異世界病棟

戸影絵麻

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#37 検査の結果④

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「そ、そうだよな」
 僕はつられて苦笑した。
「そんなこと、あるわけないよな」
「もちろん、颯太さんのことはすごく心配だったんですよ。ICUから出てまだ一日目だし」
 乙都が洗面器にガーゼをつけ、しぼりながら言った。
「でも、丈夫そうに見えても、私の体力にも限界がありますから」
「いや、いいんだ」
 乙都の手が丁寧に僕の病衣を脱がせていく。
僕は乙都に身を任せ、全身から力を抜いた。
「君に似た看護師さんの世話になった気がしたものだから」
「私に似た看護師さん?」
 裸にした僕の肌を、ガーゼで乙都が拭っていく。
 ガーゼにはボディソープかローションのような液体が沁み込ませてあるらしく、微妙に気もちがいい。
 乙都は僕に密着するほど上体をかがめている。
 その艶やかな頬が産毛が見えるほど近くに来て、あどけない顔とは裏腹に隆起した胸が僕の胸をくすぐった。
 あ・・・。
 少し身を起こし、乙都がガーゼで僕の薄い胸板を円を描くようにこすり始めると、僕の乳首に異変が起こった。
 萎びたレーズンみたいだった蕾が、ガーゼで撫で回され、硬く尖り始めたのだ。
 快感の疼きが、ふたつの乳首から全身に向け、同心円状にひたひたと広がっていく。
 股間でカテーテルがぞわりと動いたのは、性器に血液が集中し出した証拠だろう。
 胸から腹、鼠径部へと、乙都の手が下りていく。
 僕は彼女に愛撫されるまま、わずかに身体を反り返らせていく。
 腰から突き出たアレに、触れてほしい・・・。 
 いつのまにか、頭の中はそのことでいっぱいになっていた。
「あの・・・」
 内腿を拭き終えたところで、乙都が顔を上げた。
 頬が桜色に上気して、マスクから出た大きな瞳に恥じらいの色が浮かんでいる。
「おしもは、どうしますか? こんなになってますけど、私が洗っても、いいのでしょうか?」
 見るまでもなかった。
 感覚的に、わかる。
 僕の性器は股間でカチカチになり、下腹にくっつかんばかりに反り返っているに違いない。
 まるで熟したての青バナナみたいに、表面に太い青筋を浮かび上がらせて…。
「お願い・・・」
 仰臥したまま、僕はかすれ声で懇願した。
 羞恥心より、欲望が勝っていた。
 乙都に肌を撫でられる感触に、あの夢の記憶がよみがえる。
 そうだ。
 あの悪夢から覚める直前も、僕はこんなふうに裸にされ・・・。
 もしかして、これもあの夢のせいなのか。
 打から、僕の躰は、こんなにも敏感に・・・?
 全身が性器になったように、意識が腰の中心から屹立したアレに集中していく。
 ほんの少しの快感も逃さぬよう、全神経がそのそそり立つ肉の棒に集まっていく感じだった。
 前に一度躰が学習したせいか、僕の中で、快楽への期待感がものすごいことになっている。
「すごく、溜まってる・・・。だから、出して・・・」
 性的快感への渇望に打ち震えながら、底だけ冷静な頭の隅で思う。
 やっぱり、こんなの、おかしい。
 僕はいったいどうしてしまったんだ?
 乙都は、ガーゼで僕の汗ばんだ肌を拭いてくれているだけだ。
 なのに、看護師に躰を拭かれただけで、こんなひどい興奮状態に陥るなんて・・・。
 いくら朝だといっても、これは異常すぎるだろうー。
「でも、心臓のほうは、大丈夫でしょうか? また、きのうみたいに・・・」
 心配そうに、乙都が僕を見た。
「もう、平気だと思う。夢で夢精したみたいだし、きょうはレンゲもいないし、乙都、君が、や、優しく、やってくれるなら・・・」
「わかりました・・・。颯太さんが、そこまでおっしゃるのなら」
 しばしの沈黙の後、目を伏せ、乙都が小さくうなずいた。
「おしもを、この私が、この手で、あなたさまが、その、射精、するまで、お洗いすれば、よいのですね?」
 その時になって、僕は初めて気づいた。
 明るいうちの乙都は、まるで下僕か召使のようなしゃべり方をする。
 そのしゃべり方を聞いていると、小柄で肉感的な乙都にはさぞかしメイド服も似合うだろうな、と頭にそんな不埒な考えも浮かんできてしまう。
「それでは、分泌された颯太さんの体液は、先生の言いつけ通り、こちらで回収、保管させていただきますが、それでよろしいですか?」
 僕の勃起肉棒にそっと人差し指を添え、亀頭の裏から筒の根元まで、愛おしむように指の腹ですうっと撫で下ろして、乙都が続けた。
「いいけど・・・。そんなもの、どうするの?」
 僕は目だけ動かして、乙都の様子をうかがった。
 僕の股間からそそり立つ肉の棒の向こうから、乙都が大きな目で僕を見つめ返す。
「わかりません・・・。ただ、何かの実験に使うために、集めてるんだって、先輩から聞いた覚えがあります」
「実験・・・?」
 僕は首を傾げた。
 あの泰良女史、僕の精子を集めて、何をするつもりなんだろう? 

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