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#29 黒衣の堕天使③
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乙都が持ってきたのは、塵取りと洗面器が合体したようなプラスチック容器だった。
「さっさと脱ぎなっ」
乱暴に病衣をはぎ取られた。
ついでに僕の下半身から紙オムツをはがすと、
「とっとと尻を上げて! これはこう使うんだよ!」
乙都が僕の尻の下に簡易トイレを滑り込ませた。
仰向けのまま、ちょうどお尻がすっぽり容器にはまり込む形になった。
「ふう」
僕は安堵のため息を漏らした。
安心感からか、一気に緊張がゆるんだようだった。
ずるっ。
大腸が蠢動し、肛門をかき分けて、太い便が出るのがわかった。
三日分だから、かなりの量だ。
しかも、長大なバナナのように、途切れることなく続いている。
巨大な芋虫のような大便である。
「くう、早くしろよっ」
歯軋りするように、乙都が責め立てる。
「やつらに気づかれたら、どうすんだよっ」
「だ、だって…」
やつらって、誰のこと?
コンドウサンか?
でも、それならなぜ複数形?
が、僕はそれどころではなかった。
便がたくさん出過ぎて、容器の底に溜まり、今にもお尻にくっつきそうなのだ。
しかたなく、ブリッジみたいにお尻を上げ、排泄物に尻っぺたがくっつかないように頑張った。
けれど、排泄するのは、正直、とても気持ちがよかった。
便通とともに、とめどなく尿があふれ出し、螺旋を描いたカテーテルの中を勢いよく流れていった。
その淫靡な快感に、僕は危うく勃起しそうになった。
なんせ、そんな僕の様子を、異様にセクシーなコスチュームに着換えた乙都が見守っているのだ。
胸の谷間は手を伸ばせば届きそうな位置にある。
それに、短いナース服から出た網タイツの太腿が、なんとも言えず悩ましい。
「お、終わったよ」
すべて出し切り、そう報告すると、乙都が無造作に簡易トイレを引き抜き、ティッシュで僕の尻を拭いた。
「くうっ、超忙しい時に、こんなにたっぷり出しやがって!」
中に溜まったものを一瞥して、怒りの声を上げる。
「まあ、いい。おまえは早く寝ろ。こいつはうちが処分する。まあ、雑魚をおびき寄せる餌ぐらいにはなるからな。いいか? 何が寄ってきても、誰に声をかけられても、絶対にベッドから出るな! ベッドはおまえにとって、唯一の結界だ。そこから一歩でも外に出たら命はないものと思え」
「わ、わ、わかったけど」
はだけた病衣を元に戻すと、掛布団をかぶって目だけ出し、僕は簡易トイレを抱えた乙都を見上げた。
「最後にひとつだけ、訊いていいかな?」
「なんだよ。早くしろ」
乙都の切れ長の眼が険しくなる。
「今更あれだけど、これ、全部、夢なんだよね?」
しばし、気まずい沈黙が下りた。
廊下では、さっきまで聞こえていた複数のうめき声が、激しくいがみ合うわめき声に変わっている。
「ああ、夢だよ」
ややあって、脱力したような口調で、乙都が答えた。
「当り前だろ。こんなのみんな夢に決まってるじゃないか。だからおまえは安心して寝るんだよ。いいな? わかったな?」
「さっさと脱ぎなっ」
乱暴に病衣をはぎ取られた。
ついでに僕の下半身から紙オムツをはがすと、
「とっとと尻を上げて! これはこう使うんだよ!」
乙都が僕の尻の下に簡易トイレを滑り込ませた。
仰向けのまま、ちょうどお尻がすっぽり容器にはまり込む形になった。
「ふう」
僕は安堵のため息を漏らした。
安心感からか、一気に緊張がゆるんだようだった。
ずるっ。
大腸が蠢動し、肛門をかき分けて、太い便が出るのがわかった。
三日分だから、かなりの量だ。
しかも、長大なバナナのように、途切れることなく続いている。
巨大な芋虫のような大便である。
「くう、早くしろよっ」
歯軋りするように、乙都が責め立てる。
「やつらに気づかれたら、どうすんだよっ」
「だ、だって…」
やつらって、誰のこと?
コンドウサンか?
でも、それならなぜ複数形?
が、僕はそれどころではなかった。
便がたくさん出過ぎて、容器の底に溜まり、今にもお尻にくっつきそうなのだ。
しかたなく、ブリッジみたいにお尻を上げ、排泄物に尻っぺたがくっつかないように頑張った。
けれど、排泄するのは、正直、とても気持ちがよかった。
便通とともに、とめどなく尿があふれ出し、螺旋を描いたカテーテルの中を勢いよく流れていった。
その淫靡な快感に、僕は危うく勃起しそうになった。
なんせ、そんな僕の様子を、異様にセクシーなコスチュームに着換えた乙都が見守っているのだ。
胸の谷間は手を伸ばせば届きそうな位置にある。
それに、短いナース服から出た網タイツの太腿が、なんとも言えず悩ましい。
「お、終わったよ」
すべて出し切り、そう報告すると、乙都が無造作に簡易トイレを引き抜き、ティッシュで僕の尻を拭いた。
「くうっ、超忙しい時に、こんなにたっぷり出しやがって!」
中に溜まったものを一瞥して、怒りの声を上げる。
「まあ、いい。おまえは早く寝ろ。こいつはうちが処分する。まあ、雑魚をおびき寄せる餌ぐらいにはなるからな。いいか? 何が寄ってきても、誰に声をかけられても、絶対にベッドから出るな! ベッドはおまえにとって、唯一の結界だ。そこから一歩でも外に出たら命はないものと思え」
「わ、わ、わかったけど」
はだけた病衣を元に戻すと、掛布団をかぶって目だけ出し、僕は簡易トイレを抱えた乙都を見上げた。
「最後にひとつだけ、訊いていいかな?」
「なんだよ。早くしろ」
乙都の切れ長の眼が険しくなる。
「今更あれだけど、これ、全部、夢なんだよね?」
しばし、気まずい沈黙が下りた。
廊下では、さっきまで聞こえていた複数のうめき声が、激しくいがみ合うわめき声に変わっている。
「ああ、夢だよ」
ややあって、脱力したような口調で、乙都が答えた。
「当り前だろ。こんなのみんな夢に決まってるじゃないか。だからおまえは安心して寝るんだよ。いいな? わかったな?」
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