激甚のタナトス ~世界でおまえが生きる意味について~【官能編】

戸影絵麻

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第8部 妄執のハーデス

#104 最終決戦⑬

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  そのまま気絶することができたら、どんなに楽だったことか…。
 だが、体の一部を食いちぎられる痛みが、それを許さなかった。
 次に零が歯を立てたのは、今やむき出しになった杏里のクリトリスだ。
 ふたつに割れた舌でさんざん弄んで肥大させた後、根元を前歯で噛むと、やにわに顎を引いたからたまらない。
 真珠に似た肉の芽が血を吹き出し、つけ根から切断されて零の口の中にポロリと取り残された。
 それを奥歯でコリコリ音をさせて咀嚼して飲み込むと、新たにあふれ出してきた血潮を零が舐め始めた。
 杏里の局部はもはや無残に破壊された血まみれの穴だった。
 どくどくと流れ出す血がなめらかな腹を伝い、小さなブラと豊満な乳房を真っ赤に染め上げていく。
 その一部は鎖骨から首筋にかけて流れ、杏里の口の中まで入ってきた。
 口腔内に、鉄錆に似たきな臭い味が広がった。
 己の血液を飲み、杏里の全身にさざ波のような震えが走る。
「ああ、おいしかった」 
 零が、満足げにつぶやいた。
 股間から顔を上げると、杏里の両足を閉じ、その体を肩に担ぐ。
 入口近くの壁際まで歩くと、杏里を床に降ろし、壁にもたせかけて直立させた。
 閉じた太腿の間から鮮血を垂らし、ぐったりと後ろの壁に背を預ける杏里。
 己の血で赤と白の斑になった双丘が小さなブラを押し上げ、尚も挑発するようにその頂を零へと向けている。
「やめて…これ以上、ひどいこと、しないで」
 食いしばった奥歯の間から、杏里はかろうじて声を絞り出した。
 痛みは恐怖を生む。
 そして恐怖は、意志を麻痺させてしまう。
 今の杏里は、赤子のように無力だった、
 常人に比べ、感覚が鋭敏な分、タナトスは生の痛みに弱いのかもしれなかった。
 だからこそ、感覚の変換機能が備わっていたのだろう。
  今更のように、そう思う。
 だが、杏里にはその機能が決定的に欠けている。
 そのため、痛みへの恐怖心だけが、心を支配してしまっているのだ。
「私は、もう、以前の私じゃないの…。あなたの痛みを、受け止めきれないの…だから…」
 懇願するように、続けた。
 生きたまま肉体を食われるなんて、はっきり言って、死ぬより辛い。
 もう、やめて…。
 これ以上、痛くするくらいなら、いっそのこと…。
「聞いてるよ」
 嬉しそうに、零が目を細めた。
 薔薇色の虹彩の真ん中で、ルビーのように赤い点が輝いている。
「だから素敵なんじゃない。私は、苦痛にゆがむあなたの顔が好き。快楽に溺れるアクメ顔なんかよりずっとね」
 そう言いながら、顔の高さに両手を掲げ、5本の指をゆっくり開いた。
 零の指は、その一本一本が驚くほど長い。
 しかもどの爪もナイフのように尖り、先が鋭く研ぎ澄まされている。
「今度は、ここ」
 かばうひまもなく、あっけないほど簡単にブラをむしり取られた。
 ぷるんとこぼれ出すふたつの真っ白な果実。
「いい眺め」 
 零が唇を舐めた。
「とっても、とっても、柔らかそう。大きなマシュマロか、プリンみたい」
 両腕を突き出した。
「食べても、いいよね」
 おびえた杏里の目を見て、にたりと笑った。
 その狂気を帯びた眼光に射すくめられ、杏里は指一本動かせない。
「い、いや…や、やめて」
 残る力を振り絞り、あわててかぶりを振った。
 が、遅かった。
 次の一瞬、凶器のような爪が、杏里のふたつの乳房に食い込んだ。
「あうううっ!」
 想像を絶する痛みに、杏里は反射的にのけぞった。
 血がしぶき、音を立てて零の白い肌に降りかかる。
「うわあ、すっごくふわふわしてるんだ」
 嬉々とした声で言い、零が両手首を同時にひねった。
 乳房のつけ根に裂け目が生じ、ぷつぷつと何かが弾ける音がして、そこから血の混じった白い脂肪がどろりとはみ出し始めた。
 


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