぴったりだし」
試着室から現れたソフィアは、青光りするチェストアーマーにキラキラ光る金属製のミニスカートを身に着け、
脚には黒いレギンスと膝まである銀色のブーツを履いている。
「おお、いいの見つけたね。さすが姫、お目が高い。そのアーマーはギガントニクスの甲羅から作ったものだ。レギンスはミスリル製だしな。その装備なら、たとえトロルの斧を食らっても、十分持ちこたえられるに違いねえだよ」
土瓶のようにつるっぱげのオヤジが、ソフィアの可憐な姿を見て相好を崩した。
「翔子のはまだ見つからないの? エロ魔導士の装備がないなんて、一流の防具屋とは言えないでしょ?」
「そんなこと言ったってお嬢ちゃん、ここいらは圧倒的に戦士系の冒険者が多いんだよ。魔導士自体珍しいのに、よりによってエロ魔導士だなんて…」
ぶつくさ言いながら主人がまた店の奥に引っ込んでいく。
「もう、ふつうの服でいいよ。とにかく、これじゃなければなんでもいい」
いい加減退屈してきて、私はぼやいた。
グラドルも恥ずかしがって着ないようなこのエロ魔導士の初期装備。
これとおさらばできるなら、ほんとなんでもよかった。
なんなら作業服でもモンペでも大歓迎。
防御力なんて、もうゼロでけっこう。
「でも、エロ魔導士たるもの、ある程度セクシーでなきゃ」
バストトップが隠れただけの、私のロケットおっぱいを横目で見ながらソフィアが言う。
「それともいっそのこと、全裸で通す? そのボディ、なんか隠すのもったいないよね」
「ちょっと、ソフィア、変なこと言わないでよ。私、露出狂でも裸族でもありませんから」
「今でも似たようなものだと思うけど」
ふたりもめていると、両手に白と青の布らしきものを抱えて、主人が戻ってきた。
「あったよ。やっと一着。かなり古いけど、ほら、100年前に、幻夢大戦ってあっただろ? あの時魔王軍と戦った5人の勇敢な異界の冒険者たち。その中のひとりがな、魔王を封印して、異界に帰る時にうちの先々代に預けてったのが、これだ。倉庫の一番奥にしまってあったんで、すっかり忘れてた」
「100年前の装備…?」
嫌な予感がした。
そんなもの、とっくに虫に食われてぼろぼろになっているのではないか?
そう思ったのだ。
「あの5人の勇者の形見? それはすごいな」
ソフィアは素直に感心している。
「幻界の戦士たち。小さい頃、あこがれたものだよ」
「だろ? もうこれしかないと思ってさ。ちょっち古いから、ぐんと値引きしておくよ、とにかくいっぺん着てみたらどうだい?」
「は、はい。では」
受け取って、試着室に入る。
装備は上着とボトムとアンダーウェアの3つに分かれている。
広げてみて驚いた。
待ってよ、これって…。
勇者の装備?
これが?
冗談にもほどがある。
でも、ないよりはまし。
きつかったけど、無理やり着こんでみた。
カーテンから外に出ると、
「わあ、かわいい!」
ソフィアが手を叩いて喜んだ。
「似合ってますよ! 適度にエロチックで、適度に気品がある。まさしくエロ魔導士そのものだ!」
主人もなぜだか満足げである。
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