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#6 ゴブゴブ団
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店の外に出ると、すでに日は西に傾きかけていた。
ああ、ここがどこにしろ、自転の向きは地球と同じなんだなあ、と思ったとたん、股間がうずき、
「やん」
と私はあられもない声を上げていた。
クリリングに締め上げられたクリちゃんが、足を踏み出した拍子に極小レオタードにこすれたのである。
「祥子ったら、どうしてそんな内またで歩いてるの?」
ソフィアが不思議そうに綺麗な眉を吊り上げた。
「い、いあ、色々食い込んじゃって」
私は答えた。
「なんせ、Tバックなんて、生まれて初めてでさ」
そうなのだ。
元祖干物女である私は、水着だって高校時代のスク水しか持っていない。
海水浴もプールも高校卒業以来行ったことがないし、ふだんの下着だってへそまで隠れる木綿の親父パンツを愛用しているのだ。
いくら異世界転生してグラマーに生まれ変わったところで、そんなに急に新しい体になれるなんてことができるわけがない。
ましてやエロ魔導士として一流になれだなんて、無理もいいところなのである。
「つまり、感じてるってわけね」
悪戯っぽい目で私を見て、ソフィアが言った。
「いいことだわ。きっと歩くだけでレベルが上がるわよ」
「え? 歩くだけでいいの?」
「まあ、10万歩で1上がるかどうかってとこだろうけど…・。何もしないよりましでしょ?」
「10万歩…」
私はげんなりした。
いい加減疲れてきているし、なによりもこの裸同然の格好でその距離はつらい。
「村に着いたらうちに住めばいいから、そこでゆっくりオナニーでもすることね。ひと晩やり続ければ、レベル3くらいにはなるんじゃないかな? それとも兄に頼んでみようか? 翔子の処女を奪ってくださいって。ま、あの堅物のラルクが、エロ魔導士とセックスしたがるかどうかは疑問だけど」
ラルクというのがソフィアの兄の名前なのか。
どうでもいいけど、ずいぶん開放的なお姫様である。
そんな会話を続けながら歩いている時だった。
「待って」
ふいにソフィアが足を止めた。
私たちは森の外れに差し掛かっていた。
夕焼け空を背景にして、目の前には田園地帯が広がっている。
遠くに見えるのがミルナの村だろうか。
ミニチュアみたいな三角屋根から夕餉の煙が上がっている。
昭和の頃の日本の農村みたいな、心温まる風景だ。
が、ソフィアの表情はのどかとはほど遠いものだった。
背中の剣を抜き、ひらひらのいっぱいついたドレスの前で構えると、私を振り返って鋭く言った。
「気をつけて。何か来る」
「何かって?」
そうたずねた時である。
ザザッ。
木々がこすれる音がして、奇妙な一団が道の真ん中に飛び出してきた。
甲冑に身を固めた二足歩行の豚である。
「見つけたよーん」
豚のひとりが言った。
「かわいこちゃんふたり、みいつけた」
「わ。ぶ、豚が、しゃべった」
私は仰天した。
「豚じゃない。ゴブリンよ」
ソフィアが言った。
「さっきマスターが言ってたでしょ? 集団レイプ魔のゴブリンの一団が徘徊してるって」
「あ、女パーティが襲われたって、あれ?」
「そう。おそらくこいつらの仕業だわ。こうなったら、やるしかないわね」
「や、やるって、何を?」
「決まってるでしょ。成敗するのよ」
「何ごちゃごちゃ言ってるべ? おらたちはゴブゴブ団だべ。大人しくするだべ。すぐに天国に行かせてやっから」
ひときわ大きい豚が言う。
行く手を阻む敵は5人。
よく見ると、全員下半身裸である。
上半身委は甲冑をつけているのに、股間からはだらりと象の鼻のような性器が垂れ下がっているのだ。
「レベル上げのチャンスよ」
ソフィアがかんでふくめるように私に言った。
「いい? 翔子。さっきみたいに黒魔法は使っちゃダメ。レベル上がらないから。ここはあくまで体で勝負するの。しばらくがまんすれば、エロ魔導士のレベルが上がる。そしたらエロ魔法で攻撃するのよ」
「そ、そんな」
私は唖然とした。
しばらく我慢するって、いったい何を?
「やっちまえ!」
ぶうぶう鳴きながら、そこに5人の豚が飛びかかってきた。
ああ、ここがどこにしろ、自転の向きは地球と同じなんだなあ、と思ったとたん、股間がうずき、
「やん」
と私はあられもない声を上げていた。
クリリングに締め上げられたクリちゃんが、足を踏み出した拍子に極小レオタードにこすれたのである。
「祥子ったら、どうしてそんな内またで歩いてるの?」
ソフィアが不思議そうに綺麗な眉を吊り上げた。
「い、いあ、色々食い込んじゃって」
私は答えた。
「なんせ、Tバックなんて、生まれて初めてでさ」
そうなのだ。
元祖干物女である私は、水着だって高校時代のスク水しか持っていない。
海水浴もプールも高校卒業以来行ったことがないし、ふだんの下着だってへそまで隠れる木綿の親父パンツを愛用しているのだ。
いくら異世界転生してグラマーに生まれ変わったところで、そんなに急に新しい体になれるなんてことができるわけがない。
ましてやエロ魔導士として一流になれだなんて、無理もいいところなのである。
「つまり、感じてるってわけね」
悪戯っぽい目で私を見て、ソフィアが言った。
「いいことだわ。きっと歩くだけでレベルが上がるわよ」
「え? 歩くだけでいいの?」
「まあ、10万歩で1上がるかどうかってとこだろうけど…・。何もしないよりましでしょ?」
「10万歩…」
私はげんなりした。
いい加減疲れてきているし、なによりもこの裸同然の格好でその距離はつらい。
「村に着いたらうちに住めばいいから、そこでゆっくりオナニーでもすることね。ひと晩やり続ければ、レベル3くらいにはなるんじゃないかな? それとも兄に頼んでみようか? 翔子の処女を奪ってくださいって。ま、あの堅物のラルクが、エロ魔導士とセックスしたがるかどうかは疑問だけど」
ラルクというのがソフィアの兄の名前なのか。
どうでもいいけど、ずいぶん開放的なお姫様である。
そんな会話を続けながら歩いている時だった。
「待って」
ふいにソフィアが足を止めた。
私たちは森の外れに差し掛かっていた。
夕焼け空を背景にして、目の前には田園地帯が広がっている。
遠くに見えるのがミルナの村だろうか。
ミニチュアみたいな三角屋根から夕餉の煙が上がっている。
昭和の頃の日本の農村みたいな、心温まる風景だ。
が、ソフィアの表情はのどかとはほど遠いものだった。
背中の剣を抜き、ひらひらのいっぱいついたドレスの前で構えると、私を振り返って鋭く言った。
「気をつけて。何か来る」
「何かって?」
そうたずねた時である。
ザザッ。
木々がこすれる音がして、奇妙な一団が道の真ん中に飛び出してきた。
甲冑に身を固めた二足歩行の豚である。
「見つけたよーん」
豚のひとりが言った。
「かわいこちゃんふたり、みいつけた」
「わ。ぶ、豚が、しゃべった」
私は仰天した。
「豚じゃない。ゴブリンよ」
ソフィアが言った。
「さっきマスターが言ってたでしょ? 集団レイプ魔のゴブリンの一団が徘徊してるって」
「あ、女パーティが襲われたって、あれ?」
「そう。おそらくこいつらの仕業だわ。こうなったら、やるしかないわね」
「や、やるって、何を?」
「決まってるでしょ。成敗するのよ」
「何ごちゃごちゃ言ってるべ? おらたちはゴブゴブ団だべ。大人しくするだべ。すぐに天国に行かせてやっから」
ひときわ大きい豚が言う。
行く手を阻む敵は5人。
よく見ると、全員下半身裸である。
上半身委は甲冑をつけているのに、股間からはだらりと象の鼻のような性器が垂れ下がっているのだ。
「レベル上げのチャンスよ」
ソフィアがかんでふくめるように私に言った。
「いい? 翔子。さっきみたいに黒魔法は使っちゃダメ。レベル上がらないから。ここはあくまで体で勝負するの。しばらくがまんすれば、エロ魔導士のレベルが上がる。そしたらエロ魔法で攻撃するのよ」
「そ、そんな」
私は唖然とした。
しばらく我慢するって、いったい何を?
「やっちまえ!」
ぶうぶう鳴きながら、そこに5人の豚が飛びかかってきた。
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