異世界転生して謎のリングをアソコに装着したらエロ魔導士になりましたとさ

戸影絵麻

文字の大きさ
上 下
4 / 246

#3 黄金の山羊亭

しおりを挟む
 しばらく歩くと、民家風の建物が見えてきた。
 看板からして、どうやら食事を提供する店らしい。
 レストランというほど大きくないが、近づくと焼き肉のいい匂いが漂ってきた。
「マスター、いる?」
 ためらいもなくドアを開けると、ソフィアが慣れたふうに声をかけた。
「おや、珍しい。ソフィア姫じゃないか。こんなところに何の用だい? 今頃、てっきり皇太子妃になってるかと思ってたのに」
 奥の厨房から出てきたのは、ひげもじゃの熊みたいな大男。
「いろいろあってね」
 美少女の顔が一瞬曇った。
「ちょっと実家に帰るとこなの」
「がっはは、まさか、最近はやりの婚約破棄ってやつじゃあるまいな」
 ひげもじゃは、ずいぶん話好きのようだった。
 ソフィアが露骨に嫌がっているのに、がんがん話しかけてくる。
 かわいそうになって、私は横から口をはさむことにした。
「ところでおじさん、ここはどこなんですか? なんていう国? よければ教えてほしいんですけど」
「どこって…サンフローレンスに決まってるだろうが。ロンバルディア王国の、サンフローレンス州だよ。おまえさん、見たところ、エロ魔導士のようだが、異国から来たのかい?」
「はあ、日本から。さっきまで、釣りしてたんですけど、そしたら急にミサイルが落ちてきて」
 エロ魔導士、エロ魔導士とみんなして言わないでほしかった。
 黒魔導士ならかっこいいから我慢できるけど、黒とエロではえらい違いである。
 それに、さっきからテーブルの下で試してるんだけど、リングが外れないのだ。
 私のクリちゃんのつけ根にしっかりはまり込んだまま、びくとも動かない。
 これが取れないと、おそらく私は一生エロ魔導士のままだろう。
「ニホン? ミサイル? なんだそれ?」
 ひげ男があきれ顔で私を見た。
「話はあと。私、おなかペコペコなの。馬車は食人花に潰されちゃうし。もう、踏んだり蹴ったりとはこのことね」
「最近モブが増えてるからね」
 スタミナ定食2人前ででいいかい?
 そう確認すると、マスターがため息混じりにつぶやいた。
「ろくにお供も連れないで歩くなんて自殺行為だよ。この前もそこの森で、女冒険者のパーティがはぐれゴブリンたちに襲われて集団レイプされたばっかりだ。ソフィアちゃんも気をつけなよ」

 こんな異世界にも定食があるのか。
 私は物珍しげに店の中を見回した。
 店の名前は『黄金の山羊亭』。
 入る前に確かめたら、何語かわからないけど、流れるような文字でそう書いてあった。
 日本語じゃないのに、それがすんなり読めてしまったということは、いよいよ私の異世界転生は本物のようだ。
 第一、よく聞いてみると、ソフィアたちのしゃべっている言葉は日本語ではない。
 異国の言語なのに、耳から入ってくるなり、どうやら私の脳内で日本語に変換されてしまうらしいのだ。
「王宮に上がる前はね、よくここに家族で食事に来たの。父も兄もここのスタミナ定食が大好物でね、いつのまにか私も感化されていた。でも、ほんと久しぶり。王宮の気取ったディナーなんかより、こっちのほうがずっとおいしいわ。まあ、それも私が平民の出だっていう証拠なんでしょうけど」
 肉を器用にナイフとフォークで切り分けながら、なんだか諦めたような口調で、ソフィアが言った。
「何かつらいことでもあったの?」
 抜群に美味な定食を忙しく口に運びながら、私はついそうたずねていた。
「今は言いたくない」
 ソフィアが首を振った。
「まだ心の整理がついていないから」
 どこの世界にも、悩める美少女は居るということか。
「それより、翔子ってエロ魔導士のくせにあんまりエロくないよね」
 ふいにソフィアが話題を変えたので、私はびっくりした。
「私の知ってるエロ魔導士はみんな、外見だけじゃなく、中身までものすごくエロいものなんだけど、翔子って変にさっぱりしてるっていうか…色気が足りないっていうか…。処女だからかな? ひょっとして、まだ研修中?」
 う。
 私は返答に詰まった。
 ソフィアの指摘は、まさに図星だったからである。
 

 

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

野球部の女の子

S.H.L
青春
中学に入り野球部に入ることを決意した美咲、それと同時に坊主になった。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

OLサラリーマン

廣瀬純七
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

処理中です...